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45 魔法医の獣人研究(ふわふわ耳視点)
しおりを挟む先生に初めてリュシーの治療を頼んだとき、貯め込んでいた自分のお小遣いから彼女の治療代を支払おうとしたのだけれど、『子供はそんなこと気にしなくていい』と言って、先生は受け取ってくれなかった。
そして。
『もし対価が気になるのなら、私は獣人について興味があるから色々な話を聞かせて欲しい』
――と、頼まれた。
もちろん、二つ返事でOKしたわ! 最初は治療の合間に少し聞かれる程度だったけれど、前世の記憶も総動員して何でも答えたし、何なら先生が食いつきそうな話題をこちらから提供したりもした。
例えば。
ウチの両親は番だけど不仲です……とか。
まあ、本当は秘密なんだけどね。両親も夜会なんかじゃ仲良しのフリをして取り繕っているし。でも、アレは見る人が見れば分かると思うの。先生もあの二人が番という事実には驚いていたけれど、両親が不仲なのについては何故か気が付いていたみたいだし。
それにしても、うちの両親は何でわざわざ嫌いな相手と一緒に居るのかしら。番とはいえ、双方が嫌がっているのなら協力して避ける道だってあったでしょうに。番の事実を隠すとか……。
それだけはいくら考えても分からない。
先生は予想通り私の提供する話題に食いついてくれた。その成果もあって、今では治療で顔を合わせるより病院の外で先生に会う機会の方が多くなっている。
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