儚き願い

I&Rin

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第7話 スリープモード

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 神社の参道を歩き、御神木前の石の上に座り込み、今日の2人の出来事を話し始める

 電車に乗る時間が近付くにつれ伊藤君がまたしても周りを気にし始める

 人気がない事が分かると私にキスを交わす

 次の日も、次の日も

 もう何度となくこの神社の至る所でキスを交わしただろうか

 御神木前であったり、境内であったり、鳥居近くであったり、社の近くであったり、とにかく広い神社なので、あちこち人目のつかない場所を探していた

 お互いが好きなので当然、キスをしたくなる行為は別に自然だったと思う

 ただ私達はアホみたいにキスをしまくっていた

 絶対、何処かで誰かが観ていてもおかしくない

 でも伊藤君と一緒にいる時は、なんだか心が満たされていて胸のあたりがポカポカする感じがしてとても嬉しかった


 そして私が電車に乗り込む前の最後の別れ際も誰も観てないタイミングでキスをする

 帰り際のこのタイミングだけは難しく、当然人が多かったりするとキスが出来ないのでその日は不満だけが残る

 最後の別れ際は伊藤君とキスをして帰路につきたいと思うようになっていた

 今日も別れ際に人が多かったので、キスが出来なかった私はちょっと寂しい思いになっていた

 家に帰り着き、食事してお風呂に入り明日の準備を終えゆっくりしていると、ふと伊藤君の声が聞きたくなり電話をかけて会話したが伊藤君はあまり電話で話すタイプではなかった

 疲れもあったんだろうと思う

 電話で話してる途中、返事がなかったり、言葉が返ってこなかったりしていたので、おそらく布団の中で横になりスリープモードに入りつつあったんだろう

 それでも、伊藤君の声が少しでも聞けた私はそれだけで満足だった

 
 それから1ヶ月が過ぎると私と伊藤君の関係も変わり、正式に交際する様になる

 私達の呼び名も変わり私は伊藤君から〝ひろちゃん〟に変わり、向こうは私の事を吉井さんから〝美里〟と呼ぶようになっていた

 お互いがそう呼ぶように決めたが、最初の方は恥ずかしながらも名前を口にしていたが、私だけのひろちゃんと思って名前を呼ぶと何だか独占している様で喜びが込み上げてきて嬉しかった


 私達が友達以上恋人未満の関係から正式に恋人同志として付き合い出してからは、私が部活の練習中にサッカーボールが蹴り込まれて来る事がなくなっていた

 その事に関しては、私も複雑な気分ではあるがテニスコートに平和が戻ったと思うようにした


 やがて、私もひろちゃんも夏の大会が終わり部活を引退する


 それから2人の夏休みが始まった

 
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