君に咲くはずだった春

夕暮れ狼

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第7章:もう一度、君を守りたい

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第7章:もう一度、君を守りたい
澪との再会から、何度か病院で顔を合わせるようになった。
彼女の記憶は徐々に戻ってきたようだったが、あの頃のこと——僕との思い出は、やっぱり覚えていなかった。
でも、それでも僕は彼女のそばにいた。
ただのクラスメートとして、過去の記憶がなくても、澪と話しているときの心の温かさは変わらなかった。
ある日、僕は思い切って尋ねてみた。
「澪、君が入院してから、どうしてそんなに笑っていたの?」
その問いに、澪は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに小さく笑った。
「だって、笑うしかないじゃない?」
「でも、きっと辛かったはずだよ」
澪は僕を見つめた後、静かに言った。
「うん、辛かった。でも、笑っているときが一番、楽しかったから」
その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。
澪はどんなに辛いときでも、僕に見せないようにしていたのだ。
それでも、心のどこかで助けて欲しかったんだろう。
「澪、僕は——」
そのとき、ふと僕の言葉を遮るように澪が言った。
「ねえ、陽翔くん」
「うん?」
「私は、あなたにもう一度、好きって言ってもらえたら嬉しい」
その一言に、僕は驚き、そして心が震えた。
「澪……」
でも、言葉が出なかった。
彼女は記憶をなくしても、やっぱり僕に伝えたかったことがあったのだろう。
僕は少しだけ間を空けて、やっと言葉を紡いだ。
「僕も、もう一度君に言いたい。——好きだよ、澪」
その言葉が、今度こそ彼女の心に届いたことを信じたかった。
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