「絶望の川を越えて」

第13章：未来へ向かって

第13章：未来へ向かって
雨が止み、少しずつ青空が見え始めた。しかし、二人の生活は未だに厳しい状況に変わりはなかった。資源が限られている中で、日々の食料を確保し、火を焚き、生活を維持するためには常に努力が必要だった。
ある日、菜月が川のそばで何かを見つけた。「悠斗、これ…見て。」
悠斗が駆け寄ると、菜月が指さした先に、小さな舟のようなものが流れ着いていた。木の枝を組み合わせて作られたその舟は、まるで誰かが作ったもののように見えた。
「これ、誰かが置いていったのか？」悠斗は不安そうに言うが、菜月はそれを見てから静かに言った。
「もしも…これを使えば、どこかに行けるかもしれない。」
「でも、ここから出るって…無理だろ。」悠斗は少し考えた。「でも、もしかしたら、手に入るものがあれば、救助の可能性が高まるかもしれない。」
菜月はその提案を聞き、少しだけ心が動いた。確かに、今の場所にとどまるよりも、どこかに向かうことで新しい道が開けるかもしれない。
「行こう、悠斗。私たち、まだ諦めるわけにはいかない。」菜月は強い決意を胸に言った。
悠斗は少し驚いたが、やがて頷いた。「ああ、俺もだ。どこへ行くとしても、共に生き抜こう。」
二人は、新たな希望を胸に、舟を使って未知の世界へと踏み出す準備を始めた。