君に咲くはずだった春

夕暮れ狼

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第3章:好き、なんて言えない

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第3章:好き、なんて言えない
澪と過ごす時間は、僕にとってどんどん大切になっていった。
笑いあったり、ふざけたり、何気ない会話の中に彼女の存在が染み込んでいく。
でも、僕は「好き」という言葉を言えなかった。
伝えたら、何かが壊れてしまう気がしたから。
ある放課後の帰り道、澪がふと立ち止まった。
「ねえ、もし私がいなくなったら……泣かないでね」
突然の言葉に、僕は驚いて言葉を失った。
「そんなの無理だよ」
「そうだよね。でも、私、言っておかないと気が済まないから」
彼女は震える手で僕の手を握った。
その温もりが、胸の奥に突き刺さった。
「好きにならないでくれて、ありがとう」
その言葉は、僕の心を締めつけ、そして壊した。
「好きだよ、澪」
だけど、それは僕の胸の中だけの秘密だった。
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