323 / 364
323 疑惑の日記 後編
しおりを挟む
「夜遅くまで無理をさせて……? 誘惑が多い……? 毎晩二人で楽しんで……? …って、いったい何なのですか、これは……。い、いえ、落ち着きましょう! そういった方向には疎い王子のことです。きっと何か誤解があるはずです。続き、日記の続きを……!」
※※※(王子の日記の続き)※※※
……召喚主は『王子の気持ちは解るから』と言って欲望まみれの僕につきあってくれています。
とはいっても欲望のままに行動するのはどうかと思いますし、それを無尽蔵に受け入れてもらえるわけではないのも解っています。召喚主が拒絶しないからといって一方的に彼女の好意に付け込むわけにもいきません。僕と違って彼女は身体が小さいですからね。体力だって少ないし、睡眠だってたくさん必要な筈です。
あちらでは寝る子は育つのです。鈴木さんの家で暇潰しに見た教育番組で学びました。それでいくと、今の召喚主には睡眠が足りていないようです。育ち方に少々偏りがありますし。
僕としても出来るだけ彼女の負担がないようにと考えてはいるのですが……人間の三大欲求というのは我慢をすることが難しいですから仕方がありません。
夜に身体を動かすと目が冴えてしまいますが、すっかり習慣になったこの召喚主との甘いひと時は僕にとっての癒しです。
そんなこともあって、ついつい彼女の部屋で夜中まで粘ってしまうのです。
いや、まあ、途中で召喚主は限界を迎えて眠ってしまうのですが……。彼女はバイトで朝が早いので仕方がありませんね。その時は隣で眠る彼女をなるべく起こさないように気を付けています。
足りないものを埋める作業は気持ちがいいですし、ピタリと合った時などは何とも言えない達成感があります。自慢ではないですが、真面目な僕はそういうことが得意です。
それでも失敗はしないように、手帳にしっかりと記録を付けています。いくら僕が欲しくても、まだ学生の彼女に経済的な負担をかけたくはありませんから。
そんなわけで毎日のように通ってはいますが、一応僕の中で限度は決めています。彼女もそれを受け入れてくれているので今のところ特に大きな問題は無いようです。
召喚主も協力をしてくれますし、彼女と一緒に楽しむ夜のお祭りは背徳感があって楽しいです。ずっと、こんな生活がずっと続けばいいのに……ああ、いつの間にか日付が変わっていますね。次の召喚に備えてそろそろ眠らなくては。
今日の召喚では、召喚主からいったい何点をもらえるでしょうか?
※※※≪偽王子(腹黒)視点≫※※※
「…………!?!?」
バサバサバサ……ッ!
※※※※※※※※※※
「…はあ……」
「あれ? 王子、ため息なんてついてどうしたの?」
「いや……何か、日々の食事で急にお野菜増量祭りが始まって」
「えっ、王子ってば今度はいったい何をやらかしたの!?」
「それが判らないんだ。念のためにここ最近の日記を読み返してみたんだが、春休み中は食事と風呂以外、ずっとこっちに来て遊んでいるだけだしなあ。僕には心当たりがまるでない」
「(…それが原因じゃないかな……)まあいいや。それじゃあ、今日は特別に二つ買ってあげるから元気出して?」
「やった! 夜は割引があってお得に点数シールが集まるし、この閉店間際のスーパー通いは止められないな。台紙に隙間なくシールを貼る作業も楽しいし、計算しつつ点数ピッタリになったときの達成感は何とも言えないし、しかも、深夜にゲームをしながら食べる甘い菓子パンはちょっぴり背徳感があってクセになりそうだ。とはいえ、太ると監視の兵士にバレるリスクが上がるから、頭を使って少しでもカロリー消費を促すために今日も日付が変わるギリギリまで新作乙女ゲームを頑張るぞ。もうすぐ王太子ルートが終わるんだ。まったく、僕と違ってアイツは中々手ごわくて困る。魅了耐性高すぎないか? それはそうと、僕が隠していた日記に落っことしたような妙な折り目がついていたんだが何故だろう?? 僕の部屋に塔地下ダンジョンに生息する魔物でも侵入しているのだろうか? 繁殖期に入る春先はどうしてもダンジョン内に魔物が増えるし、久々に討伐にでも行こうかな。そうだ、せっかくだから100均素材でダンジョンを攻略するのも楽しいかもしれない」
「…王子さあ……いい加減自重しないと、お野菜増量キャンペーンが延長されても知らないからね?」
※※※(王子の日記の続き)※※※
……召喚主は『王子の気持ちは解るから』と言って欲望まみれの僕につきあってくれています。
とはいっても欲望のままに行動するのはどうかと思いますし、それを無尽蔵に受け入れてもらえるわけではないのも解っています。召喚主が拒絶しないからといって一方的に彼女の好意に付け込むわけにもいきません。僕と違って彼女は身体が小さいですからね。体力だって少ないし、睡眠だってたくさん必要な筈です。
あちらでは寝る子は育つのです。鈴木さんの家で暇潰しに見た教育番組で学びました。それでいくと、今の召喚主には睡眠が足りていないようです。育ち方に少々偏りがありますし。
