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紫陽花の咲く頃に 承1-1
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「屋上行くか」
弁当箱を掲げられ、葵にそう言われるもスミレはふるふると首を横に振った。
「屋上は暑いよ? 教室のほうがクーラー効いてて涼しいじゃん」
「お前と二人きりになりたいんだよ」
なに当たり前のこと言ってんだ? という顔をされた。
ーーふ、二人きりって!
スミレの顔が、ぼっ、と赤くなる。
「ぼ、僕は、…教室がいいです」
「ちっ」
表情を変えることなく舌打ちされ、ずいっと顔を寄せられた。
「お前、自分の上目遣いの破壊力わかってんのか?」
「へ?」
「自覚なし、か。いただきます」
よくわからないがとりあえず弁当を食べ進める。
ユーレイが乗っている、なんて言われてから早一週間、なぜかスミレの横には常に葵がいるようになった。
隣のクラスなので授業中は無理だが、休憩時間や放課後になるといつの間にか隣を陣取られる。
母が作ってくれた弁当を食べながら、ちらりと葵を見上げた。
(綺麗な顔してるよねぇ。男らしい顔つきなのに、整ってる)
一方自分はどちらかと言わなくても垂れ目垂れ眉で女顔。
(うーん、生まれつきの差か…。僕ももうちょっと男らしさがほしい…)
「スミレ」
「はいいっ」
「お前、友達はいないのか」
「へ?」
「昼も夕方も、お前が誰かとつるんでるのをまだ見ていない」
「あー…うん、そうだね、いないね…」
「俺みたいに性格に難があるわけじゃなかろうに、なんでいない」
「自分で性格悪いって言っちゃうんだね…」
ははは、と笑って気まずそうに、
「…友達できることにはできるけど、なんていうか、うん、色々あって…最終的に友達じゃなくなる」
そう、色々とあるのだ、色々と。
そこから先は深く聞かないようで「ふーん」で会話は終了。スミレはほっと息を吐く。
「僕も聞いていい?」
「なんだ」
「髪の毛…すごく綺麗だね。なんで伸ばしてるの?」
男らしい顔つきとは裏腹に、腰まである髪の毛をひとつに結っている。
かなり手入れもされているようで、黒髪がツヤツヤだ。
「護身用」
「ごしんよう…?」
いざってときに振り回して攻撃!とか…? イマイチぴんと来なくてスミレは頭にはてなマークを浮かべ、お昼は終了した。
「帰るぞ」
放課後になると当たり前のように葵が迎えに来た。
「なんだ? 今日は逃げないのか?」
「キミ足早いから逃げても無駄だとわかりました…」
最初のうちは逃げていた。そりゃあもう全速力で。
しかし足の長さか瞬発力かスタミナの違いか、あっという間に追いつかれいつの間にか隣を並走。
一週間も続ければ諦めもつくというものだ。
「ほう。と言うことは俺の告白も受け入れるということか」
「なんでそうなるのっ」
「違うのか」
しゅんと小さくなるかと思いきや流し目で見つめられ、なまじ顔が綺麗なので思わずドキッとしてしまう。
「ちなみにユーレイはまだいるぞ」
思わず振り向くも誰もいない。葵が指差すのはちょうどスミレの肩辺りだ。
その指が、葵自身の唇を指す。
「俺とキスをすれば除霊できる」
「しません」
「いい加減、俺とキスしたほうがいいぞ。ユーレイが憑いたままでいいのか?」
「うぐっ…それは嫌だけど、でも、ホントにユーレイがいるとは僕はまだ信じてないから」
「そうか」
ふむ、と歩きながら葵が腕を組む。
「お前の同じクラスに春山というやつがいるだろ」
「いるよ。喋ったことないけど」
