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第10章:氷の沈黙
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第10章:氷の沈黙
二人は慎重に足を進めながら、雪解け水でぬかるむ山道を歩いた。
空は少しずつ晴れてきたが、周囲の氷はまだ溶けきっていない。
「…亮介、こっち危ないよ」
美月が声をひそめ、氷の割れ目を指さす。
その隙間は深く、もし落ちたら大怪我は免れない。
「気をつけるよ」
亮介は美月の言葉に集中し、足元を確かめながら進んだ。
しかし、足の感覚はまだ完全ではなく、時折ひやりとした感触が伝わる。
沈黙が続く中、二人の心はそれぞれの過去と向き合っていた。
亮介は仕事に追われ、感情を押し殺してきた自分を思い出す。
美月は失った恋人のことを、冷たい雪の中で繰り返し思い返していた。
その静かな時間が、少しずつ二人の距離を縮めていく。
「ねぇ、亮介」
美月がふいに口を開く。
「帰ったら、一緒に写真、見せて?」
亮介は驚いたが、すぐに優しく笑った。
「もちろん。今度は遭難なしで、ね」
二人の間に、凍った時間が溶けていくような温もりが広がった。
二人は慎重に足を進めながら、雪解け水でぬかるむ山道を歩いた。
空は少しずつ晴れてきたが、周囲の氷はまだ溶けきっていない。
「…亮介、こっち危ないよ」
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その隙間は深く、もし落ちたら大怪我は免れない。
「気をつけるよ」
亮介は美月の言葉に集中し、足元を確かめながら進んだ。
しかし、足の感覚はまだ完全ではなく、時折ひやりとした感触が伝わる。
沈黙が続く中、二人の心はそれぞれの過去と向き合っていた。
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「ねぇ、亮介」
美月がふいに口を開く。
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