1 / 6
去る者①
しおりを挟む
放課後、俺は職員室に呼び出されていた。
「鬼守、決闘ルール第十三条を言ってみろ」
「は?」
思わずあっけにとられてしった俺。だが仕方あるまい。なにせ来て早々の一言めがこれなのだから。
「どうした? まさか知らんわけでもあるまい」
そんな俺を気にする素振りすら見せず、尚も目の前に座る男は話しを続ける。ガッチリとした体格をしているが、髪は雑に後ろへ撫で上げられ、顔には無精ひげを生やし、職員室だというのにタバコを咥えるこの男。名前を嵐山、俺の担任教師であり、ここに呼び出した張本人でもある。
「たしか、決闘に遅れた者は誰であろうと即不戦敗になる、だろ」
とりあえず、知らないわけでもないので素直に答える。それを聞いた嵐山は、その通りだと言いたげにニヤリと笑みを浮かべる。
「その通りだ」
言ったよ。
「…………」
そのままじっと何も言わなくなる嵐山。
なんだ? いったい何の用で俺を呼んだんだ? まさか今のを聞くためだけってことは無いはよな。
まずい、何故だか分からないが非常にまずい予感がする。だが、このままと言うわけにもいかない。こうなったらこっちからと、口を開こうとしたその瞬間、
『ピンポンパンポーン』
突然、備え付けのスピーカーから小気味のいい音色が流れる。どうやら校内放送らしい。
人が話そうって時に、タイミングが悪すぎるぞ放送委員……。
『生徒の呼び出しです。高等部二年の鬼守哲也君。至急、南東アリーナまで来てください。決闘の準備ができています』
ん? いま俺の名前が呼ばれなかったか? しかも決闘? おかしい、今日はそんなもの申請した覚えは無いはず……!
ハッとして嵐山を見やる。すると嵐山は、お前の考えは分かっていると言いたげに、またニヤリと口を歪ませる。
「お前の考えは分かっている」
やっぱ言うのかよ。
「そしてその通りだ鬼守。これはお前のために学園側が用意した決闘。さらに言うなら、この決闘に負ければ、鬼守、お前は――」
すぅ、と息を溜め嵐山は言い放つ。
「――晴れて退学となるっ!」
「晴れてねえっ! てか退学ってなんだよ!?」
そんな話一度も聞いてねえぞ!
「お前が知らないのは無理もない。なにせついさっき決まったことだからな」
「ついさっき!?」
「それを知らせるためにお前をここへ呼んだんだ」
「もっと早く言えぇっ!」
「まあ、落ち着け。お前にはまだ伝えなければいけないことがある」
「何だよ、まだ何があるってんだよ」
「決闘ルール第十三条の話はしたな」
「ああ」
「開始まであと五分だ」
「クソがあぁぁっ!」
俺は職員室を飛び出した。
確か場所は南東アリーナ、ここは北西校舎。まるっきり正反対じゃねえかチクショウ。
「待て鬼守、もうひとつ俺からお前に言っておきたいことがある!」
走り出そうとしたその時、背後から声を上げる嵐山。その声の大きさと真剣さに、ついピタッと立ち止まってしまう俺。正直、無視してでも早く行きたい。しかし、もしかするとこれから行う決闘の何か重要な情報が有るのかもしれない。そう期待しながら嵐山の言葉を待つ。
「鬼守よ――
――廊下で走ると危ないぞ」
全力で走りだす俺。
くだらない……っ! なんてくだらないことに時間をかけてしまったんだ俺ってやつは!
「だいたいこんな状況で悠長に廊下なんぞ走ってられるかあ!」
そう言いながら窓へと一直線に向かう。そして勢いそのまま窓枠を思いっきり踏み切って、俺は外へと飛び出した。
「なるほど、確かにわざわざ廊下や階段を使うよりは早いだろうな。そしてここは四階、飛び降りたところで自分なら問題ないと判断したか」
ズシーンと音を立てながら着地する。流石に少々足がしびれるが、今は休んでいる暇はない。あとは南東アリーナに向かってただ走るのみ。
頼むから間に合ってくれ! あと頼むからクビになってくれ嵐山!
