転移失敗!!此処は何処?僕は誰?

I&Rin

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死の大陸編 幼少期

第9話. 静寂な水辺

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 何度も言うが、とにかくまずは早く顔を洗いたい!

 全身血まみれの髪の毛は既に固まった血で、とんでもない髪型になってるし、皮膚もパリパリだ!

 しかも何故なぜだか分からないが、頭から血を流している状態だった事に加えて自分の記憶もない!

 しかもこの世界が地球でないことで、倍増する混乱!・・・・・踏んだり蹴ったりだ!

 なんでこんな理不尽な目にあってるのか、考えても始まらないので、まずはやれる事をしようと思う


 「ねえ、どこか近くに川か水辺はないかな?」

 「うぅーん、水飲み場が近くにあるよぉ」

 
 「えっ、ホント!喉も渇いたし、何か食べたいから場所を教えてくれるかい」 

 「いいよぉ!それなら、今から一緒に行く?」

 「うん、ありがとう!」

  幸いこの小型犬が僕に対して敵意がない事が分かってるだけでも、安心していられる要因でもある


 それからフェンリルと一緒に歩きながら、周りの景色を眺め、10分位で目的地に到着する

 そこで僕の視界に飛び込んできたのは、透き通るほどの綺麗な水辺で、水面は鏡のようにキラキラ輝き、周辺の風景を映し出していた

 周りの木々に囲まれ静まり返っている空間が、ほどよい気持ちで僕の心を癒してくれる。


 「とても静かで綺麗な所だね」

 「うんっ!ここはねぇ、太古より精霊が宿り続け、長年の歳月をかけて特殊な浄化作用が働いてるんだ!………なのでちょっとした身体の外傷なんかは直ぐに治るよぉ!」

 「へぇーそうなんだ!だからかなぁ⁉︎なんだかここに来てから身体の内側から、何とも言えない力が溢れてくる感じがあり、頭の中が研ぎ澄まされるんだよねー」

 んっ⁉︎ちょい待て!

 精霊って何だ⁉︎

 この時の僕は、実際に怪我をしていた頭の痛みもなく、疲れ果てていた体力も回復している


 そればかりか全身の感覚も鋭く研ぎ澄まされ、周りの気配が過敏に感じ取れる

 周辺にいる、生体反応の位置情報が頭の中に自然に入り込むだけでなく視力も良くなっている


 ここから遠く離れた一際大きくそびえ立つ樹木の細部までがはっきりと見え、枝の先にある葉の細かい状態までもが鮮明に映り込み、この青空の下でゆらゆらと揺らめいているのが、はっきりと見えるではないか!

 ・・・どこか僕が僕でないみたいな不思議な感覚に陥っていた。

 
 
 「どうしたのぉ、リン⁉︎……起きてる⁉︎」

 「あぁ、ごめんね。なんかもの凄く戸惑い、自分が自分じゃない感じなんだ!」

 「変なの!!」

 笑いながら、フェンリルに言われてしまった

 
 それからすぐさま顔を洗おうと、 水際まで歩いて行き、水面に映る自分の顔を改めて見ていると、今度は、急に目から溢れんかばかりの涙がこぼれ落ちてくる

 その涙が頬を伝い、ひとしずくの塊が水面に落ちると、次々にぽたぽた溢れんかばかりの涙がこぼれ落ちると、水面にはいくつもの波紋が広がる

 自分の意識とは関係なく、何故、涙が出るのか分からないまま、僕は両手で水をすくい上げ、そのまま顔を洗う

 そして頭に付いていた血も洗い流し、一息ついてその場で立ち上がり・・・・ぐっと、天を仰ぐ様に空を見上げる

 今迄に空を見上げた事なんてあっただろうか

 そんなたわいもないことを思い出せずにいるが、今は無性に空を見上げていたかった!

 何も考えず空を見ていると、何やら太陽らしき惑星が3つもある。

 昨日の夜空にも、月らしき惑星が3つあり、改めてここが地球でない事を実感する。

 後ろを振り返るとそこにはもう、フェンリルの姿はなかった。

 「あれっ!何処に行ったんだろう⁉︎」

 ある意味、僕にとってあのフェンリルはここに来てからの恩人であり、すでに心のり所にもなっていた。

 
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