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再々
第73話 ヒカリ様の正体
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光は眩い光を出していた。
目を覆う視界もまともに広げられない程。揺れがする。地震のようだ。何度も揺れ、足元がおぼつかない。
転けないのは、洞窟内なのにゴミも石ころ一つないからだ。厳重に管理されている場所だ。
「ヒカリ様て?」
空間の進くんだけがその人物名を呟いている。
一体誰なのか。
「さぁ? 進も知らないんだと」
代わりに有斗先輩が答えてくれた。進くんは知らんぷり。声が届いていないのか、ずっと光を見ている。眩い光を直視すれば痛いのに。その目を覆うように有斗先輩が黒い帯で目元を覆う。
知らないのに、誰のことを言っているんだ。三柱てのは、何か特別な力でも備わっているのか。
「ヒカリ様はずっと地獄の門番だった。でも地上に降りて昼のヒカリを与えた。その影響で自身の力が衰えて眠っている」
大きな揺れがあって、膝をつく。四葉さんが「キャ」と言って壁にもたれかかった。
「大丈夫っすか⁉」
「えぇ、大丈夫……」
頭をおさえて立ち上がった。
揺れが酷い。地下だから崩れないか心配だ。台風もきて、地震もきて、今日は異常だ。今目の前の光景もただよらぬ雰囲気。世界から切り離れた非現実的な光景。
ヒカリ様と呼ばれた場所へだんだん近づいて行く。
「眠っているのに、光っているぞ」
矛盾を指摘すると「ヒカリ様は光っているからヒカリ様なのであ~る」と有斗先輩が揶揄う。こんな状況でも変わらない人だ。
「蛇がもういる」
大地くんが不安げに呟いた。
「蛇てのは、あの黒いのかしら?」
四葉さんが真面目な顔で聞いてきた。
空から大きな、黒い物体をみたのは全員で、子供たちが総じて「蛇、蛇」と指差すものだから、あれは蛇だと。
「まあ、そうだな」
有斗先輩は否定しない。
「ノストラダムスの予言みたいじゃ。恐怖の大王が今更になって降ってきたのか?」
「ノストラダムス?」
ソラちゃんが目を点にした。
「知らない? ノストラダムスの予言てのは、ノストラダムスが予言したもので、特に有名なのが一九九九年に空から恐怖の大王が降ってきて地球滅亡、みたいな、でも、今でもこうしてわたしたちが生きてることはその予言は外れてしまった」
四葉さんは優しい声で教えてくれた。
ソラちゃんは「へぇ」と穏やかな顔になった。
「まさに、ノストラダムスの予言が今更になってきた感じあるわね」
四葉さんが賛同してくれた。
また大きな揺れを感じた。
富美加は大丈夫だろうか。心配だが、あの2人がそばにいてくれる。こんなとき、頼りになれる。
まず最初に進くんがのれんをめくった。目を覆うほどの光……ではなく、あの時と違って、周辺の光は全くなくその風貌をしかと目で確認できる。
四畳の広さでコンクリート製の台の上に年端もいってない見た目、六歳~七歳の少年がうつ伏せになって横になっていた。服装はただの白い布。
壁や足元に千羽鶴やダーツ。可愛い人形や怪獣、飛行機のモデルまで揃えてある。その中には年代的なものがあって、そこに長く置いてあったのか埃をかぶったものがある。子供が飽きないように何世代も続けて続けて、目新しいものをそこに置いてあるのか。
進くんはスタスタと中に入った。大地くんとソラちゃんも。これがこの子らの普通のことなのか有斗先輩の顔色を窺うと有斗先輩でも困惑していたからこれは、ただ事ではないと直感した。
進くんは導かれるように進んでいく。
揺れは増す。まるで、この壕を壊していくような荒々しいものだ。
「蛇が降りてきた。ヒカリ様」
進くんは台の上の何者かの手を取った。
よく見るとそれは、藁でできていた。信じられないがヒカリ様の正体はなんと、球体だった。藁でできた人形の奥に光り輝く球体があって、人類に昼の光を与えたときに自身の手足は消滅してしまったらしい。実際には見ていない。
だが、それを実際に目撃した人物が一人。16世紀生きていたある青年だ。消滅してしまった手足を代わりにと、藁で縫い合わせるようにつくり、ソレを中に入れた。
「それじゃあこれ16世紀から⁉」
四葉さんが食いついた。
「確か、戦時中燃えたで言ってたからこれは二代目だ」
有斗先輩が首をひねる。食いついてた四葉さんはほぉ、と関心する。のれんの奥に入り、興味津々に中を探索する。
「蛇が降りてきた。ヒカリ様!」
何度同じ言葉を紡いでも答えてくれない。
進くんは泣きそうに俯いた。あのとき、喋ってたのに。たった1言だったけど。揺れが激しくなった。ミシミシと石ころが降り注いてくる。生き埋めにならないか心配だ。
「蛇の狙いはどうやらここのようだ」
有斗先輩がのれんの奥に入り、しゃがみこむ。
「じゃあ、ここに移動した意味ないじゃないっすか⁉」
俺も慌ててのれんの奥に入りしゃがみこむ。
「あのまま家にいたら潰されていたと思う。見ろ。思った通り全国やばいことになっている」
有斗先輩はポッケからスマホを取り出し、写真を見せてくれた。崩壊した家、なぎ倒された電柱や大きな木。建物がアルミ缶を足で潰したように潰されていた。木造住宅のあの家にいたらと思うだけで、ブルと震える。
目を覆う視界もまともに広げられない程。揺れがする。地震のようだ。何度も揺れ、足元がおぼつかない。
転けないのは、洞窟内なのにゴミも石ころ一つないからだ。厳重に管理されている場所だ。
「ヒカリ様て?」
空間の進くんだけがその人物名を呟いている。
一体誰なのか。
「さぁ? 進も知らないんだと」
代わりに有斗先輩が答えてくれた。進くんは知らんぷり。声が届いていないのか、ずっと光を見ている。眩い光を直視すれば痛いのに。その目を覆うように有斗先輩が黒い帯で目元を覆う。
知らないのに、誰のことを言っているんだ。三柱てのは、何か特別な力でも備わっているのか。
「ヒカリ様はずっと地獄の門番だった。でも地上に降りて昼のヒカリを与えた。その影響で自身の力が衰えて眠っている」
大きな揺れがあって、膝をつく。四葉さんが「キャ」と言って壁にもたれかかった。
「大丈夫っすか⁉」
「えぇ、大丈夫……」
頭をおさえて立ち上がった。
揺れが酷い。地下だから崩れないか心配だ。台風もきて、地震もきて、今日は異常だ。今目の前の光景もただよらぬ雰囲気。世界から切り離れた非現実的な光景。
ヒカリ様と呼ばれた場所へだんだん近づいて行く。
「眠っているのに、光っているぞ」
矛盾を指摘すると「ヒカリ様は光っているからヒカリ様なのであ~る」と有斗先輩が揶揄う。こんな状況でも変わらない人だ。
「蛇がもういる」
大地くんが不安げに呟いた。
「蛇てのは、あの黒いのかしら?」
四葉さんが真面目な顔で聞いてきた。
空から大きな、黒い物体をみたのは全員で、子供たちが総じて「蛇、蛇」と指差すものだから、あれは蛇だと。
「まあ、そうだな」
有斗先輩は否定しない。
「ノストラダムスの予言みたいじゃ。恐怖の大王が今更になって降ってきたのか?」
「ノストラダムス?」
ソラちゃんが目を点にした。
「知らない? ノストラダムスの予言てのは、ノストラダムスが予言したもので、特に有名なのが一九九九年に空から恐怖の大王が降ってきて地球滅亡、みたいな、でも、今でもこうしてわたしたちが生きてることはその予言は外れてしまった」
四葉さんは優しい声で教えてくれた。
ソラちゃんは「へぇ」と穏やかな顔になった。
「まさに、ノストラダムスの予言が今更になってきた感じあるわね」
四葉さんが賛同してくれた。
また大きな揺れを感じた。
富美加は大丈夫だろうか。心配だが、あの2人がそばにいてくれる。こんなとき、頼りになれる。
まず最初に進くんがのれんをめくった。目を覆うほどの光……ではなく、あの時と違って、周辺の光は全くなくその風貌をしかと目で確認できる。
四畳の広さでコンクリート製の台の上に年端もいってない見た目、六歳~七歳の少年がうつ伏せになって横になっていた。服装はただの白い布。
壁や足元に千羽鶴やダーツ。可愛い人形や怪獣、飛行機のモデルまで揃えてある。その中には年代的なものがあって、そこに長く置いてあったのか埃をかぶったものがある。子供が飽きないように何世代も続けて続けて、目新しいものをそこに置いてあるのか。
進くんはスタスタと中に入った。大地くんとソラちゃんも。これがこの子らの普通のことなのか有斗先輩の顔色を窺うと有斗先輩でも困惑していたからこれは、ただ事ではないと直感した。
進くんは導かれるように進んでいく。
揺れは増す。まるで、この壕を壊していくような荒々しいものだ。
「蛇が降りてきた。ヒカリ様」
進くんは台の上の何者かの手を取った。
よく見るとそれは、藁でできていた。信じられないがヒカリ様の正体はなんと、球体だった。藁でできた人形の奥に光り輝く球体があって、人類に昼の光を与えたときに自身の手足は消滅してしまったらしい。実際には見ていない。
だが、それを実際に目撃した人物が一人。16世紀生きていたある青年だ。消滅してしまった手足を代わりにと、藁で縫い合わせるようにつくり、ソレを中に入れた。
「それじゃあこれ16世紀から⁉」
四葉さんが食いついた。
「確か、戦時中燃えたで言ってたからこれは二代目だ」
有斗先輩が首をひねる。食いついてた四葉さんはほぉ、と関心する。のれんの奥に入り、興味津々に中を探索する。
「蛇が降りてきた。ヒカリ様!」
何度同じ言葉を紡いでも答えてくれない。
進くんは泣きそうに俯いた。あのとき、喋ってたのに。たった1言だったけど。揺れが激しくなった。ミシミシと石ころが降り注いてくる。生き埋めにならないか心配だ。
「蛇の狙いはどうやらここのようだ」
有斗先輩がのれんの奥に入り、しゃがみこむ。
「じゃあ、ここに移動した意味ないじゃないっすか⁉」
俺も慌ててのれんの奥に入りしゃがみこむ。
「あのまま家にいたら潰されていたと思う。見ろ。思った通り全国やばいことになっている」
有斗先輩はポッケからスマホを取り出し、写真を見せてくれた。崩壊した家、なぎ倒された電柱や大きな木。建物がアルミ缶を足で潰したように潰されていた。木造住宅のあの家にいたらと思うだけで、ブルと震える。
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