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グリエファミリー急襲編
No.13 ニーズヘッグの碧髪
しおりを挟む完璧な復讐劇だ。
素知らぬ顔で不登校を終え学校へ来た彼女に僕はそう言った。
彼女の青い髪。
僕の髪は半分白くなっていた。
その夜、ぼくたちは特別なことをした。
最低な人間同士だ。
友人があんな姿になって嬉しかった感情と、彼女がこんなことをやるまで放っておくことしかできなかった不甲斐なさが胸を貫いた。
『いいよ。たのしかったし』
彼女は温かった。
僕は共犯者。彼女の唯一を知る共犯者だ。
ただ、いくら時間が経っても弱さは拭えない。
根本的な臆病さは癒えることもなければ消えることもない。
次第にことの大きさを知り恐怖した。
不登校をやめた彼女は明るい
僕も明るくなった。
しかしそれは異変。
クラスのみんなはその異変をいち早く察知して怪しんだ。
次第にそれはエスカレートして、ぼくは友人のグループから絡まれるようになった。
僕はいじめられるのが怖くてその彼女が友人を刺したんだと言ってしまった。
そんなことを言っても信じないのはわかっていたから、みんなの前で言うと約束した。
そしてそこで、クラスのみんなに証明するために彼女の顔を切った。
もちろん、そんなことしたら正義なんて言葉で片付けられなくなるのは知っていた。
ほんとは違った。あの優越感に浸った、死など怖くないと勝ち誇った表情が、気に入らなかった。『お前は弱いんだっっ!かいかぶるな』
僕は絶叫した。彼女の顔に傷がつく度
興奮した。
『あははははは、一緒じゃん、君一緒だよ。
私たちおなじなんだ』
彼女は僕の腹に椅子の足を差し込んでいた。
急に痛みをともなって視界がぐらつく。
僕は力を振り絞って、走った。
彼女は軽かった。
出欠多量のおかげでバランスは取れない。
僕と彼女は校舎から身を乗り出して死んだ。
そんな過ちをしたんだ。
こんな運命を受け入れるべきだ。
幸せなんてこない。来なくていい。
けれどレヴリを守れなかった『俺』は
今度こそオロルを救い、瞳無くしを救わなくてはならない。
何から救うのか?グリエファミリーから?
違う違うそんなことなら、どれだけ楽だろうか、
やっと思い出したんだ。
楽號はようやく全ての記憶を取り戻し結末に辿りついた。
前世の悪業の償いとして科せられられた天命。
そして本当の目的。
2代目を殺したあの青い髪の少女こそ、
前世の彼女なのだ。間違いなく彼女は生きている。同じ業の中で二人は転生者として
天命を科せられ、今もなお生きている。
『嬉しいね。また会えるなんて。
次はぶった切ってやるよ 雨音…いや、
オトンシア・ニーズヘッグ』
楽號の高速移動に拍車がかかる。
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