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Ⅲ 奪取の魔女
第52話 天からさすもの
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服の中に入ってきた触手がうねうね動き回っている。生暖かい感触が肌を滑り、気持ち悪い。
おっぱいにまで伸びてきた。
この触手は人間の弱いところを知っているのか、くりくり弄ってくる。おっぱいの先端をつまんだり、僅かしかないおっぱいを揉んでくる。
こんなの、感じたら負けだ。
声を押し殺して、それに耐えた。感じたことのない波が襲ってきて、体がビクビク震えてる。次々と襲ってくる波に、余裕がない。
思わず声が出ちゃいそう。
わたしが感じていないと、察知してか、触手が増えた。おっぱいを揉みながら、アソコに伸びてくる。
スルスルと蛇のように伸びてきた。
そこだけは、そこだけはやめて。
必死の抵抗をするも、首をぎちぎちしめてきた。首が折れそう。圧迫されて、息できない。視界が揺れる。意識が遠のく。
まだ誰も救っていないのに、意識を失ったら、守れるものも守れない。なんために、ナズナ先輩とマナミ先輩がわたしをここに残したと思うんだ。
多くでも死傷者を出さないためにでしょ。しっかりしろ。気絶するな。
だんだんと遠のく意識を奮いたたせた。頭の中で、鼓舞するリュウの声も。負けない。わたしには守りたいひとがいるから。
すると、わたしの体に巻きついていた触手がバラバラに。遠のく視界に見えた、一筋の光。銃口の光だった。
シノの放った弾劾が、触手をバラバラにさせた。わたしは自由のみ。解放されて、崩れるように地上に落ちた。
リュウが下でキャッチ。
焦った表情で、わたしの顔を見下ろす。ちょっとこれだけでも幸せかも。なんて、幸せに浸っている場合じゃない。
振り向くと、銃口の光だけが光っていた。物陰から銃口を出している。三体のノルンに向かって。
あの硬い甲冑は、シノの弾劾でも無理だ。弾き飛ばせない。でも、シノは撃った。甲冑でもない触手のほうを。
触手はボトボト飛ばされ、幾多に生えてある触手をかき分けて、皮と肉が見えた。
でも、触手はまた生えてくる。まろびでた皮と肉を隠すように、触手がうねうね生えてくる。
一瞬の隙もないまま、また撃った。隠すように生えた触手の間を狙って。絶対命中のシノの銃は、その一瞬の隙でも効果抜群。
狭い間をかき分けて、まろびでた肉を撃った。ノルンが絶叫する。悲鳴に似た。
その音波は、周りのものを吹き飛ばす。近くにリュウがいたから吹き飛ばされることはなかった。
でもシノは、あの体で、強風がふけば枯れ落ちた葉のように吹っ飛んでいく。荒れ地に何度も体を叩きつけられ、建物の壁に激突されそうになったとき、それを助けたのはダイキ。ダイキナイスキャッチ。
悲鳴をあげたノルンはサラサラと灰になっていく。どうやらあそこが核であって、間違いないようだ。
わたしはシノに駆け寄った。シノの目鼻立ちが整っている顔に、かすり傷がついている。小さな赤い血が。白い肌が一層目立つ。
「シノ、大丈夫!?」
「えぇ。こんなのはかすり傷。ユナも大変だったわね」
支えてもらったダイキからそっとはなれる。わたしは傷一つない。ピンピンしている。これまでノルンと遭遇したけれど、かすり傷もない。
一体は消滅したけれど、まだ二体ある。二体も同じように触手の間を通り越し、核を破壊するか、それとも、わたしが首を斬るか。
シノがとった手段は両方を選んだ。
わたしがもう一体の首を斬り、シノももう一体のノルンを撃つ。でも、問題があるんだよ。
接近戦のわたしだと、簡単に触手に捕まっていまさっきみたいになる。また触手に捕まりたくはない。
でも、悠長なことは言っていられない。学校に大群のノルンが攻めている。攻撃型ノルン、知性型ノルン、巨大ノルンの三種が。揃いも揃って、学校の高い檻を登り、敷地を壊そうとしていた。
魔女が対峙している。でも、その数はノルンのほうが勝っている。状況は悪化していく。わたしたちも早く加勢しなければ。
捕まりたくなかったら、強くなれ。わたしは意を決した。このノルンを早く対峙して、向かわないと。
