滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
356 / 744
3:ダンジョンクローラーになろう

356:龍脈の回廊、二つの巨影

しおりを挟む
 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
 地中ちちゅうから飛びだす巨大きょだいかげ

 それは天高てんたかく舞いあがり――ぶわさささぁぁぁぁっ♪
 弧をえがくようにつばさをひろげた。
 かたちはまるで、アルファベットの『Q』のよう。

「こんどは――とりかっ!」
 安物やすもの聖剣せいけんの、つかさやをつかむ青年せいねん
 このけんはいつも錆び付いていて、ちからを込めないと抜刀ばっとうできない。

 かれ上空じょうくうやく50メートル。
 たかさにして、かれもといた世界せかい女神像全長めがみぞうぜんちょうほど。
 羽ばたきもせず、まるで無人飛行機ドローンのようにただよ巨獣きょじゅうが――

 クッケェェェェェェェェェェェェェェェェッツツツツツツ――――!!
 びりびりびりびりびりっ――――あまりの鳴きごえおおきさに、たおれる青年せいねん

「ぐっ――たまたま耳栓みみせんしてなかったら、気絶きぜつしてたかも知れない」
 上空じょうくうてきにらみつけるかれの――勇者の歩みブレイブ・ステップ
 神速しんそくほこるそのスキルには――加速・・するための直線・・必要ひつようになる。
 てき間合まあいまでとど足場あしばは、空中くうちゅうにはない。

「いや――――あるっ!」

 いろいろあってながれ着いた、ガムランちょう
 魔物境界線さいぜんせんでスーパールーキーと持てはやされつつもいままで、その実力じつりょく一端いったんすら披露ひろうすることがなかった。

 いまかれ視線しせんさきにあるのは――巨大な鳥おおぞらへのパスポート。
「うにゃみゃぎゃにゃぁ――!?」
 掘り当てたとりに、吹きとばされたらしい黄緑色きみどりいろだ。

 フッ――青年せいねん姿すがたが、消失しょうしつする。
 抜刀ばっとうから納刀のうとうまでのあいだがない、その神速しんそく
 大地だいちを蹴り――
 猫の魔物おにぎりを蹴り――
 垂直すいちょくに――加速かそくする!

「ッチィィィィィィィィィィェェェェェェエエエエエエエエエエェェェェえぇぇぇぇっぃぃぃぃいぃいいぃぃぃぃぃいっっぃぃいいぃぃいいいぃィィィ――――――――――――!!!」

 ザギィィィィィィィィィィィィン――――♪
 鳥の首てき寸断すんだんする、安物やすもの鍵剣セキュアせいけん

 すさまじかった気迫きはくはんし、巨鳥きょちょうは血の一滴いってきも吹き出さず、落ちていく。
 討伐戦とうばつせんは、あっけない幕引まくひきとなった。

「あれ? 斬れちゃった! まあ変異種バリアントって言っても、おおきいだけの動物どうぶつだもんなぁ――」
 かれほふったのは、かりにも変異種バリアントである。
 この台詞せりふを、彼のおもびとに聞かれなかったのは、僥倖ぎょうこうと言えよう。

 空中くうちゅうけんおさめ、姿勢しせいをととのえる青年せいねん
 かりにも勇者として召喚された・・・・・・・・・・かれには、造作ぞうさもないことではある。

 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
 爆発ばくはつする、地面じめんに開いたあな

 ぼごごごごがっがががぁっぁあっぁぁあぁぁん!
「えぇー、さっきおにぎりがためし掘りした――――!」
 どうやら、とりが出たのは三つ目のあなで――
 そのひとつ目、ふたつ目にも――

 モ゛ッゥゥゥゥモ゛ォォォォォォォォッォォォォォ――――――!
 ブヒゥブヒィィィィィィィィィィィィィィィッィィ――――――!

