滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

493:ネネルド村奇譚、蛸壺VS物理法則

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「ぷっぎゅぷぎゅ――!」
 カッチャッ、ぶぶぶぉぉんゅ――ごろぉおん♪
 ふたを持ち上げたうでを振り、いきおいを付けてよこになる。

 とっぷんたっぷん、こぽぽぽんと――みずなかに入れていく。
 ちなみに顧問技師ミャッド発案はつあんで、ふた裏表うらおもてに取っ手が付けられた。
 そしてその取っ手は、なんとオリハルコンせい

「良いのかぁ工房長ノヴァド随分ずいぶん気前きまえが良いじゃねぇーかぁ?」
 オリハルコンはまともに買うと、結構けっこうするだろ。
 折れた剣先けんさきとかをあつめたとしても、延板のべいたに打ちなおすのにそれこそ――
 ノヴァドみたいな一流いちりゅう職人しょくにんの手が必要ひつようだ。つまり、そうそうやすくならない。

 ガムランちょう避雷針ひらいしんはオリハルコンせいで、その使つかふるしはジンライこうとして再利用出来さいりようできる。
 ジンライこうおも使つかみちとしては、小太刀こだち錫杖しゃくじょう迅雷ジンライ式隠しきかくみの素材そざい一部いちぶ)がある。

「10ねんくらいまえにたて持ち手・・・にするためにつくったもんだが、とうとうだれえらんでくれなくてなぁ」
 ガシガシとあたまを掻く、屈強くっきょううで
「あの持ち手の材質ざいしつすべてがオリハルコンせいでは、たて主兵装しゅへいそうとするわたしでも躊躇ちゅうちょしますよ」
 屈強くっきょうさでは負けていない、大柄おおがら男性だんせいかおをしかめた。
 新婚さんエクレア色々いろいろ物入ものいりなのだ。

魔物境界線ガムランちょう護衛ごえいにんにつくアナタが買えないのでしたら、ほかに欲しがるひとは居ないでしょうね」
 白眼鏡しろめがねはなからいきを、ふぅーぃ。
 そういやぁリオも、物入ものいりってわけじゃないけど――
 大博打おおばくちやぶれ、いまはたくわえがない身だ。
 央都おうとでかるくはじめたあきないで、学院がくいんへのなんやかんや・・・・・・まかなえつつあるが。
 いろいろ売りに出してる素材そざいが売れれば、まとまったかねわたしてやれる。
 いましばらく、辛抱しんぼうしてくれ。

「がははははっ、そういうことだ。おれはたて使つかわねぇし、折角作せっかくつくったもんをただつぶしちまうのも――なぁ!」
「気が引けるってわけか。そういうことなら、ありがたくもらっとくぜ♪」
 そのうち、目新めあたらしいさけでも出来できたら、とどけてやろう。

 ごっぽぽぽぽぽぽぽぽぽぉん――どっぷん♪
 水桶みずおけどんぶりでも、しずめたみてぇなおと
 どうにかこうにか、ぎりぎり水面下みずのしたしずんだようだが――
 それ以上・・は、どうやってもしずまなくて――

「ぷぎゅるりゅり、ぷっぎゅぎゅりっ♪」
 蛸之助たこのすけは、そのまま湖面こめん徘徊はいかいする。
 あれはあれでたのしそうだが、蛸壺たこつぼ本来ほんらい用途ようとではない。

「ケェーッタケタケタ、ココォン♪」
 少女しょうじょメイド・タターに団扇うちわあおがれる奥方ルリーロさまが――
 出し物たこつぼたのしんでくれている。

スべてノ空気くウき排出はいシゅつし、冠水かんスいしたにモかかわらず――そレ以上いじょウしズまないようデ
 ヴヴッヴヴヴルッ――また、ルガばちうごきをする迅雷ジンライ

 ふぉん♪
『イオノ>さすが異世界わね。蛸之助周辺の湖水比重が類推2・3って、物理法則に喧嘩売ってる?』
 ふぉん♪
『シガミー>どうした、さっきまで吐いてた塩が何かまずいのか?』
 ちがうか……たこが吐こうが、しおに変わりはねぇ。
 となるとだれなにに、喧嘩けんかを売ってやがるんだぜ?