「うおおおおおおおおっ!」
残り時間あと三分。
「鬼守、決闘ルール第十三条を言ってみろ」
「は?」
思わずあっけにとられてしった俺。だが仕方あるまい。なにせ来て早々の一言めがこれなのだから。
「どうした? まさか知らんわけでもあるまい」
そんな俺を気にする素振りすら見せず、尚も目の前に座る男は話しを続ける。ガッチリとした体格をしているが、髪は雑に後ろへ撫で上げられ、顔には無精ひげを生やし、職員室だというのにタバコを咥えるこの男。名前を嵐山、俺の担任教師であり、ここに呼び出した張本人でもある。
「たしか、決闘に遅れた者は誰であろうと即不戦敗になる、だろ」
とりあえず、知らないわけでもないので素直に答える。それを聞いた嵐山は、その通りだと言いたげにニヤリと笑みを浮かべる。
「その通りだ」
言ったよ。
「…………」
そのままじっと何も言わなくなる嵐山。
なんだ? いったい何の用で俺を呼んだんだ? まさか今のを聞くためだけってことは無いはよな。
まずい、何故だか分からないが非常にまずい予感がする。だが、このままと言うわけにもいかない。こうなったらこっちからと、口を開こうとしたその瞬間、
『ピンポンパンポーン』
突然、備え付けのスピーカーから小気味のいい音色が流れる。どうやら校内放送らしい。
人が話そうって時に、タイミングが悪すぎるぞ放送委員……。
『生徒の呼び出しです。高等部二年の鬼守哲也君。至急、南東アリーナまで来てください。決闘の準備ができています』
ん? いま俺の名前が呼ばれなかったか? しかも決闘? おかしい、今日はそんなもの申請した覚えは無いはず……!
ハッとして嵐山を見やる。すると嵐山は、お前の考えは分かっていると言いたげに、またニヤリと口を歪ませる。
「お前の考えは分かっている」
やっぱ言うのかよ。
「そしてその通りだ鬼守。これはお前のために学園側が用意した決闘。さらに言うなら、この決闘に負ければ、鬼守、お前は――」
すぅ、と息を溜め嵐山は言い放つ。
「――晴れて退学となるっ!」
「晴れてねえっ! てか退学ってなんだよ!?」
そんな話一度も聞いてねえぞ!
「お前が知らないのは無理もない。なにせついさっき決まったことだからな」
「ついさっき!?」
「それを知らせるためにお前をここへ呼んだんだ」
「もっと早く言えぇっ!」
「まあ、落ち着け。お前にはまだ伝えなければいけないことがある」
「何だよ、まだ何があるってんだよ」
「決闘ルール第十三条の話はしたな」
「ああ」
「開始まであと五分だ」
「クソがあぁぁっ!」
俺は職員室を飛び出した。
確か場所は南東アリーナ、ここは北西校舎。まるっきり正反対じゃねえかチクショウ。
「待て鬼守、もうひとつ俺からお前に言っておきたいことがある!」
走り出そうとしたその時、背後から声を上げる嵐山。その声の大きさと真剣さに、ついピタッと立ち止まってしまう俺。正直、無視してでも早く行きたい。しかし、もしかするとこれから行う決闘の何か重要な情報が有るのかもしれない。そう期待しながら嵐山の言葉を待つ。
「鬼守よ――
――廊下で走ると危ないぞ」
全力で走りだす俺。
くだらない……っ! なんてくだらないことに時間をかけてしまったんだ俺ってやつは!
「だいたいこんな状況で悠長に廊下なんぞ走ってられるかあ!」
そう言いながら窓へと一直線に向かう。そして勢いそのまま窓枠を思いっきり踏み切って、俺は外へと飛び出した。
「なるほど、確かにわざわざ廊下や階段を使うよりは早いだろうな。そしてここは四階、飛び降りたところで自分なら問題ないと判断したか」
ズシーンと音を立てながら着地する。流石に少々足がしびれるが、今は休んでいる暇はない。あとは南東アリーナに向かってただ走るのみ。
頼むから間に合ってくれ! あと頼むからクビになってくれ嵐山!
「うおおおおおおおおっ!」
残り時間あと三分。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる