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6 いったい何が……
しおりを挟む昼間、私は妹が捨てた教科書を使って勉強をしている。
家の図書室は立派で様々な知識を得ることが出来るけれど、やはり学校の勉強はそれとは別だ。
私も妹のように学校に通ってみたかったが、貴族が通う学校は必要とされる教師の質や警備のこともあり、諸々の経費がかさむために学費が高い。父と義母は二人分の授業料を出したくないのか、私は学校に通わせてもらうことが出来なかった。
一応、政略の駒にするため、他家へ嫁ぐのに最低限必要なマナーやダンスの先生は来るが、私としてはやはり普通の勉強がしたかった。
その為、学年が上がり不要となって妹が捨てた教科書をこっそりと拾い、それを使って勉強をしていたのだ。
その日も私は洗濯などの用事を済ませると、図書室に隠していた妹の教科書を使って勉強をしていた。木を隠すなら森の中……と言うように、私は妹の教科書を図書室に隠しているのだ。
たとえ妹が一度捨てたものだとしても、私が持っているのがバレたら嫌がらせの為だけに取り上げられてしまう。
その点、ここならたくさんの本に紛れて隠せるし、そもそも妹は本を読むのが大嫌いなので図書室には近寄りもしない。なので、勉強をするのは図書室と決めていた。
私が勉強をしている間、黒猫の王子様は自由に過ごしている。
妹は学校だし、義母は買い物やお茶会に忙しい。父は邸内にいるものの、執務室に籠って夜まで仕事。用事が無ければ出てこない。
なので、忙しく働く使用人達に見つからないようにさえ気を付けてくれれば、邸の中を王子様が動き回っても問題はない。
実際、半年も経つ頃には王子様も慣れたもので、見つかりにくい独自のルートを見つけて邸中歩き回っていた。妹が隠していた0点のテストを盗ってきたこともあった。
日頃からそんな状態だったから油断してしまったのだと思う。
そろそろ干していた洗濯物を取り込もうと思い、いつも通り教科書を元の位置に隠して図書室を出ようとしたら学校に行っているはずの妹の声がした。
と、同時に開けたドアの隙間から王子様が飛び込んでくる。
「どうしたの? そんなに慌てて」
「にゃああ…」
抱き上げると王子様は怯えたように私にしがみついてくる。落ち着かせようと背中を撫でていると、バタバタと大きな足音と共に、包丁を持った妹が王子様の後を追うようにして図書室に飛び込んできた。
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