55 / 60
第三章 夢の続き
柚葉の賭け
しおりを挟む
「何、言って・・・」
柚葉の言葉を聞いたアリスは見て分かるほどに驚いていた。彼のこんな表情も珍しい。
「今はもうこれしか方法がない!私が野獣の背中に乗って、場所を知らせますから、それを目印に叩き斬ってください!あ、もちろん私を避けて!」
柚葉が口で教えて剣を振り回していては、アグラのスピードにはついていけない。傷を負わせることは出来るだろうが、致命傷は与えられないだろう。
それならば直接ここだと知らせた方が話は早い。ただ問題は、柚葉がアグラの背中にうまく乗れるか。そして乗れたとしても、アリス達が倒せるまでそこにしがみついておけるか。この時ばかり蚊になりたいと思ったことはない。
「馬鹿か!そんなことできるわけ・・・っ」
「だったら他にいい案をどうぞ!」
「・・・っ、」
アリスの手にまた力が入る。指が、脇腹にくい込みそうだ。
冷静になればもっと安全な方法などいくらでもあっただろうし、アリスとグレンだけなら、どうとでもなったかもしれない。見えない敵がいる前では、柚葉を抱えておかなければならないことを柚葉自身分かっている。足でまといだから離してと言ってもきかないだろう。
だったら自分も戦えばいい。非戦闘員なりに、力になればいい。
「いいですね?・・・グレンさんも、アリスさんが私をアイツの背中まで運んでくれる間、惹き付けててください」
「ユズハちゃん・・・、でも、どうやって惹き付ければ・・・」
「そちらも私が誘導します。とにかく、言う通りに動いてください」
言葉こそ強く言うが、もちろん自信はない。あるわけないのだ。これは賭けだ。
一国の王子とエースの密偵に指図するほどうまくできるかも分からないのだ。
ただ、今はやるしかない。
どうなるか分からなくても、柚葉が二人を動かさなければならないのを柚葉は分かっている。
「・・・ユズハ、」
ここまで柚葉が押し切れば、アリスももう言い返すことはできなかった。その代わりに、悔しさの滲む声で柚葉の名を呼ぶ。
「・・・大丈夫ですよ。これでも登り棒は得意でしたし」
学校の校庭にあるアレ。
「喧嘩だって割と強いんです」
「そういう問題じゃ・・・」
「そういう問題なんです。凶暴化したいじめっ子を皆で協力してやっつける。そういう問題です」
アリスは否定はしなかったが、肯定もしなかった。ただ、顔が全力で否定しているのが見て取れた。
「・・・あー、でも、そうですね・・・」
柚葉はアリスに眉を下げて笑ってみせた。
「死にそうになったときは遠慮なく助けて下さいね?」
私だって超乗り気でやるんじゃないんだぞ、と。
「─────わかったよ。それで行こう」
アリスは諦めたようにそう頷いた。
ここで言い争っている場合ではない。グレンにも目配せして、意思を伝えたようだ。
「いいか?やることはアグラの位置を知らせるだけだ。それ以上は絶対手を出すな。無茶もするな。大人しくしていろ」
一体どんだけ信用ないんだろう。柚葉はそれに不満そうにしながらも、出しゃばったところで悪い方向にしかいかないことは知っているので、黙って頷いた。
「分かりまし」
「それから、」
柚葉が返事をし終わる前に、言葉が重ねられる、
「危なくなったら必ず教えろ」
その声が妙に真剣だったので、元より危ないことをしに行くんですとは茶化せなかった。
「・・・・・・」
「返事は?」
「痛い痛い痛い痛い!分かりまひた!」
「よし、行くぞ」
柚葉の頬を引っ張る手を、再度腰の辺りに回され、軽く持ち上げられる。さすが細マッチョ、柚葉なんぞ発泡スチロールのようなのだろう。
「どうする?」
「はい・・・野獣は今正面でこちらを睨んできています。グレンさんはこのままここで、その目線もそのままで。今野獣と見つめ合ってますから。恋でも始まりそうですから」
「ええぇぇ・・・人間と恋したいなぁ・・・」
「アリスさん、ここから真っ直ぐ五メートルほど先、野獣に気付かれないように移動できますか?」
「・・・ああ、やってみよう」
アリスはそう言うと、素早く柚葉の示す位置に移動した。野獣は全くこちらを見ていなかったので、大方アリスが気付かれないような魔法でも使ったのだろう。
グレンは見えていないはずなのに、しっかり野獣と目を合わせていた。どんな敵意を向けられているかも分からないのに、野獣の方が慄くような目。彼がこんな目をするとは思わなかった。普段の朗らかな雰囲気からはとても想像できない。
