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233 全てを知る召喚主
しおりを挟む一仕事終えた……とでもいうように、優雅にお茶を飲む王子様。
……。
は? ……え? ココで終了??
ビックリして王子を凝視していると。
「ん? 何か疑問か? ああ……まあ、城が近くなるぶん道も複雑だし、罠も混み入っているからな。慣れていないと一度や二度じゃ覚えにくいか。勿論分からないことや質問なんかがあれば、いくらでも受け付けて――」
クイクイ☆
――って、ああっ!!!
コラ、王子。指先で眼鏡クイクイするな。見ーちゃーうーでーしょー。魔法でキラッ☆ もしなくていいから。やめて、本当、今はやめて。
ダメ! 落ち着け、自分。コレはいつでも見れるヤツ。
…………よし!
「い…いえ、道も罠も完璧に覚えたけど……って、いやいやいや! それはどうでもいいとして、本当にここまでなの!? は!? いつもの王子だったら、私が嫌がっても逃げても……ううん、私が嫌がれば嫌がるほど、逃げれば逃げるほど、聞きたくない情報ほどゴリ押しして機密漏洩してくるのに、城の手前のココで止めちゃうの!? え、本気!?? 王子ってば、何か企んでいたりしない!?!?」
「なっ!? 召喚主、君は少し僕の評価が酷くないか!?」
いやいやいや、だってそうでしょうよ。『秘密の離宮』だって、『塔の地下ダンジョン』だってそうだったでしょうよ。
今日だって耳栓つけてまで抵抗していたのに。事前にその耳栓から王子の声が流れるよう魔改造してまで無理やり『城の地下ダンジョン』情報見せてくるし、聞かせてくるし。
こんなの耳栓の用途無視じゃん! つけてる意味ないじゃん!!
耳元どころか耳の中から無駄にいい声でご案内されちゃいましたからね!? お陰でキッチリ覚えちゃいましたからね!?
言うな、言うな、って言っているのに無理やり言うから、私ってば王子んトコの王家の影さんに命狙われちゃうくらい機密情報知っちゃっているんですよ。
王子、絶対『押すな、押すな』と勘違いしているでしょう!? こっちの常識身に付けすぎなんですよ、まったくもう!!
――――――で!
そんな王子がココで引くとか肩透かしもいいとこでしょうよ!!!
だいたい、耳栓まで機密漏洩のツールにされちゃ疑いたくもなる…………と、今までの不満も全てぶっちゃけて王子に詰めよれば。
「い……、いや、だって召喚主。…城は、その」
「城は何よ!?」
「城は……既に案内済み、だし」
「………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………あれ?」
うん? ちょっと待って一旦落ち着こう。
そして、順序だてて考える。
……ええと。まず王子が『幽閉中の塔』作って『幽閉前に住んでいた城』作って。偽王子(王家の影)さん達が「ココ間違ってる」とか言い出して両方最新版に直して。王子が『秘密の離宮』作って。
偽王子達の存在を知らない王子が勝手に塔が最新版に直っていたのにビックリして、城(本物)の方も勝手に直っていたゲーム通りなのかを見に行きたいから、塔から城へ繋がっている筈の『地下ダンジョン』を攻略したいって言いだして。
『塔の地下ダンジョン』作って、『城の地下ダンジョン』…を……作って……。
……案内、っていうか。確かに王子と一緒に『城』の変更点を見ていますね。
王子が秘密の離宮(本物)から戻ってきたとき、ゲーム内の『幽閉前に住んでいた城』が最新版に直されているのを王子と一緒に確かめた。ビックリしていた王子の反応を覚えている。
そんでもって影さん達のことは言えないから、「ゲームが最新版にアップデートされた」とか何とか言って、適当に誤魔化して……。
最大機密の城(最新版)情報……入手済み、でした。他ならぬ王家の影さん達の手によって。
……って、な・ん・だ・そ・れ!?(本日二回目)
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