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三 坂井ミリはまだ知らない
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「雑魚ってさあ、どういう意味で雑魚なの」
「弱いって意味」
「もう犠牲者出てるしあんま余裕とは思えないんだけど」
「運と努力が足りなかったんだろ」
ミリちゃんはこの部隊のことをエリートだと言っていたけど、中でも一番能力が高いのは恐らくナユさんだ。
ミリちゃんは人造人間、そして他の連中は改造人間。改造されるにも向き不向きがあって、誰でも改造していただけるわけじゃない。ちゃんと改造前に適合率の検査がある。それに合格すると、最悪なことに現在のおれのような目に遭う。
血液中に埋め込まれたナノマシンの適合率は、そのためだけに生み出されたミリちゃんよりも、ナユさんの方がずっと高かったらしい。しかも元々の身体能力も、人類の中でも彼女はトップクラスだった。
だから彼女はエリートとして、最も危険な遊撃部隊に配属されることになった、という現状だそうだ。
「災難だ」
「ごめん話聞いてなかった」
「あ、そ」
短い返事しか残さずに、黒いジャージの背中はかなりの速度でビルの隙間を歩いていく。急いでいるようにも見えないのに、気を抜くと置いていかれそうになる。ただ歩いてるだけでも常に姿勢や身のこなしが綺麗だ。そういうところがおれのような一般人とは違うのだろう。
「何の話?」
「お前が振った雑談だよ……。さっきの死体は、災難に遭ったってだけの話さ。努力する余地がないならそう考えるしかねーだろ」
「まあね。もう助からないんだったら割り切るしかないけどさ」
「諦めが肝心だよ」
「でもナユさんめっちゃ足掻くじゃん」
「さっきのは他人の話だからだよ。当たり前だろうが。災難でも何でもそう簡単に諦めてたまるか」
そこまで言い切ってから、ナユさんは急に立ち止まった。
「今のは……いや、ちょっと待て」
「ナユさんが行き先決めてくれないとおれはどこ行きゃいいのかわかんないよ」
付いてこいって言ったのはナユさんだ。あの現場からはもう逃げ出していた裏側の異世界人について、雑魚だろうが何だろうがどっかに隠れてしまったならおれの能力じゃもう追いかけられない。
「……はぁ。じゃあお前を囮にするか」
「ヤダなぁ」
「お前はミリを囮にする癖に自分が囮になるのは嫌なのか?」
「ナユさんだって自分が囮になるつもりはないってことじゃん」
「それが何か?」
彼女は一貫している。悪びれない。実際、そんなに悪いことでもない。おれが囮としてどう使われるかはわからないが、それによって既に人類を一人殺している雑魚の侵略者を倒せるなら善行だ。
「弱いって意味」
「もう犠牲者出てるしあんま余裕とは思えないんだけど」
「運と努力が足りなかったんだろ」
ミリちゃんはこの部隊のことをエリートだと言っていたけど、中でも一番能力が高いのは恐らくナユさんだ。
ミリちゃんは人造人間、そして他の連中は改造人間。改造されるにも向き不向きがあって、誰でも改造していただけるわけじゃない。ちゃんと改造前に適合率の検査がある。それに合格すると、最悪なことに現在のおれのような目に遭う。
血液中に埋め込まれたナノマシンの適合率は、そのためだけに生み出されたミリちゃんよりも、ナユさんの方がずっと高かったらしい。しかも元々の身体能力も、人類の中でも彼女はトップクラスだった。
だから彼女はエリートとして、最も危険な遊撃部隊に配属されることになった、という現状だそうだ。
「災難だ」
「ごめん話聞いてなかった」
「あ、そ」
短い返事しか残さずに、黒いジャージの背中はかなりの速度でビルの隙間を歩いていく。急いでいるようにも見えないのに、気を抜くと置いていかれそうになる。ただ歩いてるだけでも常に姿勢や身のこなしが綺麗だ。そういうところがおれのような一般人とは違うのだろう。
「何の話?」
「お前が振った雑談だよ……。さっきの死体は、災難に遭ったってだけの話さ。努力する余地がないならそう考えるしかねーだろ」
「まあね。もう助からないんだったら割り切るしかないけどさ」
「諦めが肝心だよ」
「でもナユさんめっちゃ足掻くじゃん」
「さっきのは他人の話だからだよ。当たり前だろうが。災難でも何でもそう簡単に諦めてたまるか」
そこまで言い切ってから、ナユさんは急に立ち止まった。
「今のは……いや、ちょっと待て」
「ナユさんが行き先決めてくれないとおれはどこ行きゃいいのかわかんないよ」
付いてこいって言ったのはナユさんだ。あの現場からはもう逃げ出していた裏側の異世界人について、雑魚だろうが何だろうがどっかに隠れてしまったならおれの能力じゃもう追いかけられない。
「……はぁ。じゃあお前を囮にするか」
「ヤダなぁ」
「お前はミリを囮にする癖に自分が囮になるのは嫌なのか?」
「ナユさんだって自分が囮になるつもりはないってことじゃん」
「それが何か?」
彼女は一貫している。悪びれない。実際、そんなに悪いことでもない。おれが囮としてどう使われるかはわからないが、それによって既に人類を一人殺している雑魚の侵略者を倒せるなら善行だ。
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