「今年の5月ぐらいに入院しなかったか?」
「そういえば入院してたね。一週間か二週間ぐらい学校休んでたような」
「あれもユーレイに憑かれてた」
「えっ?」
「入学式の時から春山にユーレイが憑いてるのを俺は見た。そのまま放置してたらぶっ倒れて入院だ。検査してどこも悪くないから、ってウチのジジイに相談したらしい。除霊で有名だからな、ウチのジジイは」
「はへー…」
長らくこの街に住んでいるが初耳だ。…まあ友達がいないので情報源もないのだが。
しかしスミレは、ん? と首を傾いだ。
「ユーレイ憑いてたんだったら、葵が除霊しなかったの?」
「なんで頼まれもしないのにせにゃならん。ユーレイ憑いてますよ、って言う義理もないだろ」
意外と(?)優しくなかった。
「じゃあなんで僕には言うの」
「好きだから。除霊してやるからさっさとキスさせろ」
顔が迫ってきて慌てて手でガード。
「だっ! 大体! なんで僕なの! クラスだって違うし喋ったこともなかったのに!」
なかなか日に焼けない白い指の向こう側から、黒い瞳で射抜かれる。
不覚にも鼓動が高鳴る。
大きく鳴る心臓のせいか蝉の声がどこか遠くから聞こえるように感じ、触れているこの指先からドキドキと言う音が伝わるのではと変な心配さえしてしまう。
熱い汗が、たらりと背筋を流れた。
「…そういえば言ってなかったな」
顔を退かしてくれて、ホッと息を吐く。
よかった、このドキドキは知られていない。…たぶん。
「学校の裏に紫陽花が咲いてる場所があるだろ。今年の梅雨に、そこでお前を見かけた」
葵の言うとおり、学校の裏には紫陽花がこんもりと咲く場所があり、梅雨の時期は学生たちのフォトスポットとして大人気だ。
「小雨だった。他のヤツらが必死で写真撮ってんのに、お前だけは傘を持ったまま紫陽花を見つめてた。泣いてた。お前がひとりで紫陽花を見つめながら泣いてた。涙が宝石みたいにキラキラ光ってて、釘付けになった。一目惚れだった。ーーなんで泣いてたのかは知らん。でも、泣いてる理由を知りたいし、泣き止ませたいとも思った。笑顔も見たいと思った。それが理由…スミレ? どうした」
頬にそっと、ゴツゴツとした葵の指先が触れられる。
人差し指に透明な雫が見えることで初めて、自分が泣いていることに気付いた。
ーー覚えてる。
梅雨の初め、あの場に佇んでいたことをしっかり覚えてる。
「見てた、ん、だね…。ごめ、泣きたいわけじゃ…」
両目から涙が溢れた。ぼろぼろと自分の意思に反してこぼれ落ちてしまう。
大丈夫かと聞くように背中をさすられた。
その優しさに目を閉じると、堰を切ったようにスミレは話し始めた。
「僕の家ね、猫を飼ってたんだ。その子が今年の春に21歳で亡くなって…紫陽花、って名前だったんだ。あーちゃんって呼んでた。僕が生まれた時からずっと一緒で…あーちゃんがいない初めての梅雨が来るんだな、って思って…。それで、紫陽花を見てたら…」
自分が生まれるずっと前、母が拾ってきた一匹の子猫。紫陽花の咲く頃にやってきたからその名がついた。
「黒猫でね、すごい綺麗な毛並みだったんだよ。家猫なのにたまにどこかからか大きな虫捕まえてきたりね、それ誇らしげな顔で見せてくれて…。風邪ひいた時はぴたって足にくっついて眠ってくれるんだよ? すっごくあったかいんだ。…あーちゃんは猫だけど、僕のお姉さんだったんだ。恩返ししたいから寝たきりになったら頑張って介護しようって思ってたのに、すぐに旅立っちゃった…」
「弟思いのいいお姉さんだったんだな」
その言葉に、こくこくこく、と何度も頷いた。
それから木陰のベンチに移動して、紫陽花との思い出をたくさん話した。
