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342 偽王子(大)と煩悩プロテイン
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「ただいまー、っと。じゃー、王子はいつも通り先にシャワーを浴びちゃって。私はその間に飲み物を用意しておくから。あ、魔法で消音するのを忘れずにね!」
「…………(コクリ)『消音(ボソッ)』」
そして――偽王子(大)とのダイエット生活で、何より感動したのがコレ!
偽王子(腹黒)の脅しにより、消音魔法が使えることが判明したチーム偽王子。コレのお陰で、壁ドン(怖い方)を警戒することなく、時間を気にせずシャワーを浴びられるようになったのだ。
とはいえ、最初のうちは少しだけバタついた。何といっても、生まれる世界が違ければ、当然水回りの使い方だって違う。
運動後の偽王子(大)に初めてシャワーをお勧めした時は、冷え切ってくちびる紫のガクブル状態でお風呂場から出てきたから驚いた。どうやら、うっかり水の方の蛇口をひねってしまったらしい。
いや、悲鳴すら上げないとか、口数少ないにも程があるでしょ。
でもまあ、これは私のミスでもある。この人ウチに来てすぐの頃はトイレすら言い出せずに我慢していたくらいだし。
偽王子(大)の口数の少なさを考慮して、もっと私が気遣ってあげるべきだった。
風邪でも引かれたら大変……ってことで、冷え冷え偽王子(大)は大急ぎでお風呂場に戻してお湯をぶっかけましたとも。
その日はプロテインもホットで提供しました。
偽王子(大)もそれを嬉しそうに飲んでいた(多分)。
いや、この人ってば基本無表情だから、微妙な変化から読み取るしかないし……まさに、間違い探し状態。見逃さないようにしっかりと目を凝らしていないといけない。
――――で、だ。
お風呂場でお湯をかけているときにちょっぴり見ちゃったんだけど……偽王子(大)さんってば、物凄い肉体美だった。
そう――それはまるで、スポーツクラブの入会案内チラシのような――――
……って、だめだな。筋肉にそこまで思い入れがないせいか、ちっとも褒め言葉が頭に浮かんでこない。
おかしいな。体鍛えている系眼鏡キャラなんかは割と好みなんだけど。――ま、それについては、どちらかというと眼鏡要素の方が強い気もするので何とも言えない。
それでも、アレくらいバッキバキに腹筋が割れているのはカッコいいし羨ましいと思う。私も一度でいいからあんな風になってみたいものだ。
お手本ともいえる偽王子(大)の見事な腹筋を思い出していたら、自然とチョコレートが食べたくなって……って、ダメダメ! 今ダイエット中なんだってば!!
しっかりしろ、私!
何のために貴重なゲーム時間を割いて、ジョギングなんかしているのかをちゃんと思い出して。
衣料費の節約の為でしょう!
乙女ゲームの購入費用を守るためでしょう!!
ひいては――眼鏡枠の攻略キャラのため!!!
煩悩に更なる煩悩をぶつけて振り払い、偽王子(大)用のお飲み物を準備する。
そう……運動と言えばコレ!!
プ・ロ・テ・イ・ン(チョコレート味)!!
……おっと。どうやら、完全には煩悩が振り払えていなかったようですね。
ガチャ――
「…………(ゴシゴシ)」
「あれ。王子ったらもうお風呂から上がったの? ちゃんとしっかり温まった? 風邪ひいたら大変だから、前みたいに我慢して水のままシャワー浴びたりしたらダメよ。もし使い方分からなかったら呼んでくれればすぐに教えるからね。はい、どーぞ。いつものプロテイン。今日はチョコレート味にしたの」
「…………………うまい」
よーし、偽王子(大)から『うまい』の一言いただきました!
これは、なかなかの好感触。腹筋からの連想ゲームで適当に選んだだけだけど、甘党の偽王子(大)はチョコレート味のプロテインを気に入ったようだ。
煩悩の大勝利! やったね!!
ちなみに私のお気に入りはミルクティー味。毎日同じ味ばかりだと飽きちゃうと思って、ダイエットのお供に色々なお味を用意してある。
これも、自分を奮い立たせるための先行投資ですね。偽王子(大)が気に入ったみたいだから、もし余ったら召喚時のお供にすればいいし。
「じゃ、私もお風呂入ってくるから、王子はそれ飲みながらゲームでもして部屋で適当に寛いでいてね」
「…………(コクリ)」
偽王子(大)が頷くのをしっかり見届けてから、タオルと着替えを持って入れ替わりでバスルームに入る。こうして時間を気にせず入浴できるのも偽王子(大)のお陰ですからね。途中で帰られてしまっては困るのです。
その際にさりげなく確認すれば、偽王子(大)はいつもの無表情ながらも頬にはしっかりと赤みが差していた。
よかった。今日はきちんとお湯を出すことができたようだ。
偽王子(大)はお風呂の使い方が分からなくて、水浴びした前科がありますからね。
顔色を見て、しっかり確認してあげないと!