「と、飛びつくので、できるだけ早く斬ってください!」
「分かってる」
まるで今から跳び箱でも跳ぶかのように助走の構えをとると、後ろでアリスが剣を強く握りしめる音がする。大丈夫、跳べるから、思い切って行け。
生唾を飲み込むと、勢いよく駆け出した。
野獣アグラの背中に向かって一直線。
足は速い方だったけど、砂で踏ん張りがきかなくて思ったようなスピードが出ない。
しかも、踏切版もない。
「あい、きゃん、ふらーーーーい!!!!」
そんな掛け声を出したら高く跳べそうな気がして。
「ふごっ!」
上じゃなくて前に跳んでしまっておでこと鼻を強かに打ち付けた。
「いったぁ・・・」
でも無事野獣に辿り着いたようだ。もさもさの毛が体中に纏わりつき、むず痒いやら気持ちいいやら獣臭いやら、いろんな感覚が一気に押し寄せてきた。だが、今はそんなのに構っている暇はない。
野獣が柚葉の飛びついた左後ろ足に違和感を感じてこちらを振り返ったのだ。
「やば、・・・このっ・・・」
体毛に埋もれながら、毛を握りしめてよじよじと上へと登っていく。ぼこぼこしていて、反りかえった腰のところで登るのをあきらめた。とても背中までは辿り着きそうにない。
「アリスさん!!これ以上は進めません!ここ、こいつの左後ろ足だか―――っうわっ!」
「ユズハ!!」
強烈な揺れと共に、柚葉の全身に遠心力がかかってきた。野獣が柚葉を振り落とそうとしているのだ。足は宙に浮き、遊園地の空中ブランコ状態だ。
「うおああああああい!」
「ユズハちゃん!?」
アリスとグレンから見れば柚葉が空中で右へ左へ浮いているように見えていることだろう。
段々と握力がなくなってくるし、何だか揺られすぎて酔ってきた。
「アアアリリリスゥゥさぁぁぁ、ここぉ、左後ろ足ですからぁぁ、私のぉ、右をぉぉ!」
早く。
もう力が入らない。
「ユズハ、目閉じてろ!」
頭で理解するよりも早く、柚葉はぎゅっと瞼を落とした。
肉を引き裂く音と共に、野獣の強烈な叫びと、血がそこらじゅうに飛び散った。
柚葉の言葉を聞いたアリスは見て分かるほどに驚いていた。彼のこんな表情も珍しい。
「今はもうこれしか方法がない!私が野獣の背中に乗って、場所を知らせますから、それを目印に叩き斬ってください!あ、もちろん私を避けて!」
柚葉が口で教えて剣を振り回していては、アグラのスピードにはついていけない。傷を負わせることは出来るだろうが、致命傷は与えられないだろう。
それならば直接ここだと知らせた方が話は早い。ただ問題は、柚葉がアグラの背中にうまく乗れるか。そして乗れたとしても、アリス達が倒せるまでそこにしがみついておけるか。この時ばかり蚊になりたいと思ったことはない。
「馬鹿か!そんなことできるわけ・・・っ」
「だったら他にいい案をどうぞ!」
「・・・っ、」
アリスの手にまた力が入る。指が、脇腹にくい込みそうだ。
冷静になればもっと安全な方法などいくらでもあっただろうし、アリスとグレンだけなら、どうとでもなったかもしれない。見えない敵がいる前では、柚葉を抱えておかなければならないことを柚葉自身分かっている。足でまといだから離してと言ってもきかないだろう。
だったら自分も戦えばいい。非戦闘員なりに、力になればいい。
「いいですね?・・・グレンさんも、アリスさんが私をアイツの背中まで運んでくれる間、惹き付けててください」
「ユズハちゃん・・・、でも、どうやって惹き付ければ・・・」
「そちらも私が誘導します。とにかく、言う通りに動いてください」
言葉こそ強く言うが、もちろん自信はない。あるわけないのだ。これは賭けだ。
一国の王子とエースの密偵に指図するほどうまくできるかも分からないのだ。
ただ、今はやるしかない。
どうなるか分からなくても、柚葉が二人を動かさなければならないのを柚葉は分かっている。
「・・・ユズハ、」
ここまで柚葉が押し切れば、アリスももう言い返すことはできなかった。その代わりに、悔しさの滲む声で柚葉の名を呼ぶ。
「・・・大丈夫ですよ。これでも登り棒は得意でしたし」
学校の校庭にあるアレ。
「喧嘩だって割と強いんです」
「そういう問題じゃ・・・」
「そういう問題なんです。凶暴化したいじめっ子を皆で協力してやっつける。そういう問題です」