ご飯はカリカリが大好きだったこと、猫じゃらしよりもおもちゃのネズミに反応する子だったこと、泣いていると傍に寄り添ってくれたこと、でも構いすぎると猫パンチを食らったこと…泣き笑いの表情でスミレは話す。
「…ごめんね、また泣いちゃって。あーちゃんがいないってことがまだ実感沸かないんだ…」
「そりゃそうだろ。まだ半年も経っていない」
「うん…」
「いつでも話せ。お前の話は全部聞きたい」
膝の上に置いていた手に、葵の手が乗った。
「で?」
「うん?」
「紫陽花との思い出話はそれだけじゃないだろうが。さっきも言った。お前の話は全部聞きたい」
ーー日が沈み、気付けばお互いの顔が見えなくなるまで話していた。
葵は頷いたり相槌を打ってくれたり、スミレにとって話しやすい環境を作ってくれた。
気持ちを吐き出せたことにより、ようやく紫陽花の死を受け入れられたように思える。
スミレは立ち上がった。
「話聞いてくれてありがと。そろそろ帰らないと」
「真っ暗だな。足元気をつけろよ」
「うん。…で、この手はいつ離してくれますか」
気付けば手は握られたままである。
葵はしれっと言った。
「このままでいいと思いまーす」
「よくない! よくない、けど…きょ、今日は許す…」
ごにょごにょと消え入る小さな声でそう告げると、より一層、ぎゅっと強く手を握られた。
夏に比べ夜の訪れが早くなった帰り道を歩く。
顔が熱い。
握られた手のひらがじんわりと汗をかいているが、不快じゃないかと心配してしまう。
ちらりと見上げると、ちょうど街頭に照らされた葵と目が合った。
ふ、と小さく微笑まれ、慌ててスミレは俯いた。
ーー笑ってるとこ、初めて見た。
怒っているわけではないが表情があまり動かない葵。変化があるのは眉間に皺が寄るときぐらいだった。
それが、笑った。
ーー熱い。
触れる指が熱いのもこの体が熱いのも、全部全部、残暑のせいだ。
弁当箱を掲げられ、葵にそう言われるもスミレはふるふると首を横に振った。
「屋上は暑いよ? 教室のほうがクーラー効いてて涼しいじゃん」
「お前と二人きりになりたいんだよ」
なに当たり前のこと言ってんだ? という顔をされた。
ーーふ、二人きりって!
スミレの顔が、ぼっ、と赤くなる。
「ぼ、僕は、…教室がいいです」
「ちっ」
表情を変えることなく舌打ちされ、ずいっと顔を寄せられた。
「お前、自分の上目遣いの破壊力わかってんのか?」
「へ?」
「自覚なし、か。いただきます」
よくわからないがとりあえず弁当を食べ進める。
ユーレイが乗っている、なんて言われてから早一週間、なぜかスミレの横には常に葵がいるようになった。
隣のクラスなので授業中は無理だが、休憩時間や放課後になるといつの間にか隣を陣取られる。
母が作ってくれた弁当を食べながら、ちらりと葵を見上げた。
(綺麗な顔してるよねぇ。男らしい顔つきなのに、整ってる)
一方自分はどちらかと言わなくても垂れ目垂れ眉で女顔。
(うーん、生まれつきの差か…。僕ももうちょっと男らしさがほしい…)
「スミレ」
「はいいっ」
「お前、友達はいないのか」
「へ?」
「昼も夕方も、お前が誰かとつるんでるのをまだ見ていない」
「あー…うん、そうだね、いないね…」
「俺みたいに性格に難があるわけじゃなかろうに、なんでいない」
「自分で性格悪いって言っちゃうんだね…」
ははは、と笑って気まずそうに、
「…友達できることにはできるけど、なんていうか、うん、色々あって…最終的に友達じゃなくなる」
そう、色々とあるのだ、色々と。
そこから先は深く聞かないようで「ふーん」で会話は終了。スミレはほっと息を吐く。
