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第一章

アホバカマヌケは死んでも直らない

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「いやいやおかしいおかしい!!何これ、なんで生まれてすぐに自分が死ぬって知らなきゃいけないわけ!?確かに人間いつか死ぬけどさ!!4歳の時点では流石に考えたくなかったよ!!しかも設定からして絶対ろくな死に方しないじゃん私!嫌だよ!!不幸すぎるよ!!」


頭を抱えてテーブルに突っ伏す


そもそも設定とかのことを考え始めたらキリがないよ??
まずこういうゲームの転生ものって普通プレイヤーがなるもんじゃないの?全クリしててキャラ達のことを熟知している子達がなるもんじゃないの!?
何度も何度も言うけど私プレイヤーじゃない!!話聞いてただけの傍観者、いや、観ることすらしていない傍聴者でしかないよ!

なんとか自分であるこの悪役令嬢のことについては一通り知れてるけどそれは私の友達が嫌いだった故の愚痴が功を成したもの
その他はテンデ知らないから!!

攻略対象の男の子たちの地雷も辛い過去も知らないし、もうむしろその男の子たちの顔を覚えているかどうかすら危うい
そんな状態の私が死亡フラグ回避なんて出来るわけないでしょうが!!
どうしろと!?そのまま死ねと!?鬼畜かよ!!!



「わああああああああ、嫌だよおおおおおお、破滅が決まってる道なんて進みたくないよおおおおおおお」


突っ伏したままテーブルにぐりぐりと額を押し付ける


どうしよう、これからどうすればいいんだよおおおおお


「お嬢様ってのも叫んだりするんだな」


いきなり耳に届いた声変わりする前の少年の声


一気に冷や汗が湧いて出てパッと部屋の扉の方に向く
でもそこには誰も居ない


じゃあ、今の声は?もしかしておかしくなって変な空耳でも聞こえてきたとか?
そう思った瞬間、再びその声が聞こえた


「こっちだよ」

その声を辿ればそこに居たのは花瓶を持った私より何歳か上であろう男の子

墨を流したような綺麗な黒髪に赤茶色の瞳、少年のはずなのに見方によっては綺麗な女の子にも見える中性的な顔

お嬢様にあるまじき顔でポーッと見つめていたけどハッ!として慌てて顔を逸らした


アホバカマヌケ!!顔以前にお嬢様にあるまじき態度取っちゃ駄目でしょ!!
ていうかもしかしなくても今の醜態見られた?絶対見られたよね、叫んだりするんだとか言ってたもん!

どうする、死亡フラグ以前に今までのセツィーリアと違いすぎて誰かが成り代わってるって疑われない?それで魔女とかって言われて魔女裁判とかにかけられちゃったりしちゃったりしない!?最終的に火あぶりの刑とかで人生エンドとか?


「オーマイゴッド!!ジ・エンドが早すぎる!!」


叫んでから気づく
後ろから突き刺す視線が
ザックザク突き刺さっております

よ、よし、とりあえず


「あら、そういえばあなたはどちら様?いきなりレディの寝室に入るなんて失礼じゃなくって?」


「今更取り繕っても色々手遅れだと思うよ」


「ですよねー」


愛想笑いを浮かべてはいるが内心絶賛絶叫中だ


「はは、ほほ、オホホホホホ」


「……」


まずいまずいまずい
今のは完璧アウトだろおー!何してんだよ自分!!墓穴掘ってるのに気づいてさらに堀り進めるとかアホの極みでしかないよ!!


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