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Ⅱ 地球とエデンの革命
第12話 圧政
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夕暮れ時のサイレンを聞くとどこの家の子供も早くお家に帰る。夜になると監視ロボットが警備がうるさくなるからね。この間も夜に出歩いている婦人を発見して殺したと。
監視ロボットに見つかったらただではすまない。特に僕らはエデンのロボットを壊したのだから。最重要容疑者にかかった気分だ。
「良太、時間だ」
「わかってる。あとこれだけで終わるのに」
良太は汗をを拭い取り、しぶしぶ立ち上がった。頬にはススがついていてる。額からツゥと滴り落ちた汗が滲んで小粒の汗と合体して、大粒になると顎から滴り落ちた。
機械については詳しくないから、良太を連れて来てよかった。ハンカチを手渡すと洗濯屋に出す金はねぇ、と言われて断られたけど、これは困らせるためにやったことじゃない。といえば、素直に受け取ってくれた。
船から降りてすぐに地区に戻った。帰って明保野さんの様子を見に行きたかったけど、出来そうにない。僕らはそれぞれ帰路についた。
家に帰ると、おばあちゃんが鬼のような顔して待ち迎えていた。地獄の炎が垣間見える。
「おかえり、待っていたんだよ」
「た、ただいま、どうしたの?」
「ふん」
おばあちゃんは鼻で笑った。ひゅん、と空気が割った音が。気がつくと 僕の目と鼻の先に杖の突先が。驚いて後退した。
「おばあちゃん、危ないじゃないか!」
「ふん。自分のことも知ろうともせず他と仲良くする罪深いやつのほうがよっぽど危ない。空よ。よぉく聞け。天から一つの厄災がこの地に降りてきた。その厄災を抹殺しなければ、この地はたちまち、滅びるとしよう。地だけじゃない、天も」
おばあちゃんの独特なわけのわからない話が始まった。僕はムッとして早足でおばあちゃんの隣を通り過ぎた。おばあちゃんはまだ、文句をグチグチ言っているが生憎今日は疲れたので聞きたくもない。
「あの子は厄災……厄災だ!」
おばあちゃんは頭を振り回して大声で叫んだ。その声にびっくりしておくから母さんが飛び出す。おばあちゃんの「あの子」は明保野さんだ。明保野さんは全然そんな子じゃないのに。
そういえば、明保野さんはよく顔が知れ渡っていた。今回の騒動でエデンが探しているのは彼女であり、どこに寝泊まりしているのか知っているのはおばあちゃんだけだ。さぁと血の気が引いてく。
「おばあちゃん、絶対言わないでね」
さっきまで無視していたおばあちゃんに泣きすがる。おばあちゃんは僕の血相変えてやってきたこと、その理由がわかる態度でまた、鼻を鳴らした。
「ふん。あたしゃ、金に困っとらん。あたしゃね、売り捌くべきではなく、抹殺じゃ」
「おばあちゃん怖いこと言わないで」
おばあちゃんの顔は真剣だった。おばあちゃんはずっと明保野さんを警戒している。今回の騒動で無理はないけど。
翌日、エデンからこんな政治がかけられた。窓を常に開け、監視ロボットが監視てきるようにしろ。そして、それを破った者には私刑。また、監視ロボットを破壊した者にも私刑。エデンから圧政だ。
人々はざわついた。エデンから新たな圧政にたじろぐばかり。原因はわかっている僕らが気まずい。エデンからの圧政は初めてでもない。生きていて五回くらいある。
夜出歩くなとか。
酒は強奪、禁止とか。
エデンの悪口を言うな。
こちらの娯楽を奪う政治ばかり。地球の民に重圧の圧政をかけて従わせている。普通に生きたくても生きれない。
エデンからの圧政は初めてでないにしろ、きっかけが分からない人々は怒り狂った。
「おれたちが何をしたんだ!」
「ただ普通に過ごしてただけなのに!」
この騒動で監視ロボットがきて、暴れている群衆を縄でひと括りして連れて行く。広場がちよっとした殺伐空気に。
「これ、間違いなくオレたちが原因だよな?」
嵐が怪訝な表情。言い返す言葉なかった。監視ロボットが当たり前のように人を拐っていく。エデンからの圧政に不満を感じた人々がついに堪忍袋の緒が切れた。ロボットを破壊したのである。
ロボットを破壊した挙句、懸賞金がかかっている明保野さんを探し始めた。
「どういう状況だこれ」