僕としても出来るだけ彼女の負担がないようにと考えてはいるのですが……人間の三大欲求というのは我慢をすることが難しいですから仕方がありません。
夜に身体を動かすと目が冴えてしまいますが、すっかり習慣になったこの召喚主との甘いひと時は僕にとっての癒しです。
そんなこともあって、ついつい彼女の部屋で夜中まで粘ってしまうのです。
いや、まあ、途中で召喚主は限界を迎えて眠ってしまうのですが……。彼女はバイトで朝が早いので仕方がありませんね。その時は隣で眠る彼女をなるべく起こさないように気を付けています。
足りないものを埋める作業は気持ちがいいですし、ピタリと合った時などは何とも言えない達成感があります。自慢ではないですが、真面目な僕はそういうことが得意です。
それでも失敗はしないように、手帳にしっかりと記録を付けています。いくら僕が欲しくても、まだ学生の彼女に経済的な負担をかけたくはありませんから。
そんなわけで毎日のように通ってはいますが、一応僕の中で限度は決めています。彼女もそれを受け入れてくれているので今のところ特に大きな問題は無いようです。
召喚主も協力をしてくれますし、彼女と一緒に楽しむ夜のお祭りは背徳感があって楽しいです。ずっと、こんな生活がずっと続けばいいのに……ああ、いつの間にか日付が変わっていますね。次の召喚に備えてそろそろ眠らなくては。
今日の召喚では、召喚主からいったい何点をもらえるでしょうか?
※※※≪偽王子(腹黒)視点≫※※※
「…………!?!?」
バサバサバサ……ッ!
※※※※※※※※※※
「…はあ……」
「あれ? 王子、ため息なんてついてどうしたの?」
「いや……何か、日々の食事で急にお野菜増量祭りが始まって」
「えっ、王子ってば今度はいったい何をやらかしたの!?」
「それが判らないんだ。念のためにここ最近の日記を読み返してみたんだが、春休み中は食事と風呂以外、ずっとこっちに来て遊んでいるだけだしなあ。僕には心当たりがまるでない」
「(…それが原因じゃないかな……)まあいいや。それじゃあ、今日は特別に二つ買ってあげるから元気出して?」
「やった! 夜は割引があってお得に点数シールが集まるし、この閉店間際のスーパー通いは止められないな。台紙に隙間なくシールを貼る作業も楽しいし、計算しつつ点数ピッタリになったときの達成感は何とも言えないし、しかも、深夜にゲームをしながら食べる甘い菓子パンはちょっぴり背徳感があってクセになりそうだ。とはいえ、太ると監視の兵士にバレるリスクが上がるから、頭を使って少しでもカロリー消費を促すために今日も日付が変わるギリギリまで新作乙女ゲームを頑張るぞ。もうすぐ王太子ルートが終わるんだ。まったく、僕と違ってアイツは中々手ごわくて困る。魅了耐性高すぎないか? それはそうと、僕が隠していた日記に落っことしたような妙な折り目がついていたんだが何故だろう?? 僕の部屋に塔地下ダンジョンに生息する魔物でも侵入しているのだろうか? 繁殖期に入る春先はどうしてもダンジョン内に魔物が増えるし、久々に討伐にでも行こうかな。そうだ、せっかくだから100均素材でダンジョンを攻略するのも楽しいかもしれない」
「…王子さあ……いい加減自重しないと、お野菜増量キャンペーンが延長されても知らないからね?」
63
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く
基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」
王太子は女を突き飛ばした。
「その恩も忘れて、お前は何をした!」
突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。
その姿に王太子は更に苛立った。
「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」
「ソル…?」
「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」
王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
婚約を破棄したら
豆狸
恋愛
「ロセッティ伯爵令嬢アリーチェ、僕は君との婚約を破棄する」
婚約者のエルネスト様、モレッティ公爵令息に言われた途端、前世の記憶が蘇りました。
両目から涙が溢れて止まりません。
なろう様でも公開中です。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
婚約破棄までの七日間
たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!
※少しだけ内容を変更いたしました!!
※他サイト様でも掲載始めました!
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる