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第三章
ゆっるい男
しおりを挟むコレットとの楽しいお茶会も終え、私達は荷物を取りに一度教室へ戻った
今日は入学式のため、これからの学校生活での説明などといった簡単なHRで全員帰宅していいこととなった
けど、お茶会から戻っても教室は賑わっていた
恐らくこれからの人脈作りに皆必死なんだろう
淡々とそんなことを思いながら教室に入れば、私に気づいた人が一人、また一人と黙って後ずさっていく
さっきあんだけのことをしておいて何の反応も受けない、なんてことは流石に思っていなかったけど、それでも全員が全員その反応ってちょっと大げさすぎでしょ
全く、失礼しちゃうわ!ぷんぷん!
なんて頭の中でふざけながら自分の席に行けば隣からじーっとこっちを見ている目とかち合った
頬杖をついて私を見るそいつを見る
肩につくくらいの長さの臙脂色の髪をゆるく一つ結びにしており、普通なのか、それとも今さっきまで泣いてたのか、濡れたような瞳
貴族学校だけあって、みんなちゃんと制服を着ている中、こいつだけはホストかってくらい胸元を開けネクタイを緩めていた
まあ一言で言えば、何から何までゆっるそうな男だ
てか、こいつはなんで私を見ているんだ
眉をひそめるも声はかけずに机の横に掛けてある鞄を手に取った
こういうのは勘で分かる
こういう人種はあれだ、関わるべからずだ!!
なぜかって?
なぜならこいつは左右で違う色の瞳を持つオッドアイの持ち主だからだ
前髪が長く片方の目を覆っているが、僅かの隙間から見えた瞳の目が灰色なのと比べて、顕わになってる右目は輝くような金色
綺麗なオッドアイだとは思うが同時に警戒心も強まる
だって、こういうイケメンでオッドアイって絶対あれじゃん
絶対主要人物の仲間じゃん!!
今更?って思うかもしれないけど、今でも私の夢は平和に何事もなく過ごすことなんだよ!!
だから火の粉には出来るだけ関わりたくないの!
ソフィやユーリ、シェリーはもう私の大事な人たちだからそんなことは思わないけどね
とにかく!なるべく接点を持たないように…目を付けられないように……!
「そんなあからさまに無視られたら流石に俺も傷つくんだけど~?」
「!!」
奴の隣を横切ろうとした瞬間、見た目だけじゃなく口調までゆっるいそいつにいきなり手首を掴まれた
その瞬間どよめく教室
女子はなにやら悲鳴を上げているし男子はハラハラしながら私達の様子を楽しんでいた
悪趣味な奴らめと舌打ちしそうになったが、心配そうにこっちを見ているコレットの顔を見てなんとか冷静を取り戻した
「いきなり手首を掴むなんて、無礼ではなくって?」
「これは失礼?あまりにも美しかったものでつい引き止めたくなっちゃったんだよね~」
「あなたのせいで足を止めざるをえなくなったのだから、そろそろ手を離してくださらない?」
「え~、離したら君、逃げちゃうでしょ~?」
「見くびらないでちょうだい、私は逃げも隠れもしないわ」
「お~!さっすが~!ノワール家の令嬢は言うことがかっこいいね~」
ヒュ~、と口笛を吹いて私の手首から手を離したそいつはまたニコニコしながら私を見つめてきた
いや、この顔はニコニコって言うより、ニヤニヤだな
こいつ、完全に私のこと馬鹿にしてる
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