困惑するばかり。
嵐と目があって、明保野さんがいる病院に向かった。病院の前に人だかりが出てきていた。窓を突き破る勢いだ。ロボットを破壊した勢力と変わらない雰囲気。もしや、明保野さんがここにいるのを知ったとか。誰が話したのか。
「裏から行こう」
「ああ」
僕たちは裏に周り、病院内に入った。裏門にはせいらと良太が。そして、良太の背中には明保野さんが背負わされていた。毛布で隠されており、表情は分からない。
「入り口のほう、完全に封鎖しているから誰も入れないはず」
せいらが真っ青な顔で言った。
「一応言っとくが俺じゃないぞ」
良太が怪訝な表情で言った。
明保野さんがここにいるという事を知っているのは僕らだけ。良太は懸賞金もあるため、再びエデンにチクったのでは、と。でも僕らは、良太を信じているから。
「わかっている。それに、僕らより先にここにいること自体。それはない」
僕が言い切ると良太は、少し笑った。背中にいた頭がモゾモゾ動いた。せいらがそれにいち早く気がついて駆け寄った。
「起きた? ごめんね。体しんどいのに。でも大丈夫。私たちが絶対治すから」
明保野さんの顔は相変わらず毛布で隠れていて分からない。雪のように白い肌がまるで、死人のように真っ青してて生きているのを疑う。唇はカサカサになり青い。
「え? そんな……」
せいらは目を大きく見開いた。
「なんだ? 何て言ったんだ?」
嵐が訊く。
「……『私を差し出せば問題は解決』だって。そんなの」
「するわけないだろ!」
僕が身を乗り出す。
僕らはエデンに明保野さんを差し出さない。でも目的の場所はエデン。矛盾しているかもしれない。けど、得体のしれない連中に明保野さんを渡すことなんかするものか。
「ひとまず、船のところに隠れよう。割と綺麗にしたんだろ?」
良太が優しい口調で言った。
背中に背負っている明保野さんを気遣ってあまり、荒い口調を出さない。
「ふっ。愚問ね! ちゃーんと掃除してクソカス一つもねぇわよ」
せいらがふんぞり返る。
「おうよ! オレらが真面目に真剣に取り組んだからな!」
嵐もふんぞり返る。二人の自信満々な様子を見て良太はへぇ、とそっけない返事で返した。そして、人々に見つからないように船へ。
でも、そう簡単な話じゃないのは承知。
入り口の門は壊され、窓は割られ、荒れ狂う者共が明保野さんを探している。監視ロボットがいないと住民はすぐこうなる。エデンからの圧政と常々監視された毎日にストレスが過激に。そしてそれらが爆発すると地雷のように広範囲に渡って被害が生じる。
荒れ狂う者共の目から無事に船まで行けるか鍵だ。船のメンテナンスは既に出来ている。あとは道中必要な食べ物とトイレなどの必要最低限な設備さえ。
「今すぐにでも行きてぇな」
良太はぽつりと呟いた。
「同感。もう行こうぜ!」
嵐が周囲をキョロキョロしながら、こちらに手招きした。僕らは嵐のあとに続く。
「僕は反対しない。このまま地球から離れたほうが良さそう」
僕は深く考えなかった。でも10年前をよく思い出せ。エデンの民は船に乗っている人間を体温認識で確認できる。遠くにいても認識できる。
もし地球の民とわかると太陽のように船を攻撃してくるかもしれない。
毎年のように誰かが船に忍び込んだり、船を作ったり、そうしてエデンに行こうとする輩をエデンたちは全て排除している。全部、エデンに行き着く前のまだ、地球ギリギリで撃ち落とす。
船の亡骸も含めて地球に落とす作戦。
それがある限り、どうやってエデンにいくか考える。だからこそ、明保野さんがついている。嵐が当初彼女利用する理由はここだ。明保野さんはエデンにとって大事なひと柱。
そんな彼女が乗っている船をエデンは攻撃しない。できない。僕も明保野さんを利用しているみたいで嫌だけどね。
明保野さんは時々小さく咳をして、毛布から小さく顔を出している。僕らの会話を聞いてエデンに今すぐ行くのだと分かると複雑な表情をしていたことに僕らは気が付かない。
船までの地区までようやくたどり着いた。ここまで存在を隠すかのように早足で歩いていたせいで、到着したらやっと息ができた。深呼吸する。
ここまで、警戒するべきの監視ロボットを一度も見かけなかった。街にいるロボットを全部破壊したのだろうか。狂気だな。
船は当然当たり前のようにあって、僕らがそれを確認すると心の底から安堵した。良かった。誰にも盗られてない。目をつけたものが盗られるなんて暑中だからね。
それに外に放置していた家具ものがそのままで、誰も人が寄っていない事実を知る。僕らは喜びで舞い上がり、船に駆け寄った。
監視ロボットに見つかったらただではすまない。特に僕らはエデンのロボットを壊したのだから。最重要容疑者にかかった気分だ。
「良太、時間だ」
「わかってる。あとこれだけで終わるのに」
良太は汗をを拭い取り、しぶしぶ立ち上がった。頬にはススがついていてる。額からツゥと滴り落ちた汗が滲んで小粒の汗と合体して、大粒になると顎から滴り落ちた。
機械については詳しくないから、良太を連れて来てよかった。ハンカチを手渡すと洗濯屋に出す金はねぇ、と言われて断られたけど、これは困らせるためにやったことじゃない。といえば、素直に受け取ってくれた。
船から降りてすぐに地区に戻った。帰って明保野さんの様子を見に行きたかったけど、出来そうにない。僕らはそれぞれ帰路についた。
家に帰ると、おばあちゃんが鬼のような顔して待ち迎えていた。地獄の炎が垣間見える。
「おかえり、待っていたんだよ」
「た、ただいま、どうしたの?」
「ふん」
おばあちゃんは鼻で笑った。ひゅん、と空気が割った音が。気がつくと 僕の目と鼻の先に杖の突先が。驚いて後退した。
「おばあちゃん、危ないじゃないか!」
「ふん。自分のことも知ろうともせず他と仲良くする罪深いやつのほうがよっぽど危ない。空よ。よぉく聞け。天から一つの厄災がこの地に降りてきた。その厄災を抹殺しなければ、この地はたちまち、滅びるとしよう。地だけじゃない、天も」
おばあちゃんの独特なわけのわからない話が始まった。僕はムッとして早足でおばあちゃんの隣を通り過ぎた。おばあちゃんはまだ、文句をグチグチ言っているが生憎今日は疲れたので聞きたくもない。
「あの子は厄災……厄災だ!」
おばあちゃんは頭を振り回して大声で叫んだ。その声にびっくりしておくから母さんが飛び出す。おばあちゃんの「あの子」は明保野さんだ。明保野さんは全然そんな子じゃないのに。
そういえば、明保野さんはよく顔が知れ渡っていた。今回の騒動でエデンが探しているのは彼女であり、どこに寝泊まりしているのか知っているのはおばあちゃんだけだ。さぁと血の気が引いてく。
「おばあちゃん、絶対言わないでね」
さっきまで無視していたおばあちゃんに泣きすがる。おばあちゃんは僕の血相変えてやってきたこと、その理由がわかる態度でまた、鼻を鳴らした。
「ふん。あたしゃ、金に困っとらん。あたしゃね、売り捌くべきではなく、抹殺じゃ」
「おばあちゃん怖いこと言わないで」
おばあちゃんの顔は真剣だった。おばあちゃんはずっと明保野さんを警戒している。今回の騒動で無理はないけど。
翌日、エデンからこんな政治がかけられた。窓を常に開け、監視ロボットが監視てきるようにしろ。そして、それを破った者には私刑。また、監視ロボットを破壊した者にも私刑。エデンから圧政だ。
人々はざわついた。エデンから新たな圧政にたじろぐばかり。原因はわかっている僕らが気まずい。エデンからの圧政は初めてでもない。生きていて五回くらいある。
夜出歩くなとか。
酒は強奪、禁止とか。
エデンの悪口を言うな。
こちらの娯楽を奪う政治ばかり。地球の民に重圧の圧政をかけて従わせている。普通に生きたくても生きれない。
エデンからの圧政は初めてでないにしろ、きっかけが分からない人々は怒り狂った。
「おれたちが何をしたんだ!」
「ただ普通に過ごしてただけなのに!」
この騒動で監視ロボットがきて、暴れている群衆を縄でひと括りして連れて行く。広場がちよっとした殺伐空気に。
「これ、間違いなくオレたちが原因だよな?」
嵐が怪訝な表情。言い返す言葉なかった。監視ロボットが当たり前のように人を拐っていく。エデンからの圧政に不満を感じた人々がついに堪忍袋の緒が切れた。ロボットを破壊したのである。
ロボットを破壊した挙句、懸賞金がかかっている明保野さんを探し始めた。
「どういう状況だこれ」
困惑するばかり。
嵐と目があって、明保野さんがいる病院に向かった。病院の前に人だかりが出てきていた。窓を突き破る勢いだ。ロボットを破壊した勢力と変わらない雰囲気。もしや、明保野さんがここにいるのを知ったとか。誰が話したのか。
「裏から行こう」
「ああ」
僕たちは裏に周り、病院内に入った。裏門にはせいらと良太が。そして、良太の背中には明保野さんが背負わされていた。毛布で隠されており、表情は分からない。
「入り口のほう、完全に封鎖しているから誰も入れないはず」
せいらが真っ青な顔で言った。
「一応言っとくが俺じゃないぞ」
良太が怪訝な表情で言った。
明保野さんがここにいるという事を知っているのは僕らだけ。良太は懸賞金もあるため、再びエデンにチクったのでは、と。でも僕らは、良太を信じているから。
「わかっている。それに、僕らより先にここにいること自体。それはない」
僕が言い切ると良太は、少し笑った。背中にいた頭がモゾモゾ動いた。せいらがそれにいち早く気がついて駆け寄った。
「起きた? ごめんね。体しんどいのに。でも大丈夫。私たちが絶対治すから」
明保野さんの顔は相変わらず毛布で隠れていて分からない。雪のように白い肌がまるで、死人のように真っ青してて生きているのを疑う。唇はカサカサになり青い。
「え? そんな……」
せいらは目を大きく見開いた。
「なんだ? 何て言ったんだ?」
嵐が訊く。
「……『私を差し出せば問題は解決』だって。そんなの」
「するわけないだろ!」
僕が身を乗り出す。
僕らはエデンに明保野さんを差し出さない。でも目的の場所はエデン。矛盾しているかもしれない。けど、得体のしれない連中に明保野さんを渡すことなんかするものか。
「ひとまず、船のところに隠れよう。割と綺麗にしたんだろ?」
良太が優しい口調で言った。
背中に背負っている明保野さんを気遣ってあまり、荒い口調を出さない。
「ふっ。愚問ね! ちゃーんと掃除してクソカス一つもねぇわよ」
せいらがふんぞり返る。
「おうよ! オレらが真面目に真剣に取り組んだからな!」
嵐もふんぞり返る。二人の自信満々な様子を見て良太はへぇ、とそっけない返事で返した。そして、人々に見つからないように船へ。
でも、そう簡単な話じゃないのは承知。
入り口の門は壊され、窓は割られ、荒れ狂う者共が明保野さんを探している。監視ロボットがいないと住民はすぐこうなる。エデンからの圧政と常々監視された毎日にストレスが過激に。そしてそれらが爆発すると地雷のように広範囲に渡って被害が生じる。
荒れ狂う者共の目から無事に船まで行けるか鍵だ。船のメンテナンスは既に出来ている。あとは道中必要な食べ物とトイレなどの必要最低限な設備さえ。
「今すぐにでも行きてぇな」
良太はぽつりと呟いた。
「同感。もう行こうぜ!」
嵐が周囲をキョロキョロしながら、こちらに手招きした。僕らは嵐のあとに続く。
「僕は反対しない。このまま地球から離れたほうが良さそう」
僕は深く考えなかった。でも10年前をよく思い出せ。エデンの民は船に乗っている人間を体温認識で確認できる。遠くにいても認識できる。
もし地球の民とわかると太陽のように船を攻撃してくるかもしれない。
毎年のように誰かが船に忍び込んだり、船を作ったり、そうしてエデンに行こうとする輩をエデンたちは全て排除している。全部、エデンに行き着く前のまだ、地球ギリギリで撃ち落とす。
船の亡骸も含めて地球に落とす作戦。
それがある限り、どうやってエデンにいくか考える。だからこそ、明保野さんがついている。嵐が当初彼女利用する理由はここだ。明保野さんはエデンにとって大事なひと柱。
そんな彼女が乗っている船をエデンは攻撃しない。できない。僕も明保野さんを利用しているみたいで嫌だけどね。
明保野さんは時々小さく咳をして、毛布から小さく顔を出している。僕らの会話を聞いてエデンに今すぐ行くのだと分かると複雑な表情をしていたことに僕らは気が付かない。
船までの地区までようやくたどり着いた。ここまで存在を隠すかのように早足で歩いていたせいで、到着したらやっと息ができた。深呼吸する。
ここまで、警戒するべきの監視ロボットを一度も見かけなかった。街にいるロボットを全部破壊したのだろうか。狂気だな。
船は当然当たり前のようにあって、僕らがそれを確認すると心の底から安堵した。良かった。誰にも盗られてない。目をつけたものが盗られるなんて暑中だからね。
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