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4:龍撃の学院
428:詠唱魔法具と拠点、満員御礼まじんの再来ふたたび
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『<<◇>>』
何かが居るって証拠が、ばらけていく。
『□』アイコンが、『◇』にもどり――
ふぉふぉふぉん♪
『>ガイダンスシーケンス>ロックオンして下さい』
なんだぜ!?
砕かれた虚ろなものどもが、散り散りに落ちてくる。
ふぉふぉん♪
『ヒント>見えない物を斬り、斬れない物を見て下さい』
「(その禅問答から、またやらせるのか!?)」
ふぉん♪
『シガミー>色は空と異ならず、空も色と異ならず。』
実体はなく、不変もない。それだけだ。
がしり――んぅ?
何かに、しがみつかれる。
右手には、リオレイニア(生者)。
左手にも、リオレイニア(虚ろ)。
あと鳥とか魚。
ふぉふぉふぉん♪
『解析指南>龍脈言語による直接的な、物理演算の痕跡を記録しました』
おう、ふざけんな。言葉の意味だけなら、おれにもわかるぞ!
実理と縁起の改竄――そりゃ五百乃大角と星神より、根源に至る。
「(世界へ通告する、一切の暗闇を捨てよ。輝け――)」
言ってることはわかる。
どこまでも伸びていく、光のトゲ。
その中に入っちまえば、どうという事は無く。
「おぼおおぉぉおぼおぼおおごえっげげgぇえ――――――――」
トゲの中を昇っていく、虚ろなリオレイニア一式。
おまえ、こらっ――なにを幸せそうに成仏してんだぁ!
そいつぁ、いただけねぇ。
迅雷を突き立てた周囲を少しだけ削って、終わっちまったことになる。
おれの前世の殆どをつぎ込んだ、〝七天抜刀根術免許皆伝〟スキルが――不発だとぉ!?
「はくちゅん……!?」「はくちゅ♪」
眩しかったのか、どっかで誰かが――くしゃみをしてやがるぜ。
おれも、そろそろ目を開けていられねぇ。
盾代わりにしてた丸盆を、小脇に抱え――
靴先で何かを蹴り飛ばす、仮面女。
あの仮面、暗視だけじゃなくて、遮光も出来るのか!
「ふぅーふふうふっ――――♪」
どこからか、そんな不気味な声が聞こ――ガチン♪
いま正に成仏寸前だった、薄衣のリオレイニア(虚ろ)が――
霧散した。
彼女が手にしているのは、橙色の革袋か?
中の構造が、どういう仕組みなのかはわからないが――
完全におれたちは、制圧されたことになる。
光に包まれていく、ドーム状の空間。
おれは光源と化す相棒から、顔をそらす。
地面を踏む靴底に、変わりは無ぇ。
七の型が――止まっちまった。
やい、美の権化さまよぉう?
その額には、紫色の布が鉢巻きみてぇに巻かれてる。
スッゲー、似合ってやがるなぁ。
なんかなぁ。カチンときたんだよ。
人との縁起は、大抵そんなモンだ。
ましてやおれぁ――
戦と聞きゃぁ、先陣を切り――
酒に女に博打三昧――
糊口しのぎに小商い――
後の世じゃきっと、破戒僧猪蟹なんて呼ばれてんだろうぜ。
「……滅せよ!」
その一言は結果としちゃ、最大の効果をもたらすことになった。
§
地中深くから放たれた超広域結界。
それは三日三晩、央都を照らし続けた。
術者がいようがいまいが、寝てようが起きてようが――
ガムラン町に避難してみても、変わらず――ピッカピカ。
「(その鉢巻きの多重詠唱による魔術効果は、術者間においても加味されるようです」
とは広域結界の触媒となった、迅雷の弁だ。
それは一週間程度の睡眠不足を、誘発したが――
突発的に発生していた央都外縁部における、魔物の発生を完全に封じ込めた。
「龍脈に発生していた、小さな綻びが解消されましたわ、くすくす♪」
とは星神茅の姫の弁。
計らずもレイド村の一件以来、央都住民を悩ませていた案件を解決することとなったようで……。
この出来事は新発売の詠唱魔法具の、売り上げにも大きく貢献した。
最後まで彼女は抵抗したが――