わたしはさっきのように地面や壁を伝って高く飛んだ。飛んだら空中戦になる。宇宙空間みたいに軽々動けない。けど、それは相手も少しながら同じなはず。
背中に目はない。
背後に周り、一気に刃を振り落とす。確実に仕留めろ。腹の底から出てきた力を振り落とす刃に向けた。
真っ直ぐにその刃は首に向かっていく。だけど、そう簡単に斬れさせてくれない。わたしの殺気に気づき、触手が背後に回ってきた。右側から左側からも。
挟み撃ちだ。
甲冑を踏み飛んだ。挟み撃ちには合わなかったけど、斬るところが随分太くなった。触手が首を守るように、ガードしている。
問題ない。そのまま斬れる。
わたしは息を吸い、汗でぬかるんでいる聖剣を握りしめた。自分でも驚くほど汗かいている。全身びっちょり。
それでも、これだけは離さない。
空中で軌道力を保ちながら、回転し、首元を斬った。〝この世のものを何んでも斬れる聖剣〟はその名の通り。
粘土のように覆っていた首を斬った。
神経と骨が斬れた感触が、聖剣から腕に伝わった。この手応え、あり。確実に仕留めた。
一方そのころシノは、態勢を低くして銃口を、ノルンに向けていた。緊張が渦巻いている。暫く観察し、狙いを定めて、引き金を引く。
だけど、その弾劾は甲冑にて粉々に散った。絶対命中の弾も弾く、その硬さ、まさに驚異。
弾かれたことにショックを抱く暇はない。すぐに平静を取り戻し、再び撃つ。同じ角度から撃ってあるのに、蛇みたいにその弾劾はうねり、今度は触手へ。
触手を撃ち落とした。
そこの部分は皮が厚いから、肉は見えない。けど、触手を振り払った。その隙をみて、再び僅かな隙間に弾を撃つ。
二体の巨大なノルンがサラサラと灰になっていく。天井に向かって、飛んでいく。天井に向かった灰はどうなるんだろう。ユグドラシルの樹みたいに、分離するだろうか。
二体の巨大ノルンを倒し、ダイキがやけに興奮。初めて魔女が戦う姿を見たと。
「すっげー! シノちゃんすっげーな! 冷静にバンバン撃って、かっこよった!」
ダイキが目を輝かせた。
こんな状況なのに無邪気なの、ダイキぐらいだよ。シノは顔を紅色に染めて、顔をそらした。
「こんなの、たいしたことない」
なんだか、シノの態度がいつもより可愛げある。いや、いつも可愛いんだけどね。今はその倍可愛い。
そういえば、リュウも魔女が戦う姿初めて見ると思う。けど、全然そんなこと言わなかったし、普段通り。ダイキみたいにかっこよった、て言っても良くない。
すると、ぐらりと視界が傾いた。気づいたら、膝をついている。地震だ。天地がひっくり返るような地震だ。
地震は訓練でしか受けたことないから、大災害のを経験するのは初めてだ。わたしは地震に慄いているけど、みんなして学校のほうを振り向いてる。
そこに何かあるのか、みんなして、同じ表情。驚きの表情をしていた。わたしも恐る恐る振り向いた。
あぁ、なるほど。みんながあぁなる理由がわかる。学校のほうに雷が落ちていた。白銀の鋭い棘が、学校に落ちている。
地震はこの雷が落ちたからだ。
でも、ここは厄災も何もない世界。
ましてや、雲もない場所だ。なのに、雷が誕生するわけがない。雷は、天井から落としているわけがない。天井の先の世界から落としている。
天から落ちてきたのだ。ノルンと一緒に。
数千年前、天から授けられたものは、神様と生命。なのに、後世では慈悲もないもの。
まさか、後世の人類が天から授けられたものは雷だとは、数千年前の人間は知る由もない。
その雷は学校に穴を開けるほど強大なるものだった。
わたしたちは急いで学校に。
穴は親指ほどの小さな穴。だけど、建物を貫通させ、ウルド様がいる地下にも貫通している。顔を覗かせている。
また雷が落ちてきた。
叩き割るように何度も。
もう音も聞こえないから、その「音」は分からないけど、シノたちが顔を歪めるのだから、きっとその音は、非常に不愉快なのだろう。
学校に穴が空き、そこから赤い炎が。バチバチと閃光が出現し、閃光同士がぶつかり合うと、赤い炎が生まれた。
全校舎窓硝子は割れ、赤い炎が立ち込めている。遠くにいても、煙の臭いが。
3階の校舎が炎に立ち込めたのは、それから数分も時間はかからなかった。校舎が赤い炎に包まれていく。このままじゃ、マドカ先輩が。