アリスは否定はしなかったが、肯定もしなかった。ただ、顔が全力で否定しているのが見て取れた。
「・・・あー、でも、そうですね・・・」
柚葉はアリスに眉を下げて笑ってみせた。
「死にそうになったときは遠慮なく助けて下さいね?」
私だって超乗り気でやるんじゃないんだぞ、と。
「─────わかったよ。それで行こう」
アリスは諦めたようにそう頷いた。
ここで言い争っている場合ではない。グレンにも目配せして、意思を伝えたようだ。
「いいか?やることはアグラの位置を知らせるだけだ。それ以上は絶対手を出すな。無茶もするな。大人しくしていろ」
一体どんだけ信用ないんだろう。柚葉はそれに不満そうにしながらも、出しゃばったところで悪い方向にしかいかないことは知っているので、黙って頷いた。
「分かりまし」
「それから、」
柚葉が返事をし終わる前に、言葉が重ねられる、
「危なくなったら必ず教えろ」
その声が妙に真剣だったので、元より危ないことをしに行くんですとは茶化せなかった。
「・・・・・・」
「返事は?」
「痛い痛い痛い痛い!分かりまひた!」
「よし、行くぞ」
柚葉の頬を引っ張る手を、再度腰の辺りに回され、軽く持ち上げられる。さすが細マッチョ、柚葉なんぞ発泡スチロールのようなのだろう。
「どうする?」
「はい・・・野獣は今正面でこちらを睨んできています。グレンさんはこのままここで、その目線もそのままで。今野獣と見つめ合ってますから。恋でも始まりそうですから」
「ええぇぇ・・・人間と恋したいなぁ・・・」
「アリスさん、ここから真っ直ぐ五メートルほど先、野獣に気付かれないように移動できますか?」
「・・・ああ、やってみよう」
アリスはそう言うと、素早く柚葉の示す位置に移動した。野獣は全くこちらを見ていなかったので、大方アリスが気付かれないような魔法でも使ったのだろう。
グレンは見えていないはずなのに、しっかり野獣と目を合わせていた。どんな敵意を向けられているかも分からないのに、野獣の方が慄くような目。彼がこんな目をするとは思わなかった。普段の朗らかな雰囲気からはとても想像できない。
「と、飛びつくので、できるだけ早く斬ってください!」
「分かってる」
まるで今から跳び箱でも跳ぶかのように助走の構えをとると、後ろでアリスが剣を強く握りしめる音がする。大丈夫、跳べるから、思い切って行け。
生唾を飲み込むと、勢いよく駆け出した。
野獣アグラの背中に向かって一直線。
足は速い方だったけど、砂で踏ん張りがきかなくて思ったようなスピードが出ない。
しかも、踏切版もない。
「あい、きゃん、ふらーーーーい!!!!」
そんな掛け声を出したら高く跳べそうな気がして。
「ふごっ!」
上じゃなくて前に跳んでしまっておでこと鼻を強かに打ち付けた。
「いったぁ・・・」
でも無事野獣に辿り着いたようだ。もさもさの毛が体中に纏わりつき、むず痒いやら気持ちいいやら獣臭いやら、いろんな感覚が一気に押し寄せてきた。だが、今はそんなのに構っている暇はない。
野獣が柚葉の飛びついた左後ろ足に違和感を感じてこちらを振り返ったのだ。
「やば、・・・このっ・・・」
体毛に埋もれながら、毛を握りしめてよじよじと上へと登っていく。ぼこぼこしていて、反りかえった腰のところで登るのをあきらめた。とても背中までは辿り着きそうにない。
「アリスさん!!これ以上は進めません!ここ、こいつの左後ろ足だか―――っうわっ!」
「ユズハ!!」
強烈な揺れと共に、柚葉の全身に遠心力がかかってきた。野獣が柚葉を振り落とそうとしているのだ。足は宙に浮き、遊園地の空中ブランコ状態だ。
「うおああああああい!」
「ユズハちゃん!?」
アリスとグレンから見れば柚葉が空中で右へ左へ浮いているように見えていることだろう。
段々と握力がなくなってくるし、何だか揺られすぎて酔ってきた。
「アアアリリリスゥゥさぁぁぁ、ここぉ、左後ろ足ですからぁぁ、私のぉ、右をぉぉ!」
早く。
もう力が入らない。
「ユズハ、目閉じてろ!」
頭で理解するよりも早く、柚葉はぎゅっと瞼を落とした。
肉を引き裂く音と共に、野獣の強烈な叫びと、血がそこらじゅうに飛び散った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる