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7 守ってくれた王子様
しおりを挟む「待ちなさいよ、このクソ猫! よくもこの私を引っ掻いてくれたわね」
「え? 何で貴女がこんな時間に居るの? 学校は?」
「あっ、お、お姉様!? べ、別にそんなことどうでもいいでしょ! ちょっと……やる気が出なかったから早退しただけよ。それより、その猫あんたのだったのね!? 酷いわ! あんたがわざと私を引っ掻かせたんでしょ!」
「え? ひ…引っ掻かせた??」
妹の言葉に腕の中の王子様を見ると私にしがみついたままビクリと体を震わせた。どうやら心当たりがあるようだ。
「そうよ! 台所にキレイな猫がいたから捕まえようとしたら、手を引っ掻いて逃げたのよ! せっかくこの私が飼ってあげようと思ったのに、絶対許さないんだから!! ああ、そういえば最近やたら食材が減るってメイドが言っていたわ。きっとその猫が盗み食いしていたのね。まあ、いやだ! キレイだと思ったけど、とんだ泥棒猫じゃない! そういうことなら私が直接手を汚すまでもないわね。お父様に言ってその猫を殺してもらうわ」
「や……やめて! お願い」
「いやよ。ソイツに引っ掻かれたんだから。私のキレイな手に傷痕が残ったらどうしてくれるのよ。あームカつく! ……ああ、そうだ。いいこと思いついた。あんたも同じ目に遭わせてやるわ。ホラ、そのみっともないガサガサの手を出しなさいよ」
妹がニヤニヤとしながら私の手を掴み、持っている包丁を向けた途端。震えていた王子様が私の腕の中から飛び出し、妹の手に嚙みついた。
「きゃああああ!!!」
カランカラン……
妹は叫び声をあげると持っていた包丁を床に落とし、噛みつかれている右手を王子様ごとブンブンと振り回した。
振り払われた王子様は一瞬宙に浮いたものの、クルっと空中で回転して器用に床へと着地する。
そして私の前に立ち「フーッ! フーッ!」と、妹を威嚇した。
どうやら私を守ってくれているようだ。
「何するのよ! ううう…痛い痛い! どうしよう血が出ているわ!! 誰か! 誰か来てちょうだい! 誰でもいいから、そのクソ猫を今すぐ殺してっっ」
妹の声に続々と使用人が集まってくる。駆けつけたメイド達は妹の傷を見てオロオロとしているが、このまま騎士が駆けつけてきたら妹を傷つけた王子様が捕まってしまう。
王子様は包丁を向けられた私を守ってくれただけなのに。
私達がいる図書室は二階の端っこにある。窓はあるが、高さがあるのでソコから外には出られない。いつまでもこの場所に居たら逃げ場がなくなってしまう。一階へと降りるには中央にある階段を使うしかない。
「フーッ、フーッ…にゃんっ!?」
私はなおも威嚇を続ける王子様を抱き上げると、騒ぐ妹の横をすり抜けて中央の階段を駆け下り、そのまま玄関から黒猫を邸の外へと連れ出した。
そして。
「王子様、早く逃げなさい!」
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