 ふぉん♪
『ホシガミー>ここだけのことか惑星ヒース全域でおこりうることか、まだわからないですけど。星の理に異変が生じています、くすくす♪』
 すたすたすたすた、とん、とん、とととん!
 スサササササササ、カチャン、カチャチャン♪
 王族おうぞく顧問氏こもんしたちだけでなく、学者方がくしゃかた村人むらびとたちのぶんまで――
 つめたいもののおかわり・・・・を、そつなく給仕きゅうじする星神かやのひめ

 ふぉふぉん♪
『シガミー>おい、まるでわからんがそれでも、星神のお前さまが星の理を知ってねぇといけねぇてのはわかるからな?』
 スッとおれにまで差し出されたのは、果物くだものしる
 色々いろいろと、取りそろえてやがるな。
 まるで、おにぎりみたいなこのいろは、はじめて見たぞ?

 ふぉん♪
『ホシガミー>塩分濃度に異常は見られませんので、蛸之助の吐いた塩による溶解質量改竄が深刻と思われます、くすくすす?』
 わかるか。
 わりものならかわいそうだが、やはり退治たいじすっか?
 おれたちのいのち女神めがみ食事めしに、代わるものなどない。

「ごくり――うめぇ!」
 ちょううめぇ。果物汁くだものじるはとんでもなく、うまかった。

 ふぉん♪
『>学者班が近くに居なければ、対処法もあるのですが』
 うーむ?
 つまり、轟雷を着ていないおれ・・・・・・・・・・かんがえる程度くらいのことで、この場を凌げ・・・・・・って言うんだな?

 ふぉん♪
『イオノ>坊主、驚異の理解力』
 根菜メガミは、いまはリオレイニアのあたまうえ
 メイド装束しょうぞく髪留かみどめを、しっかりとつかんで――
 たかみの見物中けんぶつちゅう

「ったくよぉ。ぼんひとつにすわったおれが、軽々かるがると浮くんだぜ? あれだけのおおきさのつぼじゃ、そこまでしずめるのは一苦労ひとくろうなんじゃね?」
 振りかえれば巨木きょぼくをくり抜いたところが、まるへこんでる。
 仕込しこ錫杖しゃくじょうで斬りつけ、おおまかなかたちを切り出し。
 絵で板エデシタつぼかたちを、正確せいかくけずり出した。

 つぼ材料ざいりょうは、いくらでも切り出せる。
 もう一個いっこあつみを減らしたやつつくれば済むなら簡単かんたんだが。

重石おもシがわりノ格子こうシかコめバ、しズめられマすが
 収納魔法しゅうのうまほうなかの、電界鉄でんかいてつ使つかふるしのオリハルコン)の在庫ストックがチカチカする。
「けどそれじゃ、一時凌いちじしのぎだろう?」

「そウですね。でスがレイダザいしンハ木でスので、みズうみ一番深いチばんふかとこロなラやクバい高圧こうアつヲ掛けられマ
「その……こころは?」
 もうわからん。
 はらいせに五百乃大角いおのはらにらみつけたら、諸手もろてを挙げて――すてころろん♪
 真後まうしろへころげ落ちやがった。

「っきゃ――イオノファラーさまっ!?」
 白眼鏡リオレイニアあわてて、根菜メガミさまを――――ポコーン、スカーン♪
 受け止めようとするも、靴先くつで蹴り飛ばしてしまい。
「きゃぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁっ――!?」
 つかを跳ねころがるそれを、必死ひっしに追いかける。

「レイダ材内部ざイないぶノ木がフく空気くウき押シ出せバ・・・・・浮力ふりョく永久的えいきゅうテき調整可能ちょうせイかのうおモわれマ
 わーからーん。

 一度作いちどつくってしまったものを、絵で板エディタ調整ちょうせいするのにも限度げんどがあり――
 かといってもう一個いっこべつつくっても、また蛸塩たこしおを吐かれて――
 もと木阿弥もくあみにならないともかぎらないらしく――
 中々なかなかどうして、うまくいきやがらねぇぜ。

   §

「よしやるぞ。まずおれが、湖を切り裂くから・・・・・・・・――」
「ちょっとまってくださいシガミー。出だしからまずおかしいのですが?」
 かたいきをする白眼鏡リオレイニアから、物言ものいいが。
 その手には根菜メガミひとつ、無造作むぞうさにぎられていた。
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