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Ⅶ 自由
第47話 集結
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約束の地は東。
東の守人である久乃さんを動かすには困難。その地で四人集結させる。この作戦は周りには秘密だ。知っているのは数少ない。せいらと嵐と太陽とあとは、守人四人。
「本当にできるかな?」
不安を声にした明保野さん。
「大丈夫だよ」
僕は明保野さんの手を引いて、北区のまちを歩く。行き交う人々やロボットたちは知らない。明保野さんが抱いていた不安も孤独も、知っているのは僕らだけ。そこに何故か優越感を感じた。
明保野さんは人目を避けて白い布で顔を隠している。ずっと同じ顔だから気味が悪がないようにするためだ。
「みんな、待っている」
僕が陽気に言う。明保野さんは不安な顔をしている気がした。布越しでもわかる。繋いだ手が緊張で硬くなったから。
「でもわたし、一回、我儘でみんなに迷惑をかけたから、東の守人は恨んでいるのかも」
「全然そんなことないよ。それに。東の守人は久乃さん、といって明保野さんと幼馴染で仲良かったんだ」
それを聞いた明保野さんは目を見開いた。さっきまで引いていた腰を上ずって僕に近づく。
「それ本当?」
「本当。この目で見てきたんだ。明保野さんと久乃さんはお互いの家庭環境を知っている仲で誰よりも理解し合っている仲だ」
確かにこの目で見てきた。二人の距離感。あの仲は途中から来たものが間に入れるわけがない。久乃さんがそもそもさせない。
明保野さんは目をキラキラさせていた。良かった。気分が高揚してきて。
北区の港にたどり着き、用意した船に乗る。北区から離れるその1歩をやはり、躊躇していた。
踏み止まっている両足を眺め長考。
「大丈夫。結界は東が強固してくれる。南も西もその東に向かっている。明保野さん不在じゃ、寂しいよ」
そう優しく言うと明保野さんは観念したのか、恐る恐る片足をあげて、船に一歩、二歩、足をつく。北区を恐る恐る振り向くと何事もない。
遠くから車の音や機械音のみ。
人々は気づいてすらいない。楽しそうに日常を謳歌していた。その姿をみるや、明保野さんはゆっくり息をついた。
「こんなの、言ったら東の守人に怒られるけど、やっぱり〝自由〟ていいな」
明保野さんは両の腕を横に広げ、顔を上げた。大きく深呼吸する。晴れやかな顔だ。
「やっぱり自由の明保野さんは綺麗だよ」
「なにそれ。惚れさせようとしてる?」
ふふふと無邪気に笑った。笑ったのだ。あの明保野さんが。普段守人の責務で顔を顰め、窮屈な毎日を送っていた彼女が少女のように笑ったのだ。それを見て僕は跳ねるように喜んだ。
「笑った……笑った!」
「え、何? 笑っちゃ悪い?」
明保野さんは若干引いたように腰を引いた。
「だって、明保野さんずっと――」
僕はエデンにいた頃の明保野さんと地球にいた頃の明保野さんを思い出してやっぱり、顔が違う。
「ずっと、笑っていなかったから」
僕はじっと見てそう告げると彼女は苦笑した。
「そうかな? そうかもね」
だんだんと北区の街並みが遠く離れていく。それを喜びなのか、悲しみなのか、どちらとも掴めない無感情でじっ、と眺めていた。
波は穏やかで僕らを招いていくれる。朝の陽光を浴びて海面はキラキラと輝き顔に反射してきては痛い。今日はすごい快晴だ。まるで、守人のために何もかも運が味方しているみたいだ。
海は荒れることなく、東の地まで辿り着いた。
「ここが」
「そう」
僕が一歩地面に足を置き、明保野さんに手を伸ばす。彼女の手を取り、船を降りた。辺りをキョロキョロする。
一度来たときは曇天で海が荒れて空気全体が淀んでいた。けど、今日は憎いくらいの快晴で空気が晴れやか。カッと照らす太陽の光により、島全体の植物や砂浜に色が彩り、無法地帯だと思われた森の中は緑一色で観光景色みたい。
砂浜はより、クッションみたいに柔らかい。明保野さんは下駄をポイと無造作に投げ捨て、砂浜の上を駆け上がる。ザザと白い波が打ちひしがれ、彼女の生白い足に静かに浸かる。
「きゃ! 冷たい!」
泡の海をペチャペチャ歩いていく。楽しそうで僕も混ぜた。浅いところで一緒に足だけ浸かり、海面をすくってはパシャパシャかける。明保野さんの黄色い甲高い声が耳に響く。そうやって遊んでいると
「……お前ら、何し?」
突然、声をかけられ振り向くと嵐とせいらが砂浜の上で呆然とこちらを見ていた。
「あれいつの間に」
「割とずっと、パシャパシャかけて楽しそうで声かけられなくてよぉ、見せびらかしてんのか?」
嵐は青筋立てて怒り狂う。
「そんなじゃ……」
「もぉ邪魔ものは退散! ほら、続きをやっちゃってくださいな!」
急に出てきたせいらが嵐の背中をバシバシ叩いて、見えない草むらの方に向かっていく。明保野さんが反れを見て「わたしも行く」と返事すると、せいらは「お構いなく~」と不気味に作った笑顔。
嵐は終始文句を垂れていたが、せいらがグイグイと引っ張るものだから、その声も届かなくなる。僕は明保野さんのほうに振り向くと、普段隠れている真っ白い足や透けている巫女服を見て、察した。
子供に返ったみたいにはしゃいだ。何しに来たんだ。
「ごめん、明保野さん」
僕は上着を脱いでそれを手渡す。明保野さんはそれを見て目をぱちくりしていたが、やがて理解したらしい。顔を赤く染めて、上着を羽織った。
「僕らも行こう」
僕は明保野さんの手を取って、森の奥に入った。明保野さんは手を握り僕の隣に歩いた。
「みんな、集まっているのかな?」
「さっき嵐たちがいたから、もう到着してるはず。どんな気分?」
僕は聞くと明保野さんはまた、無感情で地面を見下ろしていた。
「やっと会える嬉しさと、わたしの我儘で迷惑かけてしまった申し訳無さと、あと、ドキドキしている。すごい興奮している」
明保野さんは胸に手を置き、少しだけ笑った。また笑った。それだけで僕は安堵する。
守人という役職は同じなのに、千年間顔も見たことない。もはや暗黙のルールと言わざる負えないその鎖を断ち切る。その時が来る。僕らが歩を進めて辿り着いた場所は東の守人がいる山小屋。あの小屋には大変お世話になった。思い出すとまるで、昨日のようだ。
扉が開いている。声がかすかに聞こえてきた。チラリと覗くともうみんな、集まっていた。
「あら、遅かったのねふふふ」
南の守人、鳳華姐さんがいち早く僕らに気づき妖艶な笑みを向ける。
「遅くても良かったのに」
せいらがニマニマ笑うので、僕はデコピンで返した。
「さて、揃ったことだし早速始めるか」
仕切ったのは太陽。
せいらと嵐は南の守人、太陽は西の守人、僕は明保野さんを船につれて東に、四人の守人がここで集結した。
四人とも、それぞれの顔を見て感無量に固まる。
「こんな顔だったのね~」
鳳華姐さんが珍しく笑わずに言った。
「あ、あの、お、」
「ん?」
苗化ちゃんが鳳華姐さんに何か言いたげにもじもじした。鳳華姐さんは首を傾げる。苗化ちゃんは顔を赤く染め、口をモゴモゴしてバッと顔を上げた。
「おねぇ、お姉ちゃん……やっぱり何でもない!」
苗化ちゃんはすかさず太陽の後ろに隠れ、鳳華姐さんはキョトン顔。「あらやだ。可愛いわ~」とふふふと笑う。
