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4:龍撃の学院
479:大陸間弾道卵の謎、爆砕ボルトと水面
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「やい! そもそも、この木はどっから来て、生えやがったんだぜっ――ニャァ!?」
轟雷が10人居ても、手が回らねぇほどの巨木。
そんなもんが深夜から今にかけて、十数時間の間に生えたことになる。
ルリーロの話じゃ、夜中にすっ飛んできたとき――
ネネルド村に、変わったところはなかったらしい。
夜目が利く妖狐に、見間違えはねぇ。
ギュギガチャッ――ギュギギギッゥン♪
おれは馬車を、ぶん投げた姿勢のまま――
頭まで埋まっちまってる。
かろうじて頭の太角が、木の幹から覗いてるから――
ふぉん♪
『ゴウライ>やい、女神さまよ』
ふぉん♪
『イオノ>なぁにぃー、シガミー?』
こうして女神像通信を介して、一行表示で会話が出来るが。
ふぉん♪
『ゴウライ>みんなは無事か?』
ふぉふぉん♪
『イオノ>大丈夫よ。あたくしさまの華麗な操縦で、無事着水しました♪』
ヴュパァァッ♪
おれが放り投げたあとの、馬車の軌道が表示された。
巨木をぐるっと一回りし、高度を急激におとした馬車が見事、湖らしきところへ着水してる。
馬車は兎に角、頑丈に作ったが、細かい所は人任せにしたから――
まさか空を飛ぶ機能なんかが、搭載されていたとは思いも寄らなかった。
フワフワモコモコ嬢……女史には、帰ったら猪蟹屋の饅頭をくれてやるか。
ひとまずは、助かったぜ。
「(ルリーロとゲイルは?)」
ふぉん♪
『>そちらも制動を終了してい』
どうした、迅雷?
ヴォォン。
『<神力低下――スリープモードへ移行します>』
一行表示とは別の、ダイアログ表示。
神力がなくなったか――おれも背中の大筒に、粗方食わせちまったが。
それでも超特大神力棒に、まだ10%ほど残ってる。
「ええと、迅雷が使えんと面倒だし――食わせてやらんと」
あれ、でも迅雷は予備の神力棒の作り置きが、700本有るとか自慢してたよな?
おれは収納魔法具の中を検索する。
ふぉん♪
『神力棒【レア1】
750個/使用可能:0個』
はぁ? ちゃんとあるじゃねーか。
くっ――眼力を込めてアイコンを、よく見た。
ふぉん♪
『神力棒【レア1】
750個/うち使用可能:0個』
なんだと? 使える棒は一個もねーのか?
どうも、無理がたたったのか――調子が悪ぃみてぇだぜ。
ヴォォン。
『神力低下――スリープモードへ移行します』
一行表示とは別の、ダイアログ表示。
そりゃさっき見ただろうが――ぷすん。
ヒュヒュゥゥゥゥンッ――ガッキュゥ、ガシャッ!
轟雷の四肢へ伝達されていた、神力による駆動力がカットされた。
画面に映し出されていた鉄鎧の絵が、赤く点滅しだす。
駆動系に続き、腹の『凹』までもが止まるぞ――
この停止を告げるダイアログは、轟雷のかぁ――!?
轟雷の力の源であるストラクチャル・ジェネレーター/【龍脈言語/DCコンバータ】が、停止したことを告げているらしい。
ちなみに、この『凹』は轟雷の心の臓であると同時に――
星神茅の姫が持つ力の、全てでもある。
神ではないおれには、もう使いこなせねぇがな。
ブツンブツンブツツン――プスン♪
外部温度に、凹稼働効率に、神力への変換効率に、体内循環温度に、冷却効率。
演算稼働率に、姿勢制御状態から各部稼働率ならびに、各種充填状態の全計器類が――
ブツリと消え、おれは暗闇に取り残された。
「温泉入浴背面外部神源固定爆砕ボルト爆破ぁ――ニャァ!」
バッガァァンッ!
空になった神力棒を、切り離し――
「温泉入浴八町分っ――ニャァ♪」
ぷぴぽぽーん♪
「ハッチ開放します、ハッチ開放します」
五百乃大角の声だ。
バッシャ――ガシャガシャガシャ!
背中から開く――おれの鉄鎧の体。
ぽっきゅむごつんっ――――♪
勢いあまってうしろ猫頭をぶつけたが、まるで痛くねぇ。
ヴュパパパパパッ♪
強化服の画面が再起動、辺りの様子が見えるようになった。
ぽぎゅむ――むぎゅぎゅ、んぎぎっぎっ!
10号改はどうにかこうにか、埋まった轟雷の隙間から――
すっぽぉぉぉぉぉん♪
はぁはぁ、抜け出せたぜ。
動かなくなった轟雷を――格納した。
そして、10号改の首へ手を突っ込んで、迅雷を引っこ抜く。
機械腕をだらしなく伸ばした独古杵は、やっぱりウンともスンとも言いやがらねぇ。
ヴッ――ぽこん♪
おれの収納魔法具から神力棒を取りだして、繋いでやると――
独古杵が、小さな光を灯した。
よしこれで、しばらく放っときゃ迅雷が復旧するぞ。
強化服の毛皮を引っぱって、補助腕に持たせておく。
いつだかはこれで背中に、某伯爵ご令嬢を貼りつけたりしたな。
轟雷の手甲から出る鋏もだが――腕が沢山有るのは便利で良い。
それにしてもだ――強化服は轟雷が開けた大穴を、振りかえった。
轟雷の体がなくなった場所が、ぼっかりと隙間を空けている。
もうこれ、物置小屋の方のシガミー邸なら6軒分くらい有るだろ。
おれが六人も、住めるぜ。
「じゃぁ行くか♪」
大穴から木の幹がわへ、ピョンと飛び移る。
あ、いけねぇや!
強化服の夏毛の足裏じゃ、壁に貼りつけねぇんだったぜ!
つるん――ぽきゅごろろっ♪
「女神像とのリンクガ再接続されマした。AOS復旧シマス」
ふぉん♪
『>水面まで約150メートル。衝撃に備えてください』
迅雷が、復旧した。
いや、水の上なら落ちても平気だろ。
ついさっき巨木にぶつかった勢いを考えたら、屁でもねぇやな――カカカッ♪
§
ぱぁぁぁぁっ――緑色の光の泡に包まれる。
おれは水面に叩きつけられ、手ひどい傷を負った。
無敵の強化服を、着ていたにもかかわらずだ。
蘇生薬がいつぞやみたいに効かなかったら、死んでいたかもしれん。
ごぽぽこぴゅぎゅりゅぎゅっごぼがぼごぉぉぉぉ――――♪
「ん? 何の音だ?」
えらい勢いで落ちた水の中。
辺りは明るく、
う゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅぎゅむむむっ――――――――♪
水底から轟く、うるせぇ音。
あ、そうだったぜ、強化服は水に沈まないんだった。
ぼぎゅぼこぴゅぅーん♪
凄まじい勢いで突き上げられ、目が眩む。
「シガミーちゃぁぁん! つかまってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――!」
天高くへ舞いもどったおれに、舌っ足らずな声が掛けられた。
ぶぉん、ガチャラララッ!
