「永遠の雪原 ―遭難が紡いだ恋―」

夕暮れ狼

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第8章:陽の光、そして決意

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第8章:陽の光、そして決意
翌朝、小屋の隙間から差し込んだ光に、亮介は思わず目を細めた。
「……晴れてる」
雪に閉ざされた数日ぶりの陽の光は、まるで別世界のように眩しかった。
外に出た美月の声が、すぐに響く。
「亮介! 見て、雲が完全に抜けてる! これはチャンスだよ!」
足の痛みはまだ残っている。だが、もう心は決まっていた。
「今日、下りよう。たとえ一歩ずつでも」
美月も頷く。
「うん、今しかない。気温も上がってきてるし、午後には雪が緩んで危なくなる」
二人は、残っていた装備をザックに詰め、最後に小屋を見回した。
そこはわずか数日の避難場所にすぎなかったはずなのに、不思議なほど温かい記憶が残っていた。
「……ありがとな、ここ」
亮介のつぶやきに、美月が微笑む。
「変だよね、地獄みたいな場所だったはずなのに、ちょっとだけ名残惜しい」
ザクッ、ザクッと雪を踏む音が、二人の背中を押す。
下山ルートは険しく、油断すれば命取りだ。それでも、陽の光は確かに希望を照らしていた。
「東京に戻ったらさ」
亮介が言う。
「……ちゃんと、自分の人生と向き合う。で、いつかまた……ここに来たい。今度は、ちゃんと装備して、あんたと一緒に」
美月は歩きながら、ふと立ち止まった。
「……いいね。でも次は遭難なしで。絶対、ね?」
笑い合うその瞬間、二人の絆はもう“偶然の出会い”ではなくなっていた。
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