「僕も聞いていい?」
「なんだ」
「髪の毛…すごく綺麗だね。なんで伸ばしてるの?」
男らしい顔つきとは裏腹に、腰まである髪の毛をひとつに結っている。
かなり手入れもされているようで、黒髪がツヤツヤだ。
「護身用」
「ごしんよう…?」
いざってときに振り回して攻撃!とか…? イマイチぴんと来なくてスミレは頭にはてなマークを浮かべ、お昼は終了した。
「帰るぞ」
放課後になると当たり前のように葵が迎えに来た。
「なんだ? 今日は逃げないのか?」
「キミ足早いから逃げても無駄だとわかりました…」
最初のうちは逃げていた。そりゃあもう全速力で。
しかし足の長さか瞬発力かスタミナの違いか、あっという間に追いつかれいつの間にか隣を並走。
一週間も続ければ諦めもつくというものだ。
「ほう。と言うことは俺の告白も受け入れるということか」
「なんでそうなるのっ」
「違うのか」
しゅんと小さくなるかと思いきや流し目で見つめられ、なまじ顔が綺麗なので思わずドキッとしてしまう。
「ちなみにユーレイはまだいるぞ」
思わず振り向くも誰もいない。葵が指差すのはちょうどスミレの肩辺りだ。
その指が、葵自身の唇を指す。
「俺とキスをすれば除霊できる」
「しません」
「いい加減、俺とキスしたほうがいいぞ。ユーレイが憑いたままでいいのか?」
「うぐっ…それは嫌だけど、でも、ホントにユーレイがいるとは僕はまだ信じてないから」
「そうか」
ふむ、と歩きながら葵が腕を組む。
「お前の同じクラスに春山というやつがいるだろ」
「いるよ。喋ったことないけど」
「今年の5月ぐらいに入院しなかったか?」
「そういえば入院してたね。一週間か二週間ぐらい学校休んでたような」
「あれもユーレイに憑かれてた」
「えっ?」
「入学式の時から春山にユーレイが憑いてるのを俺は見た。そのまま放置してたらぶっ倒れて入院だ。検査してどこも悪くないから、ってウチのジジイに相談したらしい。除霊で有名だからな、ウチのジジイは」
「はへー…」
長らくこの街に住んでいるが初耳だ。…まあ友達がいないので情報源もないのだが。
しかしスミレは、ん? と首を傾いだ。
「ユーレイ憑いてたんだったら、葵が除霊しなかったの?」
「なんで頼まれもしないのにせにゃならん。ユーレイ憑いてますよ、って言う義理もないだろ」
意外と(?)優しくなかった。
「じゃあなんで僕には言うの」
「好きだから。除霊してやるからさっさとキスさせろ」
顔が迫ってきて慌てて手でガード。
「だっ! 大体! なんで僕なの! クラスだって違うし喋ったこともなかったのに!」
なかなか日に焼けない白い指の向こう側から、黒い瞳で射抜かれる。
不覚にも鼓動が高鳴る。
大きく鳴る心臓のせいか蝉の声がどこか遠くから聞こえるように感じ、触れているこの指先からドキドキと言う音が伝わるのではと変な心配さえしてしまう。
熱い汗が、たらりと背筋を流れた。
「…そういえば言ってなかったな」
顔を退かしてくれて、ホッと息を吐く。
よかった、このドキドキは知られていない。…たぶん。
「学校の裏に紫陽花が咲いてる場所があるだろ。今年の梅雨に、そこでお前を見かけた」
葵の言うとおり、学校の裏には紫陽花がこんもりと咲く場所があり、梅雨の時期は学生たちのフォトスポットとして大人気だ。
「小雨だった。他のヤツらが必死で写真撮ってんのに、お前だけは傘を持ったまま紫陽花を見つめてた。泣いてた。お前がひとりで紫陽花を見つめながら泣いてた。涙が宝石みたいにキラキラ光ってて、釘付けになった。一目惚れだった。ーーなんで泣いてたのかは知らん。でも、泣いてる理由を知りたいし、泣き止ませたいとも思った。笑顔も見たいと思った。それが理由…スミレ? どうした」