目のまえに垂らされたのは、太鎖。
それは強化服の大きさには、すこし太すぎだったけど――
極所作業用汎用強化服を着ていても、限界を超えた高さから落ちりゃ、大けがをするのだと知った。
また落ちたら、また蘇生薬が要る。
手持ちの在庫は――3本しか残ってねぇ。
ぽむぎゅっ――♪
おれは両手足を使って、必死にしがみ付いた。
ーーー
爆砕ボルト/爆破されることで固定していた部品や構造を分離できる。航空機のキャノピーや多段ロケットの切り離しなどにも使用される。構造を自壊するために使用される場合、俗に言う自爆装置と同義。
轟雷が10人居ても、手が回らねぇほどの巨木。
そんなもんが深夜から今にかけて、十数時間の間に生えたことになる。
ルリーロの話じゃ、夜中にすっ飛んできたとき――
ネネルド村に、変わったところはなかったらしい。
夜目が利く妖狐に、見間違えはねぇ。
ギュギガチャッ――ギュギギギッゥン♪
おれは馬車を、ぶん投げた姿勢のまま――
頭まで埋まっちまってる。
かろうじて頭の太角が、木の幹から覗いてるから――
ふぉん♪
『ゴウライ>やい、女神さまよ』
ふぉん♪
『イオノ>なぁにぃー、シガミー?』
こうして女神像通信を介して、一行表示で会話が出来るが。
ふぉん♪
『ゴウライ>みんなは無事か?』
ふぉふぉん♪
『イオノ>大丈夫よ。あたくしさまの華麗な操縦で、無事着水しました♪』
ヴュパァァッ♪
おれが放り投げたあとの、馬車の軌道が表示された。
巨木をぐるっと一回りし、高度を急激におとした馬車が見事、湖らしきところへ着水してる。
馬車は兎に角、頑丈に作ったが、細かい所は人任せにしたから――
まさか空を飛ぶ機能なんかが、搭載されていたとは思いも寄らなかった。
フワフワモコモコ嬢……女史には、帰ったら猪蟹屋の饅頭をくれてやるか。
ひとまずは、助かったぜ。
「(ルリーロとゲイルは?)」
ふぉん♪
『>そちらも制動を終了してい』
どうした、迅雷?
ヴォォン。
『<神力低下――スリープモードへ移行します>』
一行表示とは別の、ダイアログ表示。
神力がなくなったか――おれも背中の大筒に、粗方食わせちまったが。
それでも超特大神力棒に、まだ10%ほど残ってる。
「ええと、迅雷が使えんと面倒だし――食わせてやらんと」
あれ、でも迅雷は予備の神力棒の作り置きが、700本有るとか自慢してたよな?
おれは収納魔法具の中を検索する。
ふぉん♪
『神力棒【レア1】
750個/使用可能:0個』
はぁ? ちゃんとあるじゃねーか。
くっ――眼力を込めてアイコンを、よく見た。
ふぉん♪
『神力棒【レア1】
750個/うち使用可能:0個』
なんだと? 使える棒は一個もねーのか?
どうも、無理がたたったのか――調子が悪ぃみてぇだぜ。
ヴォォン。
『神力低下――スリープモードへ移行します』
一行表示とは別の、ダイアログ表示。
そりゃさっき見ただろうが――ぷすん。
ヒュヒュゥゥゥゥンッ――ガッキュゥ、ガシャッ!
轟雷の四肢へ伝達されていた、神力による駆動力がカットされた。
画面に映し出されていた鉄鎧の絵が、赤く点滅しだす。
駆動系に続き、腹の『凹』までもが止まるぞ――
この停止を告げるダイアログは、轟雷のかぁ――!?
轟雷の力の源であるストラクチャル・ジェネレーター/【龍脈言語/DCコンバータ】が、停止したことを告げているらしい。
ちなみに、この『凹』は轟雷の心の臓であると同時に――
星神茅の姫が持つ力の、全てでもある。
神ではないおれには、もう使いこなせねぇがな。
ブツンブツンブツツン――プスン♪
外部温度に、凹稼働効率に、神力への変換効率に、体内循環温度に、冷却効率。
演算稼働率に、姿勢制御状態から各部稼働率ならびに、各種充填状態の全計器類が――
ブツリと消え、おれは暗闇に取り残された。
「温泉入浴背面外部神源固定爆砕ボルト爆破ぁ――ニャァ!」
バッガァァンッ!
