14 / 40
第二章 初級講習
14 入手! レア素材
しおりを挟む
「さあ! 今日から新たな討伐ですよ」
いつも通り、魔法陣のある部屋でカードキー機能付きの会員証を指定の場所にかざすと、次の瞬間には異世界だった。
そして、活舌の良いインストラクターの声が響く。
急に開けた草原のような場所に飛ばされるのは相変わらず脳がついていかないが、そのうちゲームのように慣れるだろう。それはいいとして。
「前回までは『スライム』でしたが、今回からは『香車ウサギ』の討伐です。武器はこちらです」
異世界につくなりインストラクターから討伐対象についての説明を受けるが、イマイチ討伐相手の正体がつかめない。そして、渡された武器は前回と同じ軽めの剣だった。
「香車ウサギ……ですか?」
スライムは思ったよりはバカでかかったが、外見は割と想像通りだった。知能は想像以上に高かったが。
しかし、次はウサギと言われても、可愛い姿しか思い浮かばない。
「ええ。現地では串刺しラビットとも呼ばれていますね。その特徴として」
ぼよよんっ……!!
インストラクターの話が終わる前に、ポケットの中の200gが渾身の力で後ろへと跳ねた。
引っ張られる形でバランスを崩した俺はしりもちをつきながら重力のまま渡された剣を振って――。
カッコン☆
かすかな手ごたえを感じたと思ったら、虹色に輝く長いつららの様な何かが俺の目の前、さっきまで俺が立っていた場所へと転がった。そして、その横にはふわっふわの可愛いウサギが倒れている。
ウサギはハッと気が付くと俺を見た。そして、大きな目をウルウルとさせながら震えている。
えっ! なにコレ。
「えっ、ちょ……! まさか、生きている香車ウサギの角を折ったんですか!? 見つかったら最後、串刺し確定って言われている現地でも恐れられている超高速モンスターなのに!!??」
「超高速……!? 串刺しって……! 名前より先にそっちを教えてくださいよ!!」
やべえ、200gが避けてくれなかったら俺、直撃コースだった!!
「ああ、いやそんなことよりも!!」
「ちょっ、そんなことよりって!!!」
俺の生死がかかっているんですが!?
「太田様、コレは超、超レアアイテムですっ。しかし、時間と共にコレの商品価値は下がります。そして、消えます。そこで提案です。僕がひとっ走り商業ギルドまで納品してきますので、売り上げ山分けしませんか!?」
「!!! お任せします」
よく分からんが、ここはプロに任せた方がよさそうだ。買ってくれる場所なんて知らんし。ってか、倒した後の素材って売れるのか。後でインストラクターに詳しく聞いてみよう。
「ではっ!」
虹色の角を拾い、リレーのバトンのように手に持ったまま、すごい速さで駆けていくインストラクター。
おお、流石に速い。
……って、えっ? 待って、このまま置き去り!?
俺は慌てて後ろから声をかけた。
「――あのっ! 俺はどうすればっ!??」
「そいつのとどめを刺して待っていてください! 大丈夫! 角を失った香車ウサギはただの動きの遅い、寂しがり屋のウサギです!!」
……とか、言われても。
ぷるぷるぷるぷる……。
「なあ、お前さ」
びくっ!!
ぷるぷるぷるぷる……。
うるうるうるうる……。
――いや、いや、いや、いや、無理だろ、コレ。
震えてるし何か動きトロイし、目はウルウルだし。こんなの倒すとかできねえよ。
むしろ相手の防御力が爆上がりしているんですが!!
可愛いは正義ってホントだな。
俺、悪です。無理です。殺せません。
しかし、どうしよう。インストラクターが戻ってきたら、絶対倒せって言われるよな。そして、俺もノリで倒しちゃうよな。駄目だ、そんなことをしたら絶対、夢に見る。
とはいえ、相手は弱ってて自力で動けそうもないし。
手負いで弱ったその姿は、俺についてきちゃったばかりの頃の200gを思わせる。ああ、そういやあのときはたこ焼きを食わせたらやたらと元気になったんだっけ。
コイツも何か食わせたら少しは元気になるだろうか?
「食べ物、食べ物……」
ゴソゴソと。ポケットを探れば出てきたのはプロテインバー(人参味)。
あ、これ試供品でもらったやつだ。人参味だしいけるかな?
いつも通り、魔法陣のある部屋でカードキー機能付きの会員証を指定の場所にかざすと、次の瞬間には異世界だった。
そして、活舌の良いインストラクターの声が響く。
急に開けた草原のような場所に飛ばされるのは相変わらず脳がついていかないが、そのうちゲームのように慣れるだろう。それはいいとして。
「前回までは『スライム』でしたが、今回からは『香車ウサギ』の討伐です。武器はこちらです」
異世界につくなりインストラクターから討伐対象についての説明を受けるが、イマイチ討伐相手の正体がつかめない。そして、渡された武器は前回と同じ軽めの剣だった。
「香車ウサギ……ですか?」
スライムは思ったよりはバカでかかったが、外見は割と想像通りだった。知能は想像以上に高かったが。
しかし、次はウサギと言われても、可愛い姿しか思い浮かばない。
「ええ。現地では串刺しラビットとも呼ばれていますね。その特徴として」
ぼよよんっ……!!
インストラクターの話が終わる前に、ポケットの中の200gが渾身の力で後ろへと跳ねた。
引っ張られる形でバランスを崩した俺はしりもちをつきながら重力のまま渡された剣を振って――。
カッコン☆
かすかな手ごたえを感じたと思ったら、虹色に輝く長いつららの様な何かが俺の目の前、さっきまで俺が立っていた場所へと転がった。そして、その横にはふわっふわの可愛いウサギが倒れている。
ウサギはハッと気が付くと俺を見た。そして、大きな目をウルウルとさせながら震えている。
えっ! なにコレ。
「えっ、ちょ……! まさか、生きている香車ウサギの角を折ったんですか!? 見つかったら最後、串刺し確定って言われている現地でも恐れられている超高速モンスターなのに!!??」
「超高速……!? 串刺しって……! 名前より先にそっちを教えてくださいよ!!」
やべえ、200gが避けてくれなかったら俺、直撃コースだった!!
「ああ、いやそんなことよりも!!」
「ちょっ、そんなことよりって!!!」
俺の生死がかかっているんですが!?
「太田様、コレは超、超レアアイテムですっ。しかし、時間と共にコレの商品価値は下がります。そして、消えます。そこで提案です。僕がひとっ走り商業ギルドまで納品してきますので、売り上げ山分けしませんか!?」
「!!! お任せします」
よく分からんが、ここはプロに任せた方がよさそうだ。買ってくれる場所なんて知らんし。ってか、倒した後の素材って売れるのか。後でインストラクターに詳しく聞いてみよう。
「ではっ!」
虹色の角を拾い、リレーのバトンのように手に持ったまま、すごい速さで駆けていくインストラクター。
おお、流石に速い。
……って、えっ? 待って、このまま置き去り!?
俺は慌てて後ろから声をかけた。
「――あのっ! 俺はどうすればっ!??」
「そいつのとどめを刺して待っていてください! 大丈夫! 角を失った香車ウサギはただの動きの遅い、寂しがり屋のウサギです!!」
……とか、言われても。
ぷるぷるぷるぷる……。
「なあ、お前さ」
びくっ!!
ぷるぷるぷるぷる……。
うるうるうるうる……。
――いや、いや、いや、いや、無理だろ、コレ。
震えてるし何か動きトロイし、目はウルウルだし。こんなの倒すとかできねえよ。
むしろ相手の防御力が爆上がりしているんですが!!
可愛いは正義ってホントだな。
俺、悪です。無理です。殺せません。
しかし、どうしよう。インストラクターが戻ってきたら、絶対倒せって言われるよな。そして、俺もノリで倒しちゃうよな。駄目だ、そんなことをしたら絶対、夢に見る。
とはいえ、相手は弱ってて自力で動けそうもないし。
手負いで弱ったその姿は、俺についてきちゃったばかりの頃の200gを思わせる。ああ、そういやあのときはたこ焼きを食わせたらやたらと元気になったんだっけ。
コイツも何か食わせたら少しは元気になるだろうか?
「食べ物、食べ物……」
ゴソゴソと。ポケットを探れば出てきたのはプロテインバー(人参味)。
あ、これ試供品でもらったやつだ。人参味だしいけるかな?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる