24 / 25
色欲も良いことばかりでは無い
《二十三之罪》霧中の王者
しおりを挟む
聞いた事の無い、しかし何処か威厳のある声が王室内に響き渡る。
すると、その声に逃げるように、辺りの霧がすぅっと消えていく。
霧が完全に晴れると、先程の声の主が、王室の入口に立っている事が分かった。
その姿はとても大きく、2mは越えているだろう。長く下に伸びた綺麗な白髪やガタイのいい身体、そこに刻まれた幾つもの古傷の痕がそれを後押しして、ただ其処に立っているだけでかなりの緊張感に苛まれる。
したがって、私もリフレも、観客も兵士でさえ、その人物に注目した。
彼こそが、この巨大な王都を統治する、国王である。
応援に来るのには少し遅い気がするが、まあそこはいいとして、身体が悪いと聞いたが、とてもそうは見えなかった。
リフレはバツが悪そうに剣を背中に納刀する。そしてあろう事か、私に謝罪をしてきた。
「...すまなかった!!」
目の前で勢いよく頭を下げられ、困惑してしまった。急に殺しに来たかと思えば、今は土下座でもするような勢いで私に頭を下げている。
と、王が私とリフレに近付いて、言い放った。
「この男は、心を操られていたのだ。仕方あるまい。」
操られていた?
王はリフレを一瞥するなり、そう言い放った。
てっきり斥候かと思っていたのだが、今の彼を見るとそうなのだろう。
となると恐らく、先程の兵も、操られた人なのだろうか...。
「今は我の力で抑えているが、我が離れたらどうなるかも分からないぞ。」
王の持つ力、それは私も聞いたことがある。
「支配」。周囲の自身が害と認めたあらゆる力を抑え込む力を持っているらしい。
霧を晴らしたのも、リフレの洗脳を解いたのと、その恩恵だ。
「...、ご迷惑を...。」
「許すっ、我が民の危機に遅れた事を、寧ろ我が謝罪したいところだっ。」
リフレが王にも謝罪をすると、王はその身体からは似合わないほど陽気な声で許した。
その様子からは、先程の重くのしかかるような声は感じられない。
「まずは勇敢な剣士よ、民を救ってくれた事、感謝する。いやはや、こんな時に病に伏してはおれぬな。」
「い、いえ。王も、無理はなさらず...。」
「うむ、騒動も収まった事だし、すまないがまた寝かせて貰うのだが...その前に。」
王は私から視線を外し、リフレを見る。
「其方の中にある邪悪な力は、今は抑えてはいるがそれに留まっている。つまり、この城を出たら其方の精神汚染は、再び其方を蝕むであろうな。」
王は、キッパリと言い放った。
「...そう、ですか...。」
リフレは肩を落とし、小さく呟いた。
そして私を見ると、やれやれと言った表情で私を見た。
どう返して良いのか分からず、頬を搔いてしまう。
「そうだ。決勝戦の続き、再戦するならすぐに支度をせねばな?」
「いや、俺は良いですよ。それより、俺は直ぐにでも此処を離れないと。またいつ再発するか分からないんっすよね?」
「ならば気にするな。試合終了までは力を発揮していよう。」
「...、では...。」
再び私に向き直るリフレ。
私は意図に気付き、無言のまま小さく頷く。
「さて、では改めて我が宣言しよう。」
その声に合わせて私とリフレは距離を離し、向かい合う。
私は接続を使い、刀を引き抜く。リフレは背中の剣を抜刀し、お互い前に構えた。
そして王が腕を組み、大きな声で叫んだ。
「只今勇者選抜、決勝戦を開始する!」
───────────────
すると、その声に逃げるように、辺りの霧がすぅっと消えていく。
霧が完全に晴れると、先程の声の主が、王室の入口に立っている事が分かった。
その姿はとても大きく、2mは越えているだろう。長く下に伸びた綺麗な白髪やガタイのいい身体、そこに刻まれた幾つもの古傷の痕がそれを後押しして、ただ其処に立っているだけでかなりの緊張感に苛まれる。
したがって、私もリフレも、観客も兵士でさえ、その人物に注目した。
彼こそが、この巨大な王都を統治する、国王である。
応援に来るのには少し遅い気がするが、まあそこはいいとして、身体が悪いと聞いたが、とてもそうは見えなかった。
リフレはバツが悪そうに剣を背中に納刀する。そしてあろう事か、私に謝罪をしてきた。
「...すまなかった!!」
目の前で勢いよく頭を下げられ、困惑してしまった。急に殺しに来たかと思えば、今は土下座でもするような勢いで私に頭を下げている。
と、王が私とリフレに近付いて、言い放った。
「この男は、心を操られていたのだ。仕方あるまい。」
操られていた?
王はリフレを一瞥するなり、そう言い放った。
てっきり斥候かと思っていたのだが、今の彼を見るとそうなのだろう。
となると恐らく、先程の兵も、操られた人なのだろうか...。
「今は我の力で抑えているが、我が離れたらどうなるかも分からないぞ。」
王の持つ力、それは私も聞いたことがある。
「支配」。周囲の自身が害と認めたあらゆる力を抑え込む力を持っているらしい。
霧を晴らしたのも、リフレの洗脳を解いたのと、その恩恵だ。
「...、ご迷惑を...。」
「許すっ、我が民の危機に遅れた事を、寧ろ我が謝罪したいところだっ。」
リフレが王にも謝罪をすると、王はその身体からは似合わないほど陽気な声で許した。
その様子からは、先程の重くのしかかるような声は感じられない。
「まずは勇敢な剣士よ、民を救ってくれた事、感謝する。いやはや、こんな時に病に伏してはおれぬな。」
「い、いえ。王も、無理はなさらず...。」
「うむ、騒動も収まった事だし、すまないがまた寝かせて貰うのだが...その前に。」
王は私から視線を外し、リフレを見る。
「其方の中にある邪悪な力は、今は抑えてはいるがそれに留まっている。つまり、この城を出たら其方の精神汚染は、再び其方を蝕むであろうな。」
王は、キッパリと言い放った。
「...そう、ですか...。」
リフレは肩を落とし、小さく呟いた。
そして私を見ると、やれやれと言った表情で私を見た。
どう返して良いのか分からず、頬を搔いてしまう。
「そうだ。決勝戦の続き、再戦するならすぐに支度をせねばな?」
「いや、俺は良いですよ。それより、俺は直ぐにでも此処を離れないと。またいつ再発するか分からないんっすよね?」
「ならば気にするな。試合終了までは力を発揮していよう。」
「...、では...。」
再び私に向き直るリフレ。
私は意図に気付き、無言のまま小さく頷く。
「さて、では改めて我が宣言しよう。」
その声に合わせて私とリフレは距離を離し、向かい合う。
私は接続を使い、刀を引き抜く。リフレは背中の剣を抜刀し、お互い前に構えた。
そして王が腕を組み、大きな声で叫んだ。
「只今勇者選抜、決勝戦を開始する!」
───────────────
0
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる