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第四章
いつの間に
しおりを挟むさっきまで妙に騒がしかった心はびっくりするくらい落ち着いていた
ただ純粋にクロスは私の疑問になんて答えてくれるのかが気になった
「クロスはさ、私の事どう思ってる?」
「ん?」
繋がれている手に少し力を込める
庭仕事をしているからなのか、少しかさついていて、けど温かくて綺麗なクロスの手
小さい頃から繋いているこの手なのに
いつの間にこんなに大きく
こんなに男の人の手になったんだろう
そう意識した瞬間、なぜか物凄く気恥ずかしい気持ちが湧いた
恥ずかしさから手を放したい気持ちと
ずっとこの安心できる手に繋がれていたい気持ちがせめぎ合う
「私は、クロスの妹みたいな存在?クロスは今までずっと私の面倒を見てきたけど、、それも全部私がクロスの妹みたいだったから?」
辺りは薄暗いけど、私とクロスの距離はお互いの顔がはっきりと見えるくらいには近い
今、クロスの目には私はどんな風に映っているんだろう
不安そうな顔?
純粋に答えを教えてほしい顔?
赤くなっている顔?
泣きそうな顔?
いつからだろう
クロスの目に映る自分をこんなに気にするようになったのは
いつからだろう
クロスの目をじーっと見つめていると変に胸が騒がしくなるようになったのは
分からない
分からないから
「ねえ、クロス、教えて?」
「私はクロスにとって、何?」
真っ直ぐクロスの目を見る
クロスの些細な反応も見逃さないように
そして
「セツは俺にとって、ただのセツだよ」
あっさり告げられたそれに私はどんな顔をしたのか自分でも分からなかった
「お転婆で食いしん坊で意地っ張りで、人のために無茶するような優しい子。妹だって思う時も多々あるけど、たまに、本当に数年に一度のレベルで俺より大人だって思う時あるし、そうだなあ、セツもいつも俺に言ってくれるけど、お前は俺にとっての家族だよ。母さんと同じくらい大事で大切な家族だ」
そう言って優しい笑顔を向けてくれるクロス
知ってる、この笑顔はクロスが本当に親しい人にしか向けない顔だっていうのは
だから、クロスが私に伝えてくれた言葉に嘘はないっていうことはすぐに分かった
「……そうだよね、私たちは家族だよね!!!いやあ、クロスならそう言ってくれると思った!!!」
なのに、どうして
「いやあ、昔にもさ、同じことを聞いたときあったじゃん?そん時クロスなんて答えたか覚えてる??距離が少し近いお嬢様と使用人の子どもって言ってたじゃん?!今もそう答えたらどうしてやろうかと思ったけど、よーしよし!よく引っかからなかった!このセツ様が特別に褒めてあげるー!」
「うわっ、おい!!いきなり飛び掛かってくんな!ていうか痛ぇって!髪!髪抜ける!」
わしゃわしゃとクロスの頭を思いっきりかき乱す
どうして私は今クロスに自分の顔を見られたくないって思うんだろう
「さて!抜き打ちテストも終わったし今度こそ帰ろ!ほら早くクロス!置いていくよ!」
「おいおい、怪我人なんだからもう少し落ち着け」
「はいはーい、分かってますよーだ!」
どうして、こんなにも泣きそうになっているんだろう
この時
私は知った
私はクロスに恋をしている
そして
その恋は叶いそうにないということを
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