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トイの青空
201.
しおりを挟む最後にソンリェンと身体を重ねたのは、あの水辺でだ。
しかもいつものように無理矢理で、薬を使われて、死にたくなるほどの苦痛と快楽に壊れそうになった。
だが今はどうだろうか、薬も使われていない。綺麗なベッドの上でもない。むしろ動く度に細かい埃が舞って、しかもギシギシと軋む古いベッドは今にも壊れそうで多少不安だ。
しかも真昼間で、たぶんだけど侵入してきたクモやらなんやらの虫だってどこかしらにもいる。
それなのに、今までで一番気持ちがいい。
どうしよう。どうしよう。
ソンリェンが優しい。
ぽたりと汗が散ってきて、唇にかかったので舐めとる。
ソンリェンがそんなトイを見下ろして、またキスをしてきた。もう何回したかは数えていない。ただ無心でねっとりと唾液で満ちる舌を絡めて、また離して、また重ねる。律動の合間にそれをただ繰り返していた。
場所が場所なので服を全て脱ぐことはなかったが、いつのまにかトイの方はかなりはだけてしまった。けれどもトイが一人だけは嫌だと言ったらソンリェンも前を閉じていたボタンを外して肌を見せてくれた。
きゅっと近づく度に、ソンリェンの細いけれど均整の取れた筋肉がぺたりと肌に吸い付いてきて、擦れて、身体いっぱいにソンリェンの熱を感じる。
それはもう、しつこいくらいに。
「ぁ、あん……ァ」
じっくり時間をかけて入って来たソンリェンの熱に、落ちる感覚がした。
どこへかはわからない。ただ沈んでいく。じんと痺れるような快楽には果てがなくて、トイは快楽に溺れるという言葉を身をもって味わった。
不思議だ。重くて、深くて、圧迫感はあるのに痛みはない。違う、多少の痛みはあるものの以前のような引き千切られるような切なさや痛みを感じないのだ。
心が痛くないから。
挿入した時、素直にちょっと痛いと訴えればソンリェンはトイの中がなじむまで待ってくれた。
そのおかげでソンリェンの肉はぴったりとトイの内壁に吸い付き、トイの腹の形に合わせて膨らんだ。引き抜かれても挿れられても、隙間なくトイの奥を満たしてくれる。
圧迫感さえ離れがたくて、自然と脚が広がりソンリェンの腰に絡めてしまった。
そうするとソンリェンは一瞬だけ息を飲み、トイを抱きしめて深い所を擦ってくれる。瞼の裏がちかちかと光って、また落ちてしまいそうな感覚にソンリェンの肩に縋りつく。
ずっと、それを繰り返していた。
「っ……ん、ぁァ……ふぁ」
トイの身体のあちこちが濡れているのはソンリェンに舐められたからだ。丁寧に首筋を、鎖骨を、胸先を、濡れた入り口を弄られた。
今だって、熱塊に貫かれながら尖った胸の膨らみをこりこりと刺激され、吸われ、波紋のように広がるむず痒い快感に目眩が止まらない。
時折切羽詰まったようにソンリェンの動きも激しくなるけれど、いやじゃない。圧迫感と苦しさに息が詰まる瞬間はあるけれど、その度に顔を覗かれ額にキスを落とされるから怖くもない。
それになにより、トイの濡れそぼった幼い男性器を律動に合わせて優しく擦られるから嬉しかった。
そう、嬉しいのだ。
快感を高めるためだけにめちゃくちゃに擦られるのでもなく、トイの反応が面白いからでもなく。
トイの震えてしとどに蜜を零すそれが愛おしいのだと、ソンリェンの気持ちが彼の手を介して伝わってくるから。熱のこもった愛撫に心が満たされていくから嬉しいのだ。
嬉しくて嬉しくて、ソンリェンにキスを強請ればまた唇を奪ってくれる。口内になだれ込んでくるソンリェンの舌と荒い息に、肺の奥までもに心地よさが浸透してきそうだった。
「トイ」
かわいい。
「あ、そんりぇ、ん」
「トイ」
かわいい。
「っ──ふ、ぁ」
名前を呼ばれる度に、ソンリェンにかわいいと言われている気がする。そしてそれは勘違いではないと思う。だってずっとソンリェンと目が合う。
キスをしてても、少し身体が離れてても激しい律動を受け入れている時であってもソンリェンと視線が絡む。
お前しか見えないと、思わず笑ってしまうようなことを言われたがどうやら本当のようだ。だから、トイも早々にソンリェンしか見えなくなった。
ここがどこだかもわからなくなる。埃も、塵も、光の届かぬ部屋の隅も視界には入ってこない。ただ目の前に、トイを抱くソンリェンがいる。
それだけが今のトイの全てになった。
ソンリェンはトイに侮辱的なことを囁いたりはしなかった。性的欲求を煽るような言葉も。ただ、トイの名を呼んだ。だからトイも、トイを求めてくる青年の名を呼んだ。
始まる前はもっと色々なことを喋った気がするけれど、もう喘ぎ声と、互いの名しか口に出来ない。
それ以外の言葉は今はいらないのだ、きっと。
「そんりぇん」
揺れるソンリェンの白い首に、うっとりとする。ソンリェンの首は細い。けれども硬くて男らしい。彼の喉仏に歯を立てたいと思った。
トイがそう思うくらいなのだからソンリェンも同じことを思っているのかもしれない。
誘うように喉を曝け出すとごくりと唾を飲み込んだソンリェンの綺麗な顔が下りて来て、舌を這わされてから歯を立てられた。
窺うような仕草だったので、もっととソンリェンの首にしがみ付くと少し力を加えられて噛みつかれる。
じんと響く痛みが瞬時に悦楽に変わり、トイは喘いだ。喘いで、ソンリェンの耳たぶに歯を立てた。
「ア……ぁ……ひぁ……あ、ン」
ソンリェンと、セックスしてる。
今トイは、ソンリェンとセックスしてる。
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