頬にそっと、ゴツゴツとした葵の指先が触れられる。
人差し指に透明な雫が見えることで初めて、自分が泣いていることに気付いた。
ーー覚えてる。
梅雨の初め、あの場に佇んでいたことをしっかり覚えてる。
「見てた、ん、だね…。ごめ、泣きたいわけじゃ…」
両目から涙が溢れた。ぼろぼろと自分の意思に反してこぼれ落ちてしまう。
大丈夫かと聞くように背中をさすられた。
その優しさに目を閉じると、堰を切ったようにスミレは話し始めた。
「僕の家ね、猫を飼ってたんだ。その子が今年の春に21歳で亡くなって…紫陽花、って名前だったんだ。あーちゃんって呼んでた。僕が生まれた時からずっと一緒で…あーちゃんがいない初めての梅雨が来るんだな、って思って…。それで、紫陽花を見てたら…」
自分が生まれるずっと前、母が拾ってきた一匹の子猫。紫陽花の咲く頃にやってきたからその名がついた。
「黒猫でね、すごい綺麗な毛並みだったんだよ。家猫なのにたまにどこかからか大きな虫捕まえてきたりね、それ誇らしげな顔で見せてくれて…。風邪ひいた時はぴたって足にくっついて眠ってくれるんだよ? すっごくあったかいんだ。…あーちゃんは猫だけど、僕のお姉さんだったんだ。恩返ししたいから寝たきりになったら頑張って介護しようって思ってたのに、すぐに旅立っちゃった…」
「弟思いのいいお姉さんだったんだな」
その言葉に、こくこくこく、と何度も頷いた。
それから木陰のベンチに移動して、紫陽花との思い出をたくさん話した。
ご飯はカリカリが大好きだったこと、猫じゃらしよりもおもちゃのネズミに反応する子だったこと、泣いていると傍に寄り添ってくれたこと、でも構いすぎると猫パンチを食らったこと…泣き笑いの表情でスミレは話す。
「…ごめんね、また泣いちゃって。あーちゃんがいないってことがまだ実感沸かないんだ…」
「そりゃそうだろ。まだ半年も経っていない」
「うん…」
「いつでも話せ。お前の話は全部聞きたい」
膝の上に置いていた手に、葵の手が乗った。
「で?」
「うん?」
「紫陽花との思い出話はそれだけじゃないだろうが。さっきも言った。お前の話は全部聞きたい」
ーー日が沈み、気付けばお互いの顔が見えなくなるまで話していた。
葵は頷いたり相槌を打ってくれたり、スミレにとって話しやすい環境を作ってくれた。
気持ちを吐き出せたことにより、ようやく紫陽花の死を受け入れられたように思える。
スミレは立ち上がった。
「話聞いてくれてありがと。そろそろ帰らないと」
「真っ暗だな。足元気をつけろよ」
「うん。…で、この手はいつ離してくれますか」
気付けば手は握られたままである。
葵はしれっと言った。
「このままでいいと思いまーす」
「よくない! よくない、けど…きょ、今日は許す…」
ごにょごにょと消え入る小さな声でそう告げると、より一層、ぎゅっと強く手を握られた。
夏に比べ夜の訪れが早くなった帰り道を歩く。
顔が熱い。
握られた手のひらがじんわりと汗をかいているが、不快じゃないかと心配してしまう。
ちらりと見上げると、ちょうど街頭に照らされた葵と目が合った。
ふ、と小さく微笑まれ、慌ててスミレは俯いた。
ーー笑ってるとこ、初めて見た。
怒っているわけではないが表情があまり動かない葵。変化があるのは眉間に皺が寄るときぐらいだった。
それが、笑った。
ーー熱い。
触れる指が熱いのもこの体が熱いのも、全部全部、残暑のせいだ。
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