全力を出すと全裸になる男の学園生活(仮)

きんぺー

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去る者①

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 放課後、俺は職員室に呼び出されていた。
「鬼守、決闘ルール第十三条を言ってみろ」
「は?」
 思わずあっけにとられてしった俺。だが仕方あるまい。なにせ来て早々の一言めがこれなのだから。
「どうした? まさか知らんわけでもあるまい」
 そんな俺を気にする素振りすら見せず、尚も目の前に座る男は話しを続ける。ガッチリとした体格をしているが、髪は雑に後ろへ撫で上げられ、顔には無精ひげを生やし、職員室だというのにタバコを咥えるこの男。名前を嵐山、俺の担任教師であり、ここに呼び出した張本人でもある。
「たしか、決闘に遅れた者は誰であろうと即不戦敗になる、だろ」
 とりあえず、知らないわけでもないので素直に答える。それを聞いた嵐山は、その通りだと言いたげにニヤリと笑みを浮かべる。
「その通りだ」
 言ったよ。
「…………」
 そのままじっと何も言わなくなる嵐山。
 なんだ? いったい何の用で俺を呼んだんだ? まさか今のを聞くためだけってことは無いはよな。
まずい、何故だか分からないが非常にまずい予感がする。だが、このままと言うわけにもいかない。こうなったらこっちからと、口を開こうとしたその瞬間、
『ピンポンパンポーン』
突然、備え付けのスピーカーから小気味のいい音色が流れる。どうやら校内放送らしい。
人が話そうって時に、タイミングが悪すぎるぞ放送委員……。
『生徒の呼び出しです。高等部二年の鬼守哲也君。至急、南東アリーナまで来てください。決闘の準備ができています』
 ん? いま俺の名前が呼ばれなかったか? しかも決闘? おかしい、今日はそんなもの申請した覚えは無いはず……!
ハッとして嵐山を見やる。すると嵐山は、お前の考えは分かっていると言いたげに、またニヤリと口を歪ませる。
「お前の考えは分かっている」
 やっぱ言うのかよ。
「そしてその通りだ鬼守。これはお前のために学園側が用意した決闘。さらに言うなら、この決闘に負ければ、鬼守、お前は――」
 すぅ、と息を溜め嵐山は言い放つ。
「――晴れて退学となるっ!」
「晴れてねえっ! てか退学ってなんだよ!?」
 そんな話一度も聞いてねえぞ!
「お前が知らないのは無理もない。なにせついさっき決まったことだからな」
「ついさっき!?」
「それを知らせるためにお前をここへ呼んだんだ」
「もっと早く言えぇっ!」
「まあ、落ち着け。お前にはまだ伝えなければいけないことがある」
「何だよ、まだ何があるってんだよ」
「決闘ルール第十三条の話はしたな」
「ああ」
「開始まであと五分だ」
「クソがあぁぁっ!」
 俺は職員室を飛び出した。
 確か場所は南東アリーナ、ここは北西校舎。まるっきり正反対じゃねえかチクショウ。
「待て鬼守、もうひとつ俺からお前に言っておきたいことがある!」
 走り出そうとしたその時、背後から声を上げる嵐山。その声の大きさと真剣さに、ついピタッと立ち止まってしまう俺。正直、無視してでも早く行きたい。しかし、もしかするとこれから行う決闘の何か重要な情報が有るのかもしれない。そう期待しながら嵐山の言葉を待つ。
「鬼守よ――

――廊下で走ると危ないぞ」

 全力で走りだす俺。
 くだらない……っ! なんてくだらないことに時間をかけてしまったんだ俺ってやつは!
「だいたいこんな状況で悠長に廊下なんぞ走ってられるかあ!」
 そう言いながら窓へと一直線に向かう。そして勢いそのまま窓枠を思いっきり踏み切って、俺は外へと飛び出した。
「なるほど、確かにわざわざ廊下や階段を使うよりは早いだろうな。そしてここは四階、飛び降りたところで自分なら問題ないと判断したか」
 ズシーンと音を立てながら着地する。流石に少々足がしびれるが、今は休んでいる暇はない。あとは南東アリーナに向かってただ走るのみ。
頼むから間に合ってくれ! あと頼むからクビになってくれ嵐山!
「うおおおおおおおおっ!」

 残り時間あと三分。
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