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第四章

二年生

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目を開ければ、寮の自室の天井が映った
何か夢を見ていたような気がするけど内容がよく思い出せない
ただなぜか、無性に紅い髪の女の子っていいなぁ…ていう気持ちになった


枕元にある時計を見てのろのろと起き上がる


ハルからの宣戦布告を受けてから、暫く気を抜かずに警戒していたが、その日以来拍子抜けするくらい何もない平和な日々が続いていた
隣の席だから何か仕掛けてくるかもしれないと構えていたが、出会った当初みたいへらへらしながら接してくる以外、特に何かされることはなかった
もちろん、クロスにも変なことは起きていないと聞いた

それでも気を抜かずに学生生活を送り、コレットや他に出来た友人達と親交を深め、たまに鉢合うアイシャと毒の言い合いをし、勉学にも励み、たまの帰省でクロスとユーリとお馴染みのお茶会で和み、ソフィとも昔と変わらない時間を過ごしているうちに


気づけば



私は二年生になった




スタンドミラー前で制服の最終チェックをする

入学当初にあった不安も、この一年を過ごしているうちに段々薄れていた
だから何事もなく進級出来たときは柄にもなく少し感動していたのだ


けど、その感動もすぐに焦りへと変わった

二年生になったってことは、ユーリが入学してくるということだ
それは嬉しい、学園でもユーリに会えるんだから、ブラコンな私からしたら嬉しいでしかない

ただ、そのことに浮かれてすっかり忘れていた



二年生ということは

本格的にゲームの物語が始まってくるということじゃないか??

てことは、近いうちにヒロインちゃんが登場して、皆と恋愛をし始めるということだよね?
いや、それは全然いい、むしろしてくれ、私に甘々イチャラブを提供してくれ?っていう話なんだけどさ!!

ゲームの内容も知らない私が、もし!無意識のうちにイベントやらをぶち壊していった場合……もしかしなくても強制的に死亡ルートに入るんじゃ……?

い、いやいや!!やめよう!!そんな恐ろしいことは考えないようにしよう!!
ネガティブに考えるのはよそう!
無意識のうちにぶち壊せないくらい静かに息を潜めて一年を過ごしていこう、うん!そうしよう!!
セツィーリアが死ぬか国外追放されるか決まるのは三年に進級する前
てことはこの一年さえ耐えれば、ゲーム軸から外れて生きれる可能性が高くなるということだ!

よし、今年の目標は決まったな



徹底的に存在を消し、徹底的にヒロインとは関わらない!!




「よっしゃあ!!絶対に生き残ってやるんだから!!!」





部屋の壁が厚いおかげで、私の雄叫びは誰かに聞かれることはなかった




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