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83 大物偽王子現る
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「わたくしが王子です」
「……眼鏡」
「え?」
「エ、イエ。ナンデモナイデス」
いつもの時間。ここ一週間連続で来ていた偽王子(大)に合わせて、甘ぁいおやつで王子を呼び出したのだが。
現れたのは初見の眼鏡をかけた偽者だった。
相変わらずのローブ姿。とはいえ、背はやや高めでやせ型、王子の体型には一番近い……とは思うけど。
この人、結構年上だよね……?
分からない。顔が上品に整っているからそれなりに若く見えるけど、あと、腹黒っぽい眼鏡が似合っててそれもポイント高いけど、やっぱりどこか年齢不詳な感じがする。
そして何より。
ハッキリ言って、王子というよりは先輩に近い。眼鏡や服装のせいもあるのだろうが、ちょっと社会に出て苦労した後の先輩? みたいな。まあ、先輩とは違いちょっと眼鏡の汚れは気になるが。ちなみに髪の色はグレーでそれも年齢不詳に拍車をかけている。
そして一人称は「わたくし」……。
オレに私にわたくし。驚異の再現率の低さだった。1人もかすりもしていない。かといって、王子の一人称は僕ですよ! などと教えてあげるわけにもいかないので。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
もはや定番となった、いつもの自己暗示を最大限にかけつつ、用意したおやつを勧めてみる。が、反応はイマイチだった。やはり前の偽者とは好みが違うようだ。
それならば、と小分けパックのおやつの盛り合わせを用意する。初見の偽者さんは好みが分からないから、今まではこれで好き嫌いを判別していたのだが……今日の偽者さんは手を付けてくれないから分からない。ってか、座る様子すらない。
何だろう。出来る人っぽい眼鏡の偽王子は、今までの偽者とは一味違うようだ。警戒心が強いようで、簡単には心を開いてもらえない。
ってか、他の2人みたいに王子のフリをするつもりはないのかな? 第一声で王子を自称して以来、何をするでもなく立ったまま私を観察しているようだ。その、素晴らしく似合う眼鏡で。
「いつもと違いますか?」
「え?」
「先ほど眼鏡……と言いましたよね。眼鏡のわたくしが見えているのですね?」
「え? そりゃあ……」
「わたくし――王子は日頃眼鏡をかけていないのに」
「!!!!」
まずいまずいまずい!! なんか策略チックなものに引っかかったっぽい。ああ、そんなお似合いの眼鏡とかかけてくるから!!
何!? この場合どう答えればいいの!?
――と、一瞬パニックになりかけたけど。
「え? 王子って割と普段から眼鏡かけてるよね?」
考えてみれば割と初期からそうだった。私が乙女ゲームをやるたびに、なんか眼鏡攻勢で邪魔しにきてた。最近では、王子がゲームをやっている横で携帯ゲーム機の乙女ゲーをやっていても、あの素晴らしくお似合いの王子専用眼鏡で私の集中力を削りにかかってくる。正直、ちょっと困ってる。
いや、本当に似合うんだアレ。ゲームそっちのけでつい見ちゃう。
あ。そうか。私が王子の眼鏡見ちゃうの、通常運転だコレ。
「そんなはずは。『真偽』……嘘はないようですね」
やっぱ来た。嘘チェック来た。
でも、大丈夫、嘘はない。王子はとてもお似合いの眼鏡をお持ちですよ(私プロデュース)。そして貴方の眼鏡も良くお似合いです。ちょっぴり腹黒感が出てて、似合っています。まあ、ちょっとレンズの汚れが気になるけどね。
眼鏡。二人とも眼鏡。早くも発見☆ 共通点!!
イケる。王子扱い、イケる……!!!
「……でも、姿形が違って見えているのでは?」
「前の召喚主から、よくあることだと聞きました。魔法陣が安定していないと、姿が変わったりするって。だから、別におかしなことではありません」
確か、前に鈴木さんと雑談したときにそんなようなことを話していた。だからこそ、鈴木さんは最初王子を悪魔かなんかだと思っていたそうだ。
王子によると、原材料の都合だと言っていた
悪魔の角やら死者のヴェールやら、異世界召喚魔法陣に中二心くすぐる素材を多用した結果、たまにそっちに引っ張られると。鈴木さんとの召喚生活を送るうちに、それは大幅に改善されたそうだけど。
そして、その「姿のブレ」を王子は過去に利用していたらしい。悪魔やオバケのふりをして、悪さをされたくなければおやつを供えろ……と。ハロウィンか。
ってか、王子もそういうとこ大概、腹黒だよね。おっと、早くも2つ目の共通点を発見しましたよ。
偽王子(腹黒)さん、評価高いです!
「『真偽』……コレにも嘘はないと」
勿論、嘘なんて吐いていない。全部は言っていないだけで……って、え?
今、二回目使った?
嘘を見破る系の魔法って、月一回だけじゃなかったの!?
