彼女の優しい理由

諏訪錦

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彼女の優しい嘘の理由 34

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 天蓋から垂れる薄いレースをハラリと除けると、寝息も立てずに眠る子供を腕に抱いた。薄いピンクの唇が小さく動いて、それが、この子がいま生きているという証明に思えた。
 唇の色に合わせたような淡い桃色の肌着。過剰なまでにフリルのあしらわれた白のブラウスの胸元が、呼吸とともに上下する。
 部屋には少女趣味なキャラクターグッズがズラリと並んでいて、ゼロ才児の妹に対して過剰なまでの愛情が注がれていることがわかる。
 母が再婚した相手は、扱いやすく人の善い男性なのだが、どうも実直過ぎて好きになれない。部屋の中には、他にも知育玩具が多く目に留まる。それらに手を伸ばすと、ベッドから動かされたことに気付いた妹が目を覚まし、ぐずり始めてしまった。俺は起こしてしまったことを謝りながら、背中を優しく叩いてあやした。
 不思議と、妹には初見の段階から気に入られたようで、俺も憎からずこの子のことを想っている節があるのだと、自分で理解していた。こうして妹を抱いていると、温かな気持ちになるのがその証拠だろう。
「なにも心配しなくていいから、ゆっくりおやすみ」
 とんとん、と背中を叩きながら、揺りかごを意識した動作で妹を寝かしつける。俺の腕の中で、妹はまた眠りに落ちた。
 この子の名前は、母親とその再婚相手に無理言って頼み込んで俺が決めた。
 きっと妹は美しくなるだろう。俺が愛した、二人の女性から取った名前なのだから間違いない。
 小さく寝息を立てるその薄いピンク色の唇に顔を近付け、俺は口を開いた。

沙彩サーヤ

 熱を流し込むように、俺はそのままそっと、頬に口づけをした。
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