【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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4 皇帝の番

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 女は人間が統治する小国に住む、兎獣人と人間のハーフだった。小国は人間国と獣人国の中間地点に位置しており、国民は人間の方が多いが、獣人もおり、女のようなハーフも一定数いる。

 純粋な人間ならば誰かの番であっても番の気配を感じ取ることは出来ない筈だが、番を騙った女は半獣人。ならばそうそういうこともあるだろうと、大騒ぎになった。

 何より皇后ヴィクトリアが皇帝の子を妊娠中の為、その公務に同行していなかったのが致命的だった。誰よりも歯止めとなるお目付け役がいなかったのだ。


 そして――ロイエは過ちを犯した。


 女と関係を持ってドラゴディス帝国へと連れ帰り、女の欲望の全てを叶え、相手に言われるがまま口うるさい皇后を離宮へと追いやった。

 あまり育ちの良くなかったロイエの自称番は毎日のように皇帝にドレスや宝石を強請り、自らの為の宮殿を次々と建設させるなど贅沢三昧。

 当然国庫は枯渇し税金はどんどん上がり、最後まで皇帝に苦言を呈していた皇后ヴィクトリアがついに謀殺されたと知った帝国民は皆嘆き悲しんだ。

 そして、死んだと思われていた皇后ヴィクトリアが実は助け出されて生きていたと知った時は歓喜した。

 どうやら、皇帝は怪しげな術で惑わされていたらしい。生き残った皇后の尽力により間違いは正され、賢妃と共に賢帝と呼ばれていた頃のロイエも戻ってきた。

 自称番は自らの置かれた状況が悪くなると見るや姿をくらませたが、数年かかってようやく帝国は以前の落ち着きを取り戻した。

 番と出会い暴走した竜人を諫めることは難しい。ましてや、ロイエは獣人の中でも最強種族と名高い竜人の中にあって、その誰よりも強いとされる皇帝だ。

 だからこそ暴走した皇帝の正気を取り戻させて、ドラゴディス帝国復活の象徴となった皇后ヴィクトリアこそ真の『皇帝の運命の番』であったのだろう――と、人々は噂した。




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