【完結】虐げられた可哀想な女の子は王子様のキスに気付かない

堀 和三盆

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1 家族から虐げられた女の子

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 私はラッテ伯爵家の長女ノーラ。
 思えば今日は朝からおかしなことばかりだった。日頃挨拶すらしてくれない義母と妹がわざわざ私の部屋を訪れて、笑顔でピクニックに誘ってきたのだ。

 怪しいと思いつつも用意されたお弁当を見せられて、ホイホイと馬車へ乗り込んでしまったのは私のミスだ。

 ……とはいえ、後悔はしていない。久しぶりにお腹いっぱいご飯が食べられたし、同じ機会があれば喜んで同じミスをするだろうから。


 数年前。私の母が亡くなると、父はすぐに義母と再婚をした。そして、再婚と同時に私に一つ下の妹が出来た。父によく似た妹は確認するまでもなくそういう事なのだろう。

 父親。後妻となった義母。そして二人の間に産まれた――母親違いの妹。

 仲良し家族の中で、死んだ母親に似ている私だけが異質な存在となった。その為、妹と私とでは扱いが違う。

 居心地のいい住み慣れた部屋はやってきた妹に取り上げられて。

 家族と共に豪勢な食事を楽しむ妹と、移動させられた薄暗い新たな自分の部屋で、たった一人質素な食事を摂らされている私。

 栄養が足りていないため、周囲からは私の方が妹に見えていることだろう。食事以外の世話はしてもらえないので、使用人の中でもそう誤解をしている人がいるかもしれない。

 時が経ち身体が成長しても出される食事の量は変わらない。そのため私はいつもお腹が空いていた。けれど食事の量が足りないと文句を言えば何故か更に減らされるという事態に陥るので、こういう今日みたいな機会にがっつくしかない。

 実際、それで何とかなってきたのだから貴族の食事というのはよほど栄養価が高いのだろう。痩せていく自分とは逆に肥えていく私以外の家族を見ていればよく分かる。

 妹は年頃ということもあり、ダイエットとか言ってつまむ程度であとは残して体型を維持しているらしいが。

 そんな余裕がある生活が羨ましい。食事を残すくらいなら最初から私に分けてくれればいいのにと思う。言った所で望みは叶わないから言う気はないけれど。

 望みを言えば必ず逆方向へと事態が進んでしまうので余計なことは言わないに限る。




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