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第2章:名前も知らないまま
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第2章:名前も知らないまま
避難小屋の中は、寒さこそしのげるものの、決して快適とは言えなかった。
古びた毛布が2枚と、かろうじて使えるポータブルガスヒーター。
それでも、外の猛吹雪を思えば、ここはまるでオアシスだった。
亮介は、震える指で缶コーヒーのプルタブを開ける。
「…すごいな、こんな装備まで持ってきてるなんて」
「まぁ、何度も来てるからね。こういうときのために、色々備えてるの」
赤いジャケットの女性は、手際よくヒーターを点け、小屋の隅に積まれた木箱から乾パンを取り出した。
「ねぇ、名前くらい教えてくれてもいいんじゃない?」
「あっ……早瀬、亮介。東京でSEやってる」
「ふふっ、堅そうな仕事だね。私は夏目美月。フリーのカメラマンやってるの」
「へぇ、山で写真撮ってるの?」
「そう。雪の山は、命を感じる。怖いけど、美しいから、つい来ちゃうんだよね」
その言葉に、亮介は不思議な温もりを感じた。
この極限の状況で、彼女はなぜこんなにも落ち着いていられるのか。
「怖くないの? こんな雪山に、一人で来るなんて」
「うん、怖いよ。でも、怖いからこそ、自分がちゃんと生きてるって感じられるの」
その瞳は、確かに生きていた。
吹雪の音が、ふたりの間の沈黙を埋めていく。
まだ互いをよく知らない――でも、不思議とその沈黙は心地よかった。
避難小屋の中は、寒さこそしのげるものの、決して快適とは言えなかった。
古びた毛布が2枚と、かろうじて使えるポータブルガスヒーター。
それでも、外の猛吹雪を思えば、ここはまるでオアシスだった。
亮介は、震える指で缶コーヒーのプルタブを開ける。
「…すごいな、こんな装備まで持ってきてるなんて」
「まぁ、何度も来てるからね。こういうときのために、色々備えてるの」
赤いジャケットの女性は、手際よくヒーターを点け、小屋の隅に積まれた木箱から乾パンを取り出した。
「ねぇ、名前くらい教えてくれてもいいんじゃない?」
「あっ……早瀬、亮介。東京でSEやってる」
「ふふっ、堅そうな仕事だね。私は夏目美月。フリーのカメラマンやってるの」
「へぇ、山で写真撮ってるの?」
「そう。雪の山は、命を感じる。怖いけど、美しいから、つい来ちゃうんだよね」
その言葉に、亮介は不思議な温もりを感じた。
この極限の状況で、彼女はなぜこんなにも落ち着いていられるのか。
「怖くないの? こんな雪山に、一人で来るなんて」
「うん、怖いよ。でも、怖いからこそ、自分がちゃんと生きてるって感じられるの」
その瞳は、確かに生きていた。
吹雪の音が、ふたりの間の沈黙を埋めていく。
まだ互いをよく知らない――でも、不思議とその沈黙は心地よかった。
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