「絶望の川を越えて」

夕暮れ狼

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第14章:新たな道

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第14章:新たな道
舟を見つけたことで、二人には新たな希望が湧いた。川の流れがどこに向かっているのか分からないが、少なくともここに留まることが唯一の選択肢でないことが分かった。
「これで行けるかもしれない。」菜月は舟を引き寄せながら、期待を胸に呟いた。
「準備はできてるか?」悠斗は舟の状態を確かめ、慎重に言った。「急ぐ必要はないが、慎重に進まないと危険だ。」
菜月はうなずきながら、舟に必要な物資を積み込む。「これで、少しは長く生き延びる準備が整ったわ。」
二人は舟を川の中に浮かべ、慎重に漕ぎ始めた。川は思った以上に流れが速く、舟は勢いよく進んでいく。しかし、思うように進めない時もあり、二人は息を合わせて懸命に漕ぎ続けた。
「無事にいけるだろうか…」菜月は不安そうに言った。
「大丈夫だ。」悠斗は穏やかながら力強い声で言う。「どんな困難にも、二人で乗り越えてきたんだ。これからも、そうだろう?」
菜月はその言葉に力をもらい、頷いた。確かに、これまで数えきれないほどの困難を二人で乗り越えてきた。どんな試練が待ち受けていようとも、もう恐れはなかった。
川の流れがさらに速くなり、岸が見えなくなってきた。だが、二人は決して諦めなかった。舟が小さな岩を越えるたびに、二人は手を取り合いながら協力して進んでいった。
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