未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢に転生したみたいだけど、これってフラグ回避方法分かんなくね?

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第一章

友達第一号?

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気まずい沈黙が続く

うう、何か、せめて何か言って…!


「……」


「ノックは何度もしたよ、あんたが気づかなかっただけで」


「あっ、それはごめんなさい」


「……」


え、そこ黙るとこだった?

少しだけ驚いたような顔をした少年はすぐに真顔になり手に持っていた花瓶を枕元に置いてあった花瓶と交換した


「そのお花、いつもあなたが取り替えてくれてるの?」


「そうだけど…気に入らなかった?」


「まさか!昨日のも今日のもとても綺麗ね、いつもありがとう」


今までのセツィーリアは花になんて見向きもしなかったけど、私はずっと気になっていた
毎日花も花瓶も取り替えられていて、それがどれも素敵でどこのメイドさんがやってくれているのだろうと地味に気になっていたのだ

それがまさかこの少年とは

醜態をさらしちゃったとはいえ、お礼を言えたのは良かったかな


「…あんた、さっきのが素でしょ?無理にその口調じゃなくてもいいんじゃない?」


「うっ」


図星だ
元々お嬢様って柄じゃないし、まだ完全セツィーリアの時は口調も所作も完璧なお嬢様だったけど、今の中身は私だ
身についたものは簡単に忘れたりしないものの、気を抜いたりしたら"私"が全面的に出て、お嬢様というよりただのアホになる


「別に嫌ならいいよ、ただ素を知った俺に取り繕っても疲れるだけだろうから言っただけ」


そ、それもそうだ
元来無駄な労力はしたくない私からしたら、バレちゃったもんは仕方ない、ここは開き直ってこの子の前では普通でいよう!とついつい自分に都合のいいように物事を考えてしまうが

でも、本当に甘えてしまっていいのだろうか
それにこの少年のことも信用していいのかどうか…


「心配しなくてもこの事は誰にも言わないよ。言ったところで誰も信じないだろうし、そんな危ない橋わざわざ渡るほど俺はバカじゃない」


クールに言ってのける少年は確かに聡明に見える
それに、根拠はないが、この子なら信用できるというなぞの自信が私にはあった


数秒間お互いに見つめあう

そして、私は肩の力を抜いた


「そう言ってくれてありがとう。正直かなり救われたよ」


「別に、俺も堅苦しいのよりこっちのが接しやすいだけだから」


ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に花を整える手つきは繊細そのもの
やっぱりこの子、すごくいい子だ


「じゃ、俺はこれで」

そう言って昨日の花瓶とお花を持って退室しようとする少年を慌てて呼び止める


「待って!あの、君の名前は?」

いつまでも少年少年(心の中でだけだけど)じゃ相手にも失礼だ
それに……もしかしたらこの世界での始めての友達になってくれるかもしれない相手なのだから!


「…それ、知る必要ある?」


訝しげに眉をひそめる少年
おーっとー!!まさかの教えてもらえない展開だとぉー?!


「ほ、ほら!君は私のひ、秘密みたいのを知っちゃったわけだし!私の部屋のお花も取り替えてくれてるし、もうその時点でなんか運命感じない!?それに、私の記憶が正しければこの屋敷で私と年の近い子って君くらいしかいないだろうし、だからその」

うわうわうわああああ!!もう!!何言ってんの私!!
素直に友達になりたいって言えばいいのに!!コミュ障かよ!あっ、でもいきなり友達になりたいっていても余計怪しまれるだけか!…じゃあどうすればいいんだよー!!


「ふはっ、ははは」

パニックになりそうだったその時、少年の笑い声が聞こえた

見ればさっきまでの仏頂面はどこへやら、年相応の顔で笑っているじゃないか!ていうか笑顔かわいいなおい


「ただのわがままお嬢様かと思ったら、とんでもない変人お嬢様だなあんた」

楽しそうに言う少年につられて私もつい笑ってしまった


「へへ、それほどでも~!」

「いや、褒めてねえよ」


そう!!これだよ!
決してドMとかではないけど、私はこういう友達との軽いかけ合いをずっと待っていたのだよ!

あとはこの少年の名前を聞き出してなんとしてでも友達になっ


「クロス・ウェルシー」

「へ?」

「クロスでいいよ。じゃあね」


聞き返す暇も与えてもらえず少年は私の部屋から出て行った



でも、あれ…あれだよね?名前教えてくれたんだよね?



クロス・ウェルシー…クロス、か

……ふふ、クロス、クロス!!


やったー!!初めての友達ゲットだぜ!!


某ポ〇モン主人公みたくなっちゃったのは大目に見てほしいです




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