「永遠の雪原 ―遭難が紡いだ恋―」

夕暮れ狼

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第11章:薄氷の約束

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第11章:薄氷の約束
雪解けの山道を歩き続ける二人。
まだ足元は滑りやすく、油断できない状況だが、気持ちは確かに前へ進んでいた。
「ねぇ、美月」
亮介がぽつりと声をかける。
「なんだい?」
「俺さ……今まで自分のことばかり考えてきた。仕事も、人間関係も、全部逃げてきたんだと思う」
美月は少し驚いたように亮介を見た。
「そうなんだ。でも、ここまで来て、それを言えるのはすごいよ」
「うん。これからは変わりたい。自分の気持ちと向き合ってみる」
「それって、私のせい?」
「いや、違うよ。ただ、ここで君と過ごして、色んなことを考えたんだ」
小屋で過ごした日々、危険な夜、そして二人で乗り越えた試練。
そのすべてが、亮介の心に新しい何かを芽生えさせていた。
「じゃあ、約束しよう。無事に下山したら、お互いの写真を見せ合うって」
美月が笑顔で言う。
「約束だ」
二人の手が自然と重なった。
薄氷の上に立つ二人の絆は、少しずつ確かなものになり始めていた。
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