空になった神力棒を、切り離し――
「温泉入浴八町分っ――ニャァ♪」
ぷぴぽぽーん♪
「ハッチ開放します、ハッチ開放します」
五百乃大角の声だ。
バッシャ――ガシャガシャガシャ!
背中から開く――おれの鉄鎧の体。
ぽっきゅむごつんっ――――♪
勢いあまってうしろ猫頭をぶつけたが、まるで痛くねぇ。
ヴュパパパパパッ♪
強化服の画面が再起動、辺りの様子が見えるようになった。
ぽぎゅむ――むぎゅぎゅ、んぎぎっぎっ!
10号改はどうにかこうにか、埋まった轟雷の隙間から――
すっぽぉぉぉぉぉん♪
はぁはぁ、抜け出せたぜ。
動かなくなった轟雷を――格納した。
そして、10号改の首へ手を突っ込んで、迅雷を引っこ抜く。
機械腕をだらしなく伸ばした独古杵は、やっぱりウンともスンとも言いやがらねぇ。
ヴッ――ぽこん♪
おれの収納魔法具から神力棒を取りだして、繋いでやると――
独古杵が、小さな光を灯した。
よしこれで、しばらく放っときゃ迅雷が復旧するぞ。
強化服の毛皮を引っぱって、補助腕に持たせておく。
いつだかはこれで背中に、某伯爵ご令嬢を貼りつけたりしたな。
轟雷の手甲から出る鋏もだが――腕が沢山有るのは便利で良い。
それにしてもだ――強化服は轟雷が開けた大穴を、振りかえった。
轟雷の体がなくなった場所が、ぼっかりと隙間を空けている。
もうこれ、物置小屋の方のシガミー邸なら6軒分くらい有るだろ。
おれが六人も、住めるぜ。
「じゃぁ行くか♪」
大穴から木の幹がわへ、ピョンと飛び移る。
あ、いけねぇや!
強化服の夏毛の足裏じゃ、壁に貼りつけねぇんだったぜ!
つるん――ぽきゅごろろっ♪
「女神像とのリンクガ再接続されマした。AOS復旧シマス」
ふぉん♪
『>水面まで約150メートル。衝撃に備えてください』
迅雷が、復旧した。
いや、水の上なら落ちても平気だろ。
ついさっき巨木にぶつかった勢いを考えたら、屁でもねぇやな――カカカッ♪
§
ぱぁぁぁぁっ――緑色の光の泡に包まれる。
おれは水面に叩きつけられ、手ひどい傷を負った。
無敵の強化服を、着ていたにもかかわらずだ。
蘇生薬がいつぞやみたいに効かなかったら、死んでいたかもしれん。
ごぽぽこぴゅぎゅりゅぎゅっごぼがぼごぉぉぉぉ――――♪
「ん? 何の音だ?」
えらい勢いで落ちた水の中。
辺りは明るく、
う゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅぎゅむむむっ――――――――♪
水底から轟く、うるせぇ音。
あ、そうだったぜ、強化服は水に沈まないんだった。
ぼぎゅぼこぴゅぅーん♪
凄まじい勢いで突き上げられ、目が眩む。
「シガミーちゃぁぁん! つかまってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――!」
天高くへ舞いもどったおれに、舌っ足らずな声が掛けられた。
ぶぉん、ガチャラララッ!
目のまえに垂らされたのは、太鎖。
それは強化服の大きさには、すこし太すぎだったけど――
極所作業用汎用強化服を着ていても、限界を超えた高さから落ちりゃ、大けがをするのだと知った。
また落ちたら、また蘇生薬が要る。
手持ちの在庫は――3本しか残ってねぇ。
ぽむぎゅっ――♪
おれは両手足を使って、必死にしがみ付いた。
ーーー
爆砕ボルト/爆破されることで固定していた部品や構造を分離できる。航空機のキャノピーや多段ロケットの切り離しなどにも使用される。構造を自壊するために使用される場合、俗に言う自爆装置と同義。
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