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仲人
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フィリーネ様のお誕生会が終わって、大ビッテンフェルト卿以外の来賓は帰って行った。
元気なフィリーネ様もさすがに疲れてしまったようで、旦那様に抱っこされたままあくびを繰り返している。
「お義父様。お義父様もお疲れではございませんか?」
奥様が大ビッテンフェルト卿を気遣うと、卿もお疲れだったようで頷いて応えた。
「お恥ずかしい。歳には勝てませんな。少し休ませていただいてもよろしいですかな?」
「もちろんです。夕餉までお休みくださいませ。
アンネ、お義父様のお部屋のご用意をお願いできるかしら?」と奥様は傍に控えていた私に大ビッテンフェルト卿のお世話を任せた。
「かしこまりました」と応えて、先にお休みの用意を整えてから大ビッテンフェルト卿をお部屋にお送りした。
「ありがとう、アンネ嬢」
お部屋までお送りした私を、卿は優しく労ってくれた。
大ビッテンフェルト卿はすぐに部屋に入らずに、少し考えるような素振りを見せてから、付き人を先に部屋に入れると私にこっそりと声を掛けた。
「…余計なお世話かもしれんが…誰ぞ良い人はできたかね?」
その質問は真剣そうな響きで、お節介で詮索したがるような下世話なものでは無かった。私がまだ独り身だという事を気にしていたのかもしれない。
頭の中を過った男の顔があったが、彼の名前を出すのは気が引けた。きっと迷惑だ…そう思った。
「お気遣いありがとうございます」と答えて愛想笑いを浮かべる私に、大ビッテンフェルト卿は困ったように眉を寄せた。
「年寄りはお節介でいかんな…すまない、忘れてくれ」
卿は私の曖昧な答えを察したように詫びた。彼にも気を遣わせてしまっていることが申し訳なく感じられた。
私が以前あんなことを言ったから、彼も気に病んでいるのかもしれない。そうだとすれば、私には卿の質問に答える必要がある。
「あの…」
部屋に入ろうと背を向けた大ビッテンフェルト卿に、意を決して言葉をかけた。
「わ…私が、どなたかと一緒になれば…卿はお喜び下さいますか?」
振り返った卿は、眉を浮かせて驚いた表情を見せた。それでも、すぐに気を取り直したように笑って卿は質問に答えてくれた。
「もちろん、嬉しいですとも。しかし、誰でもとは思ってはおりません。アンネ様が幸せになれる相手が一番です。お相手はいらっしゃいますか?」
その言葉に背中を押された気がした。
遅すぎるかもしれないが、この気持ちに素直になってもいいのだろうか?
そんな気持ちが湧いて、それが目頭を熱くした。
意識しないように押し込んで、抱え込んでいた想いが溢れて止められなくなってしまった。
「ど、どうしましたか?気に障ることでも…」
廊下でいきなり泣き出した女を前に、大ビッテンフェルト卿は驚きながらも放り出したりしなかった。
廊下では人目があると不都合に感じたのだろう。付き人に席を外させて、私を部屋に入れてくれた。
自分で用意した水差しとコップをまさか自分が使うことになるとは思っていなかった…
差し出された水を飲んで、気持ちは少しだけ落ち着いた。
「好きな人が…できたんです…でも、私、彼に失礼な事を言ってしまって…」
「なるほど…」と言葉少なく頷いて、卿は先を求めるように黙った。
誰にも言えないし、ため込んでいた物を吐き出して少し楽になっていた。この話をしたとしても、卿は数日泊まってすぐに帰るから、話してしまってもいい気がした。
「とても無垢で純粋な少年のような人ですが、彼は誰に対しても優しいのです」
「ふむ...お聞きしたところ、好青年のようですな...
しかし、さっき何やら彼に失礼をしてしまったと仰っていましたが、相手はそれを気にしているのですかな?」
「いえ…私の酷い言葉も、彼は心配してくれているようでした。
彼は私の方が恥ずかしくなるほど優しい人なんです」
本当に恥ずかしい…
あんな事を言わなければ、もしかしたら普通に彼を好きになれたかもしれない。好きになってもらえないとしても、今ほどひどい状態にはならなったろう…
今更好意を伝えたとしても、偽装結婚を求めているのだと思われるだけだ。
全部私が悪かったのだ…
そう思いながら両手で握りしめたグラスに視線を落としていた。うつむいたままの私に卿からの意外な申し出を受けた。
「一応話は分かりました。アンネ嬢、私からその男に話を聞くことは可能でしょうか?」
「え…」
「本来なら息子が世話するべきことですが、あの朴念仁では私も不安です。私が彼から話を聞きます。
まぁ、無駄に歳は取っておりませんし、間を取り持つのは初めてではありません。大丈夫。上手くやります。それはご安心ください」と、卿は頼もしく約束してくれた。
「しかし、それもアンネ嬢がどこまで求めるかによります。彼の気持ちを知るだけで良いのか?それとも、それより踏み込んだ答えが欲しいのか?