マドカ先輩がいるのは、1階の保健室。まだ安全とは言い切れない。
わたしたちは急いだ。
学校付近になると、ノルンは多くなる。
おっぱいにまで伸びてきた。
この触手は人間の弱いところを知っているのか、くりくり弄ってくる。おっぱいの先端をつまんだり、僅かしかないおっぱいを揉んでくる。
こんなの、感じたら負けだ。
声を押し殺して、それに耐えた。感じたことのない波が襲ってきて、体がビクビク震えてる。次々と襲ってくる波に、余裕がない。
思わず声が出ちゃいそう。
わたしが感じていないと、察知してか、触手が増えた。おっぱいを揉みながら、アソコに伸びてくる。
スルスルと蛇のように伸びてきた。
そこだけは、そこだけはやめて。
必死の抵抗をするも、首をぎちぎちしめてきた。首が折れそう。圧迫されて、息できない。視界が揺れる。意識が遠のく。
まだ誰も救っていないのに、意識を失ったら、守れるものも守れない。なんために、ナズナ先輩とマナミ先輩がわたしをここに残したと思うんだ。
多くでも死傷者を出さないためにでしょ。しっかりしろ。気絶するな。
だんだんと遠のく意識を奮いたたせた。頭の中で、鼓舞するリュウの声も。負けない。わたしには守りたいひとがいるから。
すると、わたしの体に巻きついていた触手がバラバラに。遠のく視界に見えた、一筋の光。銃口の光だった。
シノの放った弾劾が、触手をバラバラにさせた。わたしは自由のみ。解放されて、崩れるように地上に落ちた。
リュウが下でキャッチ。
焦った表情で、わたしの顔を見下ろす。ちょっとこれだけでも幸せかも。なんて、幸せに浸っている場合じゃない。
振り向くと、銃口の光だけが光っていた。物陰から銃口を出している。三体のノルンに向かって。
あの硬い甲冑は、シノの弾劾でも無理だ。弾き飛ばせない。でも、シノは撃った。甲冑でもない触手のほうを。
触手はボトボト飛ばされ、幾多に生えてある触手をかき分けて、皮と肉が見えた。
でも、触手はまた生えてくる。まろびでた皮と肉を隠すように、触手がうねうね生えてくる。
一瞬の隙もないまま、また撃った。隠すように生えた触手の間を狙って。絶対命中のシノの銃は、その一瞬の隙でも効果抜群。
狭い間をかき分けて、まろびでた肉を撃った。ノルンが絶叫する。悲鳴に似た。
その音波は、周りのものを吹き飛ばす。近くにリュウがいたから吹き飛ばされることはなかった。
でもシノは、あの体で、強風がふけば枯れ落ちた葉のように吹っ飛んでいく。荒れ地に何度も体を叩きつけられ、建物の壁に激突されそうになったとき、それを助けたのはダイキ。ダイキナイスキャッチ。
悲鳴をあげたノルンはサラサラと灰になっていく。どうやらあそこが核であって、間違いないようだ。
わたしはシノに駆け寄った。シノの目鼻立ちが整っている顔に、かすり傷がついている。小さな赤い血が。白い肌が一層目立つ。
「シノ、大丈夫!?」
「えぇ。こんなのはかすり傷。ユナも大変だったわね」
支えてもらったダイキからそっとはなれる。わたしは傷一つない。ピンピンしている。これまでノルンと遭遇したけれど、かすり傷もない。
一体は消滅したけれど、まだ二体ある。二体も同じように触手の間を通り越し、核を破壊するか、それとも、わたしが首を斬るか。
シノがとった手段は両方を選んだ。
わたしがもう一体の首を斬り、シノももう一体のノルンを撃つ。でも、問題があるんだよ。
接近戦のわたしだと、簡単に触手に捕まっていまさっきみたいになる。また触手に捕まりたくはない。
でも、悠長なことは言っていられない。学校に大群のノルンが攻めている。攻撃型ノルン、知性型ノルン、巨大ノルンの三種が。揃いも揃って、学校の高い檻を登り、敷地を壊そうとしていた。
魔女が対峙している。でも、その数はノルンのほうが勝っている。状況は悪化していく。わたしたちも早く加勢しなければ。
捕まりたくなかったら、強くなれ。わたしは意を決した。このノルンを早く対峙して、向かわないと。
わたしはさっきのように地面や壁を伝って高く飛んだ。飛んだら空中戦になる。宇宙空間みたいに軽々動けない。けど、それは相手も少しながら同じなはず。
背中に目はない。
背後に周り、一気に刃を振り落とす。確実に仕留めろ。腹の底から出てきた力を振り落とす刃に向けた。