「…………(コクリ)『消音(ボソッ)』」
そして――偽王子(大)とのダイエット生活で、何より感動したのがコレ!
偽王子(腹黒)の脅しにより、消音魔法が使えることが判明したチーム偽王子。コレのお陰で、壁ドン(怖い方)を警戒することなく、時間を気にせずシャワーを浴びられるようになったのだ。
とはいえ、最初のうちは少しだけバタついた。何といっても、生まれる世界が違ければ、当然水回りの使い方だって違う。
運動後の偽王子(大)に初めてシャワーをお勧めした時は、冷え切ってくちびる紫のガクブル状態でお風呂場から出てきたから驚いた。どうやら、うっかり水の方の蛇口をひねってしまったらしい。
いや、悲鳴すら上げないとか、口数少ないにも程があるでしょ。
でもまあ、これは私のミスでもある。この人ウチに来てすぐの頃はトイレすら言い出せずに我慢していたくらいだし。
偽王子(大)の口数の少なさを考慮して、もっと私が気遣ってあげるべきだった。
風邪でも引かれたら大変……ってことで、冷え冷え偽王子(大)は大急ぎでお風呂場に戻してお湯をぶっかけましたとも。
その日はプロテインもホットで提供しました。
偽王子(大)もそれを嬉しそうに飲んでいた(多分)。
いや、この人ってば基本無表情だから、微妙な変化から読み取るしかないし……まさに、間違い探し状態。見逃さないようにしっかりと目を凝らしていないといけない。
――――で、だ。
お風呂場でお湯をかけているときにちょっぴり見ちゃったんだけど……偽王子(大)さんってば、物凄い肉体美だった。
そう――それはまるで、スポーツクラブの入会案内チラシのような――――
……って、だめだな。筋肉にそこまで思い入れがないせいか、ちっとも褒め言葉が頭に浮かんでこない。
おかしいな。体鍛えている系眼鏡キャラなんかは割と好みなんだけど。――ま、それについては、どちらかというと眼鏡要素の方が強い気もするので何とも言えない。
それでも、アレくらいバッキバキに腹筋が割れているのはカッコいいし羨ましいと思う。私も一度でいいからあんな風になってみたいものだ。
お手本ともいえる偽王子(大)の見事な腹筋を思い出していたら、自然とチョコレートが食べたくなって……って、ダメダメ! 今ダイエット中なんだってば!!
しっかりしろ、私!
何のために貴重なゲーム時間を割いて、ジョギングなんかしているのかをちゃんと思い出して。
衣料費の節約の為でしょう!
乙女ゲームの購入費用を守るためでしょう!!
ひいては――眼鏡枠の攻略キャラのため!!!
煩悩に更なる煩悩をぶつけて振り払い、偽王子(大)用のお飲み物を準備する。
そう……運動と言えばコレ!!
プ・ロ・テ・イ・ン(チョコレート味)!!
……おっと。どうやら、完全には煩悩が振り払えていなかったようですね。
ガチャ――
「…………(ゴシゴシ)」
「あれ。王子ったらもうお風呂から上がったの? ちゃんとしっかり温まった? 風邪ひいたら大変だから、前みたいに我慢して水のままシャワー浴びたりしたらダメよ。もし使い方分からなかったら呼んでくれればすぐに教えるからね。はい、どーぞ。いつものプロテイン。今日はチョコレート味にしたの」
「…………………うまい」
よーし、偽王子(大)から『うまい』の一言いただきました!
これは、なかなかの好感触。腹筋からの連想ゲームで適当に選んだだけだけど、甘党の偽王子(大)はチョコレート味のプロテインを気に入ったようだ。
煩悩の大勝利! やったね!!
ちなみに私のお気に入りはミルクティー味。毎日同じ味ばかりだと飽きちゃうと思って、ダイエットのお供に色々なお味を用意してある。
これも、自分を奮い立たせるための先行投資ですね。偽王子(大)が気に入ったみたいだから、もし余ったら召喚時のお供にすればいいし。
「じゃ、私もお風呂入ってくるから、王子はそれ飲みながらゲームでもして部屋で適当に寛いでいてね」
「…………(コクリ)」
偽王子(大)が頷くのをしっかり見届けてから、タオルと着替えを持って入れ替わりでバスルームに入る。こうして時間を気にせず入浴できるのも偽王子(大)のお陰ですからね。途中で帰られてしまっては困るのです。
その際にさりげなく確認すれば、偽王子(大)はいつもの無表情ながらも頬にはしっかりと赤みが差していた。
よかった。今日はきちんとお湯を出すことができたようだ。
偽王子(大)はお風呂の使い方が分からなくて、水浴びした前科がありますからね。
顔色を見て、しっかり確認してあげないと!
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