守人は本来、自分の管轄から抜けられない。それは、エデンを覆う結界が解かれるから。が、こうして三人とも自分の管轄から抜け出し四人揃った事態に。東の守人である久乃さんは、現在結界を補強していない。つまり――……。
「呪いは元々なかったということかしら」
鳳華姐さんがコテンと首を傾げる。
「多分、四人揃ったからだと思う」
明保野さんが頭を振った。
「個人で離れたとき結界が緩む。けど、四人揃ったらその呪いはなくなる。千年……バラバラだったのがバカらしいね」
明保野さんは話を続けて、苦笑した。四人とも言葉では言い表せぬ穏やかな雰囲気に。話したいこともある。山ほどあるのに何から話せばいいのか。
しかし、時間は然程なく管轄内に守人がいないことを先住民が知れば結界を破いてくるかもしれない。そうなる前にことを早める。
四人はパンドラの箱を開けたこと、その願いを打ち明けると四人とも順応した。
「そんな願い」
明保野さんは絶句した。
そんな願いでも、彼女たちは藁にも縋る想いで、白い像に願いを叶えた。
〝起きてしまった〟事でどうしょうもない。〝これから〟どうするか。それは、パンドラの箱を開けたなら閉じることも彼女たちの力なのでは。
「でもここに白い像はない。でもこうして……」
苗化ちゃんが隣にいる久乃さんと鳳華姐さんの手を取り握った。明保野さんが察して、同じように両サイドにいる二人の手を握った。
「こうして、四人で」
「手を握って輪になる」
「まさに、パンドラの鍵ね」
四人手を取り輪になった。何が起こることもなく、静かな空間。四人はその静寂を斬るかのように揃って唱えた。
「運命を斬り伏せ願いを断ち切る」
そう唱えた瞬間四人の体が発光し、目も当てられないほど。やがて光が弱まり視界がようやく広げる。あの光は何だったのか。明保野さんは無事か。四人揃っての願いを言ったのに、白い像は叶えてくれなかった。やはり、運命を斬り伏せるには、千年前に戻らないといけない。
東の守人である久乃さんを動かすには困難。その地で四人集結させる。この作戦は周りには秘密だ。知っているのは数少ない。せいらと嵐と太陽とあとは、守人四人。
「本当にできるかな?」
不安を声にした明保野さん。
「大丈夫だよ」
僕は明保野さんの手を引いて、北区のまちを歩く。行き交う人々やロボットたちは知らない。明保野さんが抱いていた不安も孤独も、知っているのは僕らだけ。そこに何故か優越感を感じた。
明保野さんは人目を避けて白い布で顔を隠している。ずっと同じ顔だから気味が悪がないようにするためだ。
「みんな、待っている」
僕が陽気に言う。明保野さんは不安な顔をしている気がした。布越しでもわかる。繋いだ手が緊張で硬くなったから。
「でもわたし、一回、我儘でみんなに迷惑をかけたから、東の守人は恨んでいるのかも」
「全然そんなことないよ。それに。東の守人は久乃さん、といって明保野さんと幼馴染で仲良かったんだ」
それを聞いた明保野さんは目を見開いた。さっきまで引いていた腰を上ずって僕に近づく。
「それ本当?」
「本当。この目で見てきたんだ。明保野さんと久乃さんはお互いの家庭環境を知っている仲で誰よりも理解し合っている仲だ」
確かにこの目で見てきた。二人の距離感。あの仲は途中から来たものが間に入れるわけがない。久乃さんがそもそもさせない。
明保野さんは目をキラキラさせていた。良かった。気分が高揚してきて。
北区の港にたどり着き、用意した船に乗る。北区から離れるその1歩をやはり、躊躇していた。
踏み止まっている両足を眺め長考。
「大丈夫。結界は東が強固してくれる。南も西もその東に向かっている。明保野さん不在じゃ、寂しいよ」
