ラジオの恋路-こいじ-

祝木田 吉可

文字の大きさ
9 / 18

第9話:女のエネルギーチャージ

しおりを挟む
深夜2時。

女は、家に戻ると、早速男にLINEした。

「今日はお店に来てくれてありがとう。嬉しかった。けど、お店じゃない所で話せたらもっと、嬉しかったな。」

深夜なので、返事は返ってこない。

女は、返事が来ることを期待しつつ、眠りについた。

翌朝10時。

女は、目覚ましで目が覚めた。期待を胸に、LINEを開いてみると、男からメッセージが返ってきていた。

(「なんて、返ってきてるかな。」)

少し緊張した面持ちで男とのトーク画面を開く。

「おはよう。昨日はお疲れ様。来週も講習会、よろしくね。」

そのメッセージを見て、女はスマホをソファに投げた。

「違~う、そうじゃないって。」

痺れを切らした女は、再びスマホを取り、メッセージを送った。

「今日、会いたい。会える時間、ある?」

返事は思いの外、直ぐに返ってきた。

「今、シンポジウムがあって、ビッグハート出雲にいるよ。16時まであるから、その後だったら大丈夫だよ。」

(「やったー!」)

女は、内心、喜びを爆発させた。が、返事は普通に振る舞う。

「16時に出雲市駅行くね。」

メッセージ送るも、返事は返ってこない。

(「シンポジウム、始まったのかな。」)

10時15分。

軽く準備を整えた女も、出かけることにした。

(車使わなかったら、助手席乗れちゃうかも!)

淡い期待を抱きつつ、女はタクシー会社に連絡した。

「はい、一畑タクシーです。」

「神社前のアパートまでタクシー1台お願いします。」

「分かりました。手配しますので、お待ち下さい。」

10時25分。

連絡して10分後に、タクシーが到着した。

「お待たせしましたって、もしかして、ミカちゃん?」

女と同じ位の年のタクシー運転手の女性が、女に、話しかけるも、女は、誰なのか、皆目見当がつかないでいた。

「だれ、ですか?」

「久しぶりだから、覚えてないかな。中1で同じクラスだった、大塚ミサキだよ。」

(大塚ミサキ、女は、その名前にピンときた。中1の一学期しか学校に行ってないけど、偶然にも席替えで隣になった、ミサキに声かけてもらって話していたっけ。他の女子は、知らないけど、ミサキなら思い出した。)

「ミサキちゃん!?久しぶりだね。元気そうだね。」

「うん。ミカちゃんも、元気そうだね。乗って。」

(女は、タクシーに乗り込む。)

「どこに行こうか。」

「出雲市駅で、お願い。」

「了解。シートベルト、お願いね。」

(女が、シートベルトしたのを確認するとミサキは出発した。)

10分後、タクシーは駅に到着した。

料金を払うと、ミサキがドアを開ける。

「忘れ物、ない?」

「うん、大丈夫。」

「気をつけて行ってきてね。また、会おうね。」

「うん。ありがとう。」

女は、タクシーを降りて、松江までの往復切符買って、ホームに移動した。

次の時間が、10時50分。電車は既にホームに到着して乗れるようになっている。女は、電車に乗り、無事に席を確保し、スマホの時計を見る。10時45分、電車の出発を待った。


10時50分、定刻通りに電車は出発した。11時35分、電車は、無事に松江に到着した。出雲を出発前に、駅前にある、行きつけの美容室とマッサージに予約して、向かった。

11時45分、最初に入ったのは、美容室だった。

「ミカちゃん、いらっしゃい。」

「しのぶさん、急に連絡してすみませんでした。忙しかったですよね。」

「大丈夫、ちょうど落ち着いた時間だったから。さあ、座って。」

店長のしのぶは、女を席に座らせる。

「それで。ミカちゃん、少しニヤけてるけど、好きな人でも、出来た?」

「好きって言えるほど、仲良くないというか。」

「どういうこと?」

「同じ町内で小中一緒の幼なじみで、中学3年間同じクラスだったんですけど、中学は1年の一学期しか行ってなくて、学校に行かなくなってからは、毎日、配布物届けてくれたりしてたから、クラス替え怖くて先生に、3年間、この人と同じクラスにしてくださいって言ったことはあります。」

「それ、好きって、ことじゃん。で、その彼と再会して、好きが再燃したって感じかな。」

しのぶさんの言葉に女の顔は紅潮した。

女は、恥ずかしくなって、下を向く。

下を向いた女の顔を、しのぶさんは上げた。

「好きな人が出来たのは、素敵なことだから、自信持って。」

「出来るかな。」

「その自信の原石を導いてあげるのが、私たちなんだから、遠慮なく頼ってくれれば、良いよ。」

女は、その言葉に、少し気が楽になった。

「お願いします。」

しのぶさんは、笑顔で頷いて、カットを始めていく。

女は、鏡をジッと見つめている。しのぶさんがカットしていく中で、徐々に見慣れた自分から新しい自分が顔を出した。肩甲骨まであった髪がベリーショートまで短くなっていく。

「ミカちゃんは、短い方が、カワイイよ。それに、明るく元気に見えるし、ね。」

「か、かわいい、、、。」

あまりの変わりぶりに言葉を失った女に、しのぶさんは続けた。

「ほら、笑ってごらん。」

女は、しのぶさんに言われた通りに笑って見せた。

「ほら、かわいい!ミカちゃんは、短い方が、やっぱり、かわいいよ。今日、頑張ってね。」

「ありがとうございました。」

女は、料金を支払い、店を出た。


12時30分、次のマッサージの時間まで時間あるし、場所も今いる駅前ビルの3階。1階にある美容室の周りに、喫煙可のカフェを見つけた女は、そこで一服しながら珈琲で休むことにした。

13時10分、そろそろ時間となり、女は、カフェを出て、3階に移動する。

「ミカちゃん、いらっしゃい。」

「カヤコ姉、お世話になります。」

このマッサージ店は、アロマを使ったマッサージのお店、女の従姉妹のお姉さん、カヤコが経営するお店だ。

「さぁ、ここに横になって。」

カヤコが案内する所にうつ伏せになった。

「今日は全身45分で良いのかな。」

「はい。」

「じゃあ始めるね。」

「お願いします。」

カヤコのマッサージの気持ちよさに一瞬でウトウトになった。目の上に温タオルを乗せられた瞬間に寝落ちしてしまっていた。

「ミカちゃん、ミカちゃん。終わったよ。」

カヤコの声かけにハッとなって起き上がる。

「あ、ありがとうございます。」

女は、ふと、匂いを嗅ぐ。

「今日、いつもと違う香りだ。、、、桃?」

「うん。ミカちゃん来る前に、しのぶさんから私に連絡あって、このあと、好きな人と会うって聞いたから、いつもと違う香りで、ミカちゃんに合う香りにしてみたよ。」

女は、不意に恥ずかしくなって頬を紅潮させた。

「あっ、ありがとうございます。」

会計を済ませて、女が、店を出ようとすると、カヤコが呼び止める。

「ミカちゃん、ちょっと待って。」

「はい。」

「これ、お守りであげる。ピーチオイルの入ったハンドクリーム。頑張ってね。」

「ありがとうございます。」

少し顔が晴れた女は、スッキリした感じで店を出た。


14時10分、女は、バス停向かって歩いていく。

14時18分、無事に一畑電車の松江しんじ湖温泉駅に向かうバスに乗れた女は、束の間の休息をした。

しばらくして、バスは松江しんじ湖温泉駅近くのバス停に停車した。乗り換えて、一畑電車で出雲に帰る女は、またちょっと、電鉄出雲市が近づく度に緊張度が増した。

15時45分、電車は、無事に、電鉄出雲市に到着した。

電車を降りた女は、お守りでもらったハンドクリームを付けて、深呼吸をした。

「ヨシッ!」

女は、そう言って、改札口を出た。

-続く-





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

処理中です...