偽王子(猫耳)の漏洩情報と話が違う。偽王子(大)だって一回しか使っていなかったのに。
思わず顔を見ると、偽王子(腹黒)は眼鏡をあげつつニヤリと笑った。
「……眼鏡」
「え?」
「エ、イエ。ナンデモナイデス」
いつもの時間。ここ一週間連続で来ていた偽王子(大)に合わせて、甘ぁいおやつで王子を呼び出したのだが。
現れたのは初見の眼鏡をかけた偽者だった。
相変わらずのローブ姿。とはいえ、背はやや高めでやせ型、王子の体型には一番近い……とは思うけど。
この人、結構年上だよね……?
分からない。顔が上品に整っているからそれなりに若く見えるけど、あと、腹黒っぽい眼鏡が似合っててそれもポイント高いけど、やっぱりどこか年齢不詳な感じがする。
そして何より。
ハッキリ言って、王子というよりは先輩に近い。眼鏡や服装のせいもあるのだろうが、ちょっと社会に出て苦労した後の先輩? みたいな。まあ、先輩とは違いちょっと眼鏡の汚れは気になるが。ちなみに髪の色はグレーでそれも年齢不詳に拍車をかけている。
そして一人称は「わたくし」……。
オレに私にわたくし。驚異の再現率の低さだった。1人もかすりもしていない。かといって、王子の一人称は僕ですよ! などと教えてあげるわけにもいかないので。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。目の前の彼は王子。
もはや定番となった、いつもの自己暗示を最大限にかけつつ、用意したおやつを勧めてみる。が、反応はイマイチだった。やはり前の偽者とは好みが違うようだ。
それならば、と小分けパックのおやつの盛り合わせを用意する。初見の偽者さんは好みが分からないから、今まではこれで好き嫌いを判別していたのだが……今日の偽者さんは手を付けてくれないから分からない。ってか、座る様子すらない。
何だろう。出来る人っぽい眼鏡の偽王子は、今までの偽者とは一味違うようだ。警戒心が強いようで、簡単には心を開いてもらえない。
ってか、他の2人みたいに王子のフリをするつもりはないのかな? 第一声で王子を自称して以来、何をするでもなく立ったまま私を観察しているようだ。その、素晴らしく似合う眼鏡で。
「いつもと違いますか?」
「え?」
「先ほど眼鏡……と言いましたよね。眼鏡のわたくしが見えているのですね?」
「え? そりゃあ……」
「わたくし――王子は日頃眼鏡をかけていないのに」
「!!!!」
まずいまずいまずい!! なんか策略チックなものに引っかかったっぽい。ああ、そんなお似合いの眼鏡とかかけてくるから!!
何!? この場合どう答えればいいの!?
――と、一瞬パニックになりかけたけど。
「え? 王子って割と普段から眼鏡かけてるよね?」
考えてみれば割と初期からそうだった。私が乙女ゲームをやるたびに、なんか眼鏡攻勢で邪魔しにきてた。最近では、王子がゲームをやっている横で携帯ゲーム機の乙女ゲーをやっていても、あの素晴らしくお似合いの王子専用眼鏡で私の集中力を削りにかかってくる。正直、ちょっと困ってる。
いや、本当に似合うんだアレ。ゲームそっちのけでつい見ちゃう。
あ。そうか。私が王子の眼鏡見ちゃうの、通常運転だコレ。
「そんなはずは。『真偽』……嘘はないようですね」
やっぱ来た。嘘チェック来た。
でも、大丈夫、嘘はない。王子はとてもお似合いの眼鏡をお持ちですよ(私プロデュース)。そして貴方の眼鏡も良くお似合いです。ちょっぴり腹黒感が出てて、似合っています。まあ、ちょっとレンズの汚れが気になるけどね。
眼鏡。二人とも眼鏡。早くも発見☆ 共通点!!
イケる。王子扱い、イケる……!!!
「……でも、姿形が違って見えているのでは?」
「前の召喚主から、よくあることだと聞きました。魔法陣が安定していないと、姿が変わったりするって。だから、別におかしなことではありません」
確か、前に鈴木さんと雑談したときにそんなようなことを話していた。だからこそ、鈴木さんは最初王子を悪魔かなんかだと思っていたそうだ。
王子によると、原材料の都合だと言っていた
悪魔の角やら死者のヴェールやら、異世界召喚魔法陣に中二心くすぐる素材を多用した結果、たまにそっちに引っ張られると。鈴木さんとの召喚生活を送るうちに、それは大幅に改善されたそうだけど。
そして、その「姿のブレ」を王子は過去に利用していたらしい。悪魔やオバケのふりをして、悪さをされたくなければおやつを供えろ……と。ハロウィンか。
ってか、王子もそういうとこ大概、腹黒だよね。おっと、早くも2つ目の共通点を発見しましたよ。
偽王子(腹黒)さん、評価高いです!
「『真偽』……コレにも嘘はないと」
勿論、嘘なんて吐いていない。全部は言っていないだけで……って、え?
今、二回目使った?
嘘を見破る系の魔法って、月一回だけじゃなかったの!?
偽王子(猫耳)の漏洩情報と話が違う。偽王子(大)だって一回しか使っていなかったのに。
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