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第二章
家庭教師がやってきました
しおりを挟む「セツィーリア、ユーリ、こちらはシェイルス・アーレス君。今日からお前達の家庭教師になる人だ」
「お初にお目にかかりますセツィーリア様、ユーリ様。シェイルスと申します。微力ながらもお二人のお役に立てたら幸いでございます」
優雅に礼をして微笑むこのシェイルスさんを見た瞬間、私の身体に電撃が走った
だって…だって…!!
「バリ美しいやないですかあんさん!!!」
「はい?」
「気にしないでください、ある一種の姉の病気みたいなものなので」
ユーリの声もお父様のため息も聞こえないくらい、私はシェイルスさんの美貌に魅入られていた
シェイルス・アーレス16歳
ふわっとした銀髪でハチミツ色の瞳、絶世の美女と言われても分からないくらいの綺麗過ぎる顔立ち
そして16歳とは思えないようなお色気フェロモンが溢れ出ている
私の周りの顔面偏差値は既に高の高より上だが、シェイルスさんはその中でも特にやばいというのが言いきれる
伊達に目肥えてないからね
とまあ、目の保養もそこそこに、ここで少なからず疑問がいくつかある
まず16歳というのなら今頃シェイルスさんは学生のはずだ、それがなぜ我が家の家庭教師に?
そしてお父様がシェイルスさんのことを正式に私達、つまりノワール家の跡取りの家庭教師に任命してくれたところを見ると、相当彼を信頼しているようだ
…確かにこの人なら大丈夫かもしれないと私の直感もそう言っていた
だってこの人、ユーリを見ても全然何もなかったから
ノワール家の令嬢や子息は当然幼い頃から英才教育というものを受けている
全然そんな風に見えない、お茶しかしてないじゃんと思われるのも仕方ないが私だって実は三歳の時から色々レッスンを受けているのだ実は!ここ結構重要だから二回言うね
そして英才教育と言っても所詮まだまだ子どもに教えることだ、礼儀作法などは真面目に取り組んでいるが勉学に関しては別。前世の私は可もなく不可もなくといった学生だったが、さすがに8歳の子どもが解くような問題でつまずいたりはしない
だから歴代の家庭教師達が「天才ですわ!」「なんて聡明なのかしら!」「さすがノワール家のお嬢様ですわね!」などと褒められても、笑顔で謙遜してる横で、いやいや中身とっくに15過ぎてる奴がこれ解けなかったら逆にやばいから、と常々思っていた
そして一番良心が痛んだのは私に対して素直なのか、それとも素直すぎなのか、最近まったく遠慮がなくなったユーリが「セツ姉、本当に頭いいね」と真っ直ぐこっちを見てきた時だった
作り笑顔も出来ず引きつった笑いを浮かべながら純粋な子どもの眼差しがグサグサと刺さった
まあ、とりあえず私のことは置いといて
ユーリは正式にうちの子になったから次期ノワール家当主がその教育を受けないはずもなく、うちに来てしばらくすると私と同じようにユーリ専属の教師達が次々と我が家へやってきた
そこまではいい、ユーリには立派になってもらいたいし、ユーリ自身も学ぶ意欲がある子だからむしろありがたい話だが
問題はその教師達に集中していた
うちではあまりにも反応されなくて忘れかけていたが、ユーリの容姿は特別だったのだ
ユーリから身の上話を聞いた後自分で調べてみたが、どうやらこの国は生まれつきの白髪というのはかなり珍しいのだという、そしてさらにユーリの紅すぎる紅い瞳というのもめったに見れるものではなかったらしく、その二つを両方に持つユーリは確かに珍しいのかもしれない
でもそれだけだ
その後いくら文献を見てもそれらが"災いを呼ぶ"など"不吉の証"などといった記述はなく、当たり前だがユーリが化物だなんて呼ばれる筋合いもない
本当にただ珍しいってだけなのに、大人たちの捉え方は違った
中には普通に対応してくださる先生ももちろんいる
けど、そうじゃない人たちの方が多かった
それが特に集中していたのが学方面の人たちだった
ユーリと過ごしていてすぐ分かったことだが、ユーリは聡い子だ
頭の回転も速いし、知識を欲する気持ちもある
だけど、今までの生活が生活だったからいきなり解き方も何も分からない問題を出されても分かるはずがない
それなのにそいつらは出来ないユーリを馬鹿にし始めた
いくら養子とは言え正式にノワールの一員であるユーリに直接手を出すわけにもいかないから、代わりにといわんばかりに無理難題の問題を出しては解けないユーリを見て口々に嫌味を言っていた
私がそれに気づいたのはユーリの教育が始まってから一ヶ月が経とうとしていた時だった
たまたまユーリの部屋の前を通ったときに聞こえたのだ
「このような簡単な問題でもやはりあなた様のような子には難しいのですね?あー困った困った、私は優秀な子をさらに優秀に育てるのが好きなのですが、ユーリ様はそれ以前の問題ですね」
嫌みったらしく言うその似非インテリむっつり(だってそう見えるんだもん!)ヒョロ眼鏡の言葉を聞いた瞬間、私は部屋に踏み込んだ
「ごめんなさい先生、どうやら私極度の潔癖症だったらしくて、あなたのその人である以前の気持ち悪い声を聞いただけで頭痛めまい吐き気蕁麻疹過呼吸の症状に陥りそうなので即刻このお屋敷から出て行ってくださいませんか?あぁご心配なく、ちゃんと馬車は用意いたしますよ?そしてそのままその馬車は差し上げます。だって、汚物を乗せた馬車なんて、ノワール家には不要ですから」
ニコリと笑みを崩さない私と目を見張って驚くユーリ、そしてなんと言われたのか理解出来ているのかいないのか分からない顔面真っ青なクソ眼鏡
数秒して我に返ったのか慌てて弁明して来ようとしたけど当然そんなのに耳を貸すわけでもなく、自分で出られないようだったから、人を呼んで丁重に(引きずり出して)お帰り願った
そして言い渋るユーリからこの一ヶ月間のことを聞き、今のような奴の他に怯えてろくに授業をしない奴、ぎこちないながらも陰で蔑むようなことを言っている奴(これはユーリ付きのメイドさんがたまたま聞いたのを私に教えてくれたこと)がいるということも知った
それを聞いて何もしないはずもなく、止めるユーリの声も聞かずにそのままお父様のとこへ行き事情を全部話した
険しい顔のお父様が何とかするといってくれたのを聞き遂げてからユーリと一緒に部屋を出る
ユーリは「僕は大丈夫だったのに!」とまだ言ってたが「お前が大丈夫でも私達が大丈夫じゃねえんだよ!」って言い返しといた、ついでに軽く小突いた
「お前が蔑ろにされたらお前を大好きな私達も傷つくんだからこれからはなんかあったら絶対言うこと!分かった?!」
そう言って漸くユーリは渋々といった感じで納得してくれたけど、多分同じようなことがまた起こってもこの不器用ちゃんは言わねえだろうな
ユーリに気づかれないように小さくため息をついた
その後しばらく私担当の先生が私とユーリ両方を見てくれていたが、さすがにずっとというわけにもいかなく、そんな時に現れたのがシェイルスさんだ
一応私たち二人の先生ということになっているが、恐らく主に担当するのはユーリだというのは簡単に想像がついた
先にユーリとシェイルスさんを応接室に送ってから、私は残ったお父様とエドさんから話を聞くことにした
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