 次々つぎつぎ地中ちちゅうから飛びだすのは――巨大きょだいなだけの動物どうぶつだった。

「ふぎゃみゃにゃ、ごぉごごぉぉぉーーーー♪」
 青年ニゲルに蹴られた猫の魔物きみどりいろが、嬉々ききとして――したを向いてクロール。
 それは次々つぎつぎ出現しゅつげんする追加ついかの〝巨大動物バリアント〟を、掘り当てる気満々・・・・・・・・な――その姿勢クロール

「ちょっとまっておにぎり! ストップ! やめて、ほんとやめてぇーーーー!?」
 青年せいねんさけびが聞こえたのか、魔物おにぎりはくるくるくるるるん♪
 地中ちちゅうへダイブするのを止め、ぽっきゅりぃーん♪
 と地上ちじょうへ降り立った。

 モ゛ッゥゥゥゥモ゛ォォォォォォォォッォォォォォ――――――!
 ブヒゥブヒィィィィィィィィィィィィィィィッィィ――――――!

「むあにゃみゃにゃ、みゃんにゃみゃん♪」
 ふぉふぉん♪
『おにぎり>どちらも突進系だもの、チョロいんだもの♪』

 そう言って、あわてた様子ようす青年ニゲルに駆けよる猫の魔物おにぎり

「どうチョロいのかわからな――ぽぎゅごかん♪」
 もとスーパールーキーは着地ちゃくちするなり、魔物きみどりいろ蹴り返された・・・・・・

「――――かめとりうしいのししぃ、ぜぇーんぶ食べられるヤツ、ばっかりだよねぇー!」
 そんななげきが、ふかもり木霊こだました。

   §

 つきひかり蕩蕩とうとうと、あたりを菫色すみれいろで満たしていく。
 化け猫おれこしを落とし――得物えものにしてはやたらと太短ふとみじかい、巻物まきもの水平すいへいかまえた。

   §

「はっ!? いまなにか! たしかに、なにかおいしそうな気配けはいがぁ
 なにもない明後日あさって方向ほうこうを見つめ――じゅるりと口元くちもとをぬぐう御神体イオノファラー

「どうシタ? イオノファラー
 試食代ししょくがわりの昼食ちゅうしょくも済み、ふたたび活気かっきを取りもどす諸々会会場ペントハウス

低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ低警戒度ていけいかいどのバリアントを検出けんしゅつ。ただちに調査ちょうさならびに迎撃行動げいげきこうどうを――――♪」
 それは、最上階ペントハウスとどろ大音量だいおんりょう――――ピタリ。

 飛んできたリカルルが――暖炉だんろうえ調度品ダイヤルに、手を伸ばしたとき。
 けたたましいこえが止んだ。

 怪訝けげんかお令嬢れいじょうと――なにかを察知さっちした御神体ごしんたい視線しせん交差こうさする。

検出けんしゅつされた低警戒度ていけいかいどのバリアント反応はんのう消失しょうしつしました。検出けんしゅつされた低警戒度ていけいかいどのバリアント反応はんのう消失しょうしつしました。該当領域がいとうりょういき管理者かんりしゃは、すみやかに関係各所かんけいかくしょへレポートを提出ていしゅつしてください」
 察知さっちされた変異種バリアント反応はんのうが、消失しょうしつしたことを知らせる――けたたましいこえ

 ちかくに居たリカルルが――「ぎゃひぃん♪」といななく。

「なんだいなんだい!? ……もう終わりかい?」
 木さじを手に駆けつけた、前掛け姿エプロンすがた女将おかみ

「どうやらそのようですわ、くすくす♪ ニゲルさんは本当ほんとう優秀ゆうしゅうです――ニャン
 しゃらあしゃらときんかみをなびかせ、猫耳ねこみみメイド・カヤノヒメもやってきた。

「いいえっ、まだニゲルと決まったわけでは、無くってよ!?」
 どうしても、かれけんうでみとめたくない令嬢リカルルが、おに形相ぎょうそうで――

 青板スマホをとりだし、通話つうわアプリをタップした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...