そう優しく言うと明保野さんは観念したのか、恐る恐る片足をあげて、船に一歩、二歩、足をつく。北区を恐る恐る振り向くと何事もない。
遠くから車の音や機械音のみ。
人々は気づいてすらいない。楽しそうに日常を謳歌していた。その姿をみるや、明保野さんはゆっくり息をついた。
「こんなの、言ったら東の守人に怒られるけど、やっぱり〝自由〟ていいな」
明保野さんは両の腕を横に広げ、顔を上げた。大きく深呼吸する。晴れやかな顔だ。
「やっぱり自由の明保野さんは綺麗だよ」
「なにそれ。惚れさせようとしてる?」
ふふふと無邪気に笑った。笑ったのだ。あの明保野さんが。普段守人の責務で顔を顰め、窮屈な毎日を送っていた彼女が少女のように笑ったのだ。それを見て僕は跳ねるように喜んだ。
「笑った……笑った!」
「え、何? 笑っちゃ悪い?」
明保野さんは若干引いたように腰を引いた。
「だって、明保野さんずっと――」
僕はエデンにいた頃の明保野さんと地球にいた頃の明保野さんを思い出してやっぱり、顔が違う。
「ずっと、笑っていなかったから」
僕はじっと見てそう告げると彼女は苦笑した。
「そうかな? そうかもね」
だんだんと北区の街並みが遠く離れていく。それを喜びなのか、悲しみなのか、どちらとも掴めない無感情でじっ、と眺めていた。
波は穏やかで僕らを招いていくれる。朝の陽光を浴びて海面はキラキラと輝き顔に反射してきては痛い。今日はすごい快晴だ。まるで、守人のために何もかも運が味方しているみたいだ。
海は荒れることなく、東の地まで辿り着いた。
「ここが」
「そう」
僕が一歩地面に足を置き、明保野さんに手を伸ばす。彼女の手を取り、船を降りた。辺りをキョロキョロする。
一度来たときは曇天で海が荒れて空気全体が淀んでいた。けど、今日は憎いくらいの快晴で空気が晴れやか。カッと照らす太陽の光により、島全体の植物や砂浜に色が彩り、無法地帯だと思われた森の中は緑一色で観光景色みたい。
砂浜はより、クッションみたいに柔らかい。明保野さんは下駄をポイと無造作に投げ捨て、砂浜の上を駆け上がる。ザザと白い波が打ちひしがれ、彼女の生白い足に静かに浸かる。
「きゃ! 冷たい!」
泡の海をペチャペチャ歩いていく。楽しそうで僕も混ぜた。浅いところで一緒に足だけ浸かり、海面をすくってはパシャパシャかける。明保野さんの黄色い甲高い声が耳に響く。そうやって遊んでいると
「……お前ら、何し?」
突然、声をかけられ振り向くと嵐とせいらが砂浜の上で呆然とこちらを見ていた。
「あれいつの間に」
「割とずっと、パシャパシャかけて楽しそうで声かけられなくてよぉ、見せびらかしてんのか?」
嵐は青筋立てて怒り狂う。
「そんなじゃ……」
「もぉ邪魔ものは退散! ほら、続きをやっちゃってくださいな!」
急に出てきたせいらが嵐の背中をバシバシ叩いて、見えない草むらの方に向かっていく。明保野さんが反れを見て「わたしも行く」と返事すると、せいらは「お構いなく~」と不気味に作った笑顔。
嵐は終始文句を垂れていたが、せいらがグイグイと引っ張るものだから、その声も届かなくなる。僕は明保野さんのほうに振り向くと、普段隠れている真っ白い足や透けている巫女服を見て、察した。
子供に返ったみたいにはしゃいだ。何しに来たんだ。
「ごめん、明保野さん」
僕は上着を脱いでそれを手渡す。明保野さんはそれを見て目をぱちくりしていたが、やがて理解したらしい。顔を赤く染めて、上着を羽織った。
「僕らも行こう」
僕は明保野さんの手を取って、森の奥に入った。明保野さんは手を握り僕の隣に歩いた。
「みんな、集まっているのかな?」
「さっき嵐たちがいたから、もう到着してるはず。どんな気分?」
僕は聞くと明保野さんはまた、無感情で地面を見下ろしていた。
「やっと会える嬉しさと、わたしの我儘で迷惑かけてしまった申し訳無さと、あと、ドキドキしている。すごい興奮している」
明保野さんは胸に手を置き、少しだけ笑った。また笑った。それだけで僕は安堵する。
守人という役職は同じなのに、千年間顔も見たことない。もはや暗黙のルールと言わざる負えないその鎖を断ち切る。その時が来る。僕らが歩を進めて辿り着いた場所は東の守人がいる山小屋。あの小屋には大変お世話になった。思い出すとまるで、昨日のようだ。
扉が開いている。声がかすかに聞こえてきた。チラリと覗くともうみんな、集まっていた。
「あら、遅かったのねふふふ」
南の守人、鳳華姐さんがいち早く僕らに気づき妖艶な笑みを向ける。
「遅くても良かったのに」
せいらがニマニマ笑うので、僕はデコピンで返した。
「さて、揃ったことだし早速始めるか」
仕切ったのは太陽。
せいらと嵐は南の守人、太陽は西の守人、僕は明保野さんを船につれて東に、四人の守人がここで集結した。
四人とも、それぞれの顔を見て感無量に固まる。
「こんな顔だったのね~」
鳳華姐さんが珍しく笑わずに言った。
「あ、あの、お、」
「ん?」
苗化ちゃんが鳳華姐さんに何か言いたげにもじもじした。鳳華姐さんは首を傾げる。苗化ちゃんは顔を赤く染め、口をモゴモゴしてバッと顔を上げた。
「おねぇ、お姉ちゃん……やっぱり何でもない!」
苗化ちゃんはすかさず太陽の後ろに隠れ、鳳華姐さんはキョトン顔。「あらやだ。可愛いわ~」とふふふと笑う。
守人は本来、自分の管轄から抜けられない。それは、エデンを覆う結界が解かれるから。が、こうして三人とも自分の管轄から抜け出し四人揃った事態に。東の守人である久乃さんは、現在結界を補強していない。つまり――……。
「呪いは元々なかったということかしら」
鳳華姐さんがコテンと首を傾げる。
「多分、四人揃ったからだと思う」
明保野さんが頭を振った。
「個人で離れたとき結界が緩む。けど、四人揃ったらその呪いはなくなる。千年……バラバラだったのがバカらしいね」
明保野さんは話を続けて、苦笑した。四人とも言葉では言い表せぬ穏やかな雰囲気に。話したいこともある。山ほどあるのに何から話せばいいのか。
しかし、時間は然程なく管轄内に守人がいないことを先住民が知れば結界を破いてくるかもしれない。そうなる前にことを早める。
四人はパンドラの箱を開けたこと、その願いを打ち明けると四人とも順応した。
「そんな願い」
明保野さんは絶句した。
そんな願いでも、彼女たちは藁にも縋る想いで、白い像に願いを叶えた。
〝起きてしまった〟事でどうしょうもない。〝これから〟どうするか。それは、パンドラの箱を開けたなら閉じることも彼女たちの力なのでは。
「でもここに白い像はない。でもこうして……」
苗化ちゃんが隣にいる久乃さんと鳳華姐さんの手を取り握った。明保野さんが察して、同じように両サイドにいる二人の手を握った。
「こうして、四人で」
「手を握って輪になる」
「まさに、パンドラの鍵ね」
四人手を取り輪になった。何が起こることもなく、静かな空間。四人はその静寂を斬るかのように揃って唱えた。
「運命を斬り伏せ願いを断ち切る」
そう唱えた瞬間四人の体が発光し、目も当てられないほど。やがて光が弱まり視界がようやく広げる。あの光は何だったのか。明保野さんは無事か。四人揃っての願いを言ったのに、白い像は叶えてくれなかった。やはり、運命を斬り伏せるには、千年前に戻らないといけない。
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