真っ直ぐにその刃は首に向かっていく。だけど、そう簡単に斬れさせてくれない。わたしの殺気に気づき、触手が背後に回ってきた。右側から左側からも。
挟み撃ちだ。
甲冑を踏み飛んだ。挟み撃ちには合わなかったけど、斬るところが随分太くなった。触手が首を守るように、ガードしている。
問題ない。そのまま斬れる。
わたしは息を吸い、汗でぬかるんでいる聖剣を握りしめた。自分でも驚くほど汗かいている。全身びっちょり。
それでも、これだけは離さない。
空中で軌道力を保ちながら、回転し、首元を斬った。〝この世のものを何んでも斬れる聖剣〟はその名の通り。
粘土のように覆っていた首を斬った。
神経と骨が斬れた感触が、聖剣から腕に伝わった。この手応え、あり。確実に仕留めた。
一方そのころシノは、態勢を低くして銃口を、ノルンに向けていた。緊張が渦巻いている。暫く観察し、狙いを定めて、引き金を引く。
だけど、その弾劾は甲冑にて粉々に散った。絶対命中の弾も弾く、その硬さ、まさに驚異。
弾かれたことにショックを抱く暇はない。すぐに平静を取り戻し、再び撃つ。同じ角度から撃ってあるのに、蛇みたいにその弾劾はうねり、今度は触手へ。
触手を撃ち落とした。
そこの部分は皮が厚いから、肉は見えない。けど、触手を振り払った。その隙をみて、再び僅かな隙間に弾を撃つ。
二体の巨大なノルンがサラサラと灰になっていく。天井に向かって、飛んでいく。天井に向かった灰はどうなるんだろう。ユグドラシルの樹みたいに、分離するだろうか。
二体の巨大ノルンを倒し、ダイキがやけに興奮。初めて魔女が戦う姿を見たと。
「すっげー! シノちゃんすっげーな! 冷静にバンバン撃って、かっこよった!」
ダイキが目を輝かせた。
こんな状況なのに無邪気なの、ダイキぐらいだよ。シノは顔を紅色に染めて、顔をそらした。
「こんなの、たいしたことない」
なんだか、シノの態度がいつもより可愛げある。いや、いつも可愛いんだけどね。今はその倍可愛い。
そういえば、リュウも魔女が戦う姿初めて見ると思う。けど、全然そんなこと言わなかったし、普段通り。ダイキみたいにかっこよった、て言っても良くない。
すると、ぐらりと視界が傾いた。気づいたら、膝をついている。地震だ。天地がひっくり返るような地震だ。
地震は訓練でしか受けたことないから、大災害のを経験するのは初めてだ。わたしは地震に慄いているけど、みんなして学校のほうを振り向いてる。
そこに何かあるのか、みんなして、同じ表情。驚きの表情をしていた。わたしも恐る恐る振り向いた。
あぁ、なるほど。みんながあぁなる理由がわかる。学校のほうに雷が落ちていた。白銀の鋭い棘が、学校に落ちている。
地震はこの雷が落ちたからだ。
でも、ここは厄災も何もない世界。
ましてや、雲もない場所だ。なのに、雷が誕生するわけがない。雷は、天井から落としているわけがない。天井の先の世界から落としている。
天から落ちてきたのだ。ノルンと一緒に。
数千年前、天から授けられたものは、神様と生命。なのに、後世では慈悲もないもの。
まさか、後世の人類が天から授けられたものは雷だとは、数千年前の人間は知る由もない。
その雷は学校に穴を開けるほど強大なるものだった。
わたしたちは急いで学校に。
穴は親指ほどの小さな穴。だけど、建物を貫通させ、ウルド様がいる地下にも貫通している。顔を覗かせている。
また雷が落ちてきた。
叩き割るように何度も。
もう音も聞こえないから、その「音」は分からないけど、シノたちが顔を歪めるのだから、きっとその音は、非常に不愉快なのだろう。
学校に穴が空き、そこから赤い炎が。バチバチと閃光が出現し、閃光同士がぶつかり合うと、赤い炎が生まれた。
全校舎窓硝子は割れ、赤い炎が立ち込めている。遠くにいても、煙の臭いが。
3階の校舎が炎に立ち込めたのは、それから数分も時間はかからなかった。校舎が赤い炎に包まれていく。このままじゃ、マドカ先輩が。
マドカ先輩がいるのは、1階の保健室。まだ安全とは言い切れない。
わたしたちは急いだ。
学校付近になると、ノルンは多くなる。
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