「「央都の人々に事の顛末を知らせ、なおかつ事を納めるのに、これ以上の方法がお有りですか?」――ららぁん?」
という学院長と王女殿下の言葉に――しぶしぶ陥落した。
絵の柄は、迅雷の映像記録から切り抜いたものを元に――
五百乃大角が、うまいこと合成した。
光り輝くメイドさんが、無数の魔法杖を手に持つ、神々しい姿。
仮面はなく、「このお美しさは美の女神さまの、生まれ変わりではないか?」などと――まことしやかに語り継がれることとなる。
§
「うふふ、猪蟹屋四号店(仮)に、最適なのではありませんか?」
ここは、おれが央都に来た日に、よじ登った城壁の近く。
ゴーレムが、突き刺さったままの屋根。
そう、おれが叩き落としたゴーレムだ。
壁を徘徊できるよう軽い構造だったことが、幸いした。
どうせこの辺は、日当たりが良くなくて誰も寄りつかないらしいが。
「ふぅ――対魔王結界への階段と、ギルド支部出張所の台座を繋いだニャァ♪」
よしよし。ギ術部顧問さまも、せいぜい扱き使われとけやぁ。
ぽこ――こぉん♪
「それで、ここは何揚げ物屋さんに、なるのぉん♪」
おれは頭の上に顕現した、女神御神体を――がっちゃり♪
カウンター横の柱に取り付けた、『ギルド支部臨時出張所』の〝台座〟とやらに乗せた。
「ぷるるルるぷるるルる――――こチら女神像#10286デす。ゴ用件ヲどうぞ♪」
なんでも、廃棄女神像の出物を探していたら、型落ちの台座だけが見つかったらしくてソレを――今回の件の詫びとして持ってきたのだ。
「ふむ、白目をむいてて、ちぃと気色悪ぃがぁ使えそうだなぁ♪」
使い方は、学院の出張所のおっさんにでも聞きゃぁいいだ――――
「――シガミー? 手が止まっていますよ?」
いま彼女の顔に、仮面はない。
その美しさを軽減させるだけならば――
やや暗めの耐魔王レンズ(新開発)を入れた眼鏡ひとつで、事足りるからだ。
「へい、よろこぉんでぇー! そこぉ、ちょっくら御免なすってよぉ♪」
おれと迅雷は人をかき分け、大慌てで屋根に登る。
なんせ今日中にゴーレムを退かして、屋根を修理して――
明日から再開される初等魔導学院に、備えなけりゃならねぇ。
いそがしい、いそがしい!
何かが居るって証拠が、ばらけていく。
『□』アイコンが、『◇』にもどり――
ふぉふぉふぉん♪
『>ガイダンスシーケンス>ロックオンして下さい』
なんだぜ!?
砕かれた虚ろなものどもが、散り散りに落ちてくる。
ふぉふぉん♪
『ヒント>見えない物を斬り、斬れない物を見て下さい』
「(その禅問答から、またやらせるのか!?)」
ふぉん♪
『シガミー>色は空と異ならず、空も色と異ならず。』
実体はなく、不変もない。それだけだ。
がしり――んぅ?
何かに、しがみつかれる。
右手には、リオレイニア(生者)。
左手にも、リオレイニア(虚ろ)。
あと鳥とか魚。
ふぉふぉふぉん♪
『解析指南>龍脈言語による直接的な、物理演算の痕跡を記録しました』
おう、ふざけんな。言葉の意味だけなら、おれにもわかるぞ!
実理と縁起の改竄――そりゃ五百乃大角と星神より、根源に至る。
「(世界へ通告する、一切の暗闇を捨てよ。輝け――)」
言ってることはわかる。
どこまでも伸びていく、光のトゲ。
その中に入っちまえば、どうという事は無く。
「おぼおおぉぉおぼおぼおおごえっげげgぇえ――――――――」
トゲの中を昇っていく、虚ろなリオレイニア一式。
おまえ、こらっ――なにを幸せそうに成仏してんだぁ!
そいつぁ、いただけねぇ。
迅雷を突き立てた周囲を少しだけ削って、終わっちまったことになる。
おれの前世の殆どをつぎ込んだ、〝七天抜刀根術免許皆伝〟スキルが――不発だとぉ!?
「はくちゅん……!?」「はくちゅ♪」
眩しかったのか、どっかで誰かが――くしゃみをしてやがるぜ。
おれも、そろそろ目を開けていられねぇ。
盾代わりにしてた丸盆を、小脇に抱え――
靴先で何かを蹴り飛ばす、仮面女。
あの仮面、暗視だけじゃなくて、遮光も出来るのか!
「ふぅーふふうふっ――――♪」
どこからか、そんな不気味な声が聞こ――ガチン♪
いま正に成仏寸前だった、薄衣のリオレイニア(虚ろ)が――
霧散した。
彼女が手にしているのは、橙色の革袋か?
中の構造が、どういう仕組みなのかはわからないが――
完全におれたちは、制圧されたことになる。
光に包まれていく、ドーム状の空間。
おれは光源と化す相棒から、顔をそらす。
地面を踏む靴底に、変わりは無ぇ。
七の型が――止まっちまった。
やい、美の権化さまよぉう?
その額には、紫色の布が鉢巻きみてぇに巻かれてる。
スッゲー、似合ってやがるなぁ。
なんかなぁ。カチンときたんだよ。
人との縁起は、大抵そんなモンだ。
ましてやおれぁ――
戦と聞きゃぁ、先陣を切り――
酒に女に博打三昧――
糊口しのぎに小商い――
後の世じゃきっと、破戒僧猪蟹なんて呼ばれてんだろうぜ。
「……滅せよ!」
その一言は結果としちゃ、最大の効果をもたらすことになった。
§
地中深くから放たれた超広域結界。
それは三日三晩、央都を照らし続けた。
術者がいようがいまいが、寝てようが起きてようが――
ガムラン町に避難してみても、変わらず――ピッカピカ。
「(その鉢巻きの多重詠唱による魔術効果は、術者間においても加味されるようです」
とは広域結界の触媒となった、迅雷の弁だ。
それは一週間程度の睡眠不足を、誘発したが――
突発的に発生していた央都外縁部における、魔物の発生を完全に封じ込めた。
「龍脈に発生していた、小さな綻びが解消されましたわ、くすくす♪」
とは星神茅の姫の弁。
計らずもレイド村の一件以来、央都住民を悩ませていた案件を解決することとなったようで……。
この出来事は新発売の詠唱魔法具の、売り上げにも大きく貢献した。
最後まで彼女は抵抗したが――
「「央都の人々に事の顛末を知らせ、なおかつ事を納めるのに、これ以上の方法がお有りですか?」――ららぁん?」
という学院長と王女殿下の言葉に――しぶしぶ陥落した。
絵の柄は、迅雷の映像記録から切り抜いたものを元に――
五百乃大角が、うまいこと合成した。
光り輝くメイドさんが、無数の魔法杖を手に持つ、神々しい姿。
仮面はなく、「このお美しさは美の女神さまの、生まれ変わりではないか?」などと――まことしやかに語り継がれることとなる。
§
「うふふ、猪蟹屋四号店(仮)に、最適なのではありませんか?」
ここは、おれが央都に来た日に、よじ登った城壁の近く。
ゴーレムが、突き刺さったままの屋根。
そう、おれが叩き落としたゴーレムだ。
壁を徘徊できるよう軽い構造だったことが、幸いした。
どうせこの辺は、日当たりが良くなくて誰も寄りつかないらしいが。
「ふぅ――対魔王結界への階段と、ギルド支部出張所の台座を繋いだニャァ♪」
よしよし。ギ術部顧問さまも、せいぜい扱き使われとけやぁ。
ぽこ――こぉん♪
「それで、ここは何揚げ物屋さんに、なるのぉん♪」
おれは頭の上に顕現した、女神御神体を――がっちゃり♪
カウンター横の柱に取り付けた、『ギルド支部臨時出張所』の〝台座〟とやらに乗せた。
「ぷるるルるぷるるルる――――こチら女神像#10286デす。ゴ用件ヲどうぞ♪」
なんでも、廃棄女神像の出物を探していたら、型落ちの台座だけが見つかったらしくてソレを――今回の件の詫びとして持ってきたのだ。
「ふむ、白目をむいてて、ちぃと気色悪ぃがぁ使えそうだなぁ♪」
使い方は、学院の出張所のおっさんにでも聞きゃぁいいだ――――
「――シガミー? 手が止まっていますよ?」
いま彼女の顔に、仮面はない。
その美しさを軽減させるだけならば――
やや暗めの耐魔王レンズ(新開発)を入れた眼鏡ひとつで、事足りるからだ。
「へい、よろこぉんでぇー! そこぉ、ちょっくら御免なすってよぉ♪」
おれと迅雷は人をかき分け、大慌てで屋根に登る。
なんせ今日中にゴーレムを退かして、屋根を修理して――
明日から再開される初等魔導学院に、備えなけりゃならねぇ。
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