その辺りはどうでしょうか?」
「…正直分かりません」
良い返事をもらえるのであれば…彼から求めてくれるならそれに越したことは無い。
でもそれは望めないだろう…
私が彼に目をつけて、共犯にしようとした理由がそうだったのだから…
「ふむ…とりあえず、その《彼》と話をしてみる必要がありそうですな。
アンネ嬢。そのお話は私にお預けいただいてもよろしいでしょうか?」
少し迷ったが、せっかくの卿からの申し出だ。それに、この機会を逃したら、今後そんな機会は無いように思えた。
「卿にお任せいたします」
無責任だが、全てを他人である卿に委ねた。
「それで、相手とは誰なのでしょうか?」
「…アダムです、アダム・マクレイ。このお屋敷で働いている元オークランド人です」
私の返事を聞いた大ビッテンフェルト卿の驚くような息を飲む気配が伝わる。
彼はこの土地とお屋敷で匿われている人物だ。勧められないというのが本音だろう。
それでも、一度は引き受けた話だ。
卿も言いたいことはあったろうが、それ以上追求せずに、自らの言葉を曲げることもなかった。
難しい役を引き受けてくれた卿にお礼を述べて、部屋を後にした。
少し泣いて、話をしたことで、私の心は少しだけ軽くなっていた。
✩.*˚
お客様をお見送りして、厩舎に積まれた馬の寝藁の上に転がった。
とりあえず、誕生会は多少想定外の事件はあったが、大きな問題はなく終わって安心した。
藁に沈む身体は疲れていて重かった。少しだけ休憩するつもりで藁のベッドでまどろんでいると、馬の嘶く声と仕切り板を蹴るような音で目が覚めた。
アイリスに呼ばれているとすぐに気付いた。
なんだろう?
身体を預けていた藁のベッドから起き上がると、来客と鉢合わせした。
「何だ、そんなところにいたのか?」
相手は驚いた様子だったが、私も相手を見て驚いた。
「だ、大ビッテンフェルト卿…何故このようなところに…」
「うむ。昼間に見た仔馬をまた見たくなってな…あれはなかなか良い仔馬だった」
卿はナハトを見に来たらしい。
アイリスの陰に隠れていたナハトを呼ぶと、警戒心と好奇心でせめぎ合っていた仔馬は母親の陰から顔を覗かせた。
「珍しい毛色の仔馬だな。青毛はそこまで珍しくないが、この薄く斑の混じった毛並みは初めて見た」
「父親は白馬ですが、この子に似たような模様があります。おそらくそれを受け継いだのでしょう」
「ほぅ…父親は良くは知らんが、この子は父親にも似ているのだな」と感心しながら、卿は馬房の親子に向けて手を伸ばした。
アイリスは人懐っこく卿の手に鼻面をよせたが、仔馬は知らない人に触られるのを嫌がった。それを見て、卿は少し陰った笑みを仔馬に向けた。
「知らない人間は嫌か…そうだな、賢い子だ…」
その含みのある独り言は寂し気だった。その姿を見てこのままお帰り頂くのは良くないように思えた。
「少しお待ちください」と言い残して、裏の畑に走った。
小さなカボチャを一つ刈り取って厩舎に戻り、適当に砕いたカボチャの欠片を卿に渡した。
カボチャを見たナハトが尾を振りながらアイリスの陰から出てきた。
「これが好きなのか?」
「えぇ。先日初めて食べさせたら気に入ったようです。ナハトの大好物なんです」
本当は先日脱走したときに畑で味を覚えてしまっただけだが、それは言わぬが花だ。あまりに無心になって食べていたので、余程気に入ったのだろう。
大ビッテンフェルト卿の手から大好物のカボチャを貰って、ナハトはすっかり警戒を解いていた。
「素直な可愛い奴だ」と卿も満足そうに喜んでいた。
「俺と息子の話は聞いているか?」と卿が急に口を開いた。私は知らないと首を横に振った。
「俺とワルターが親子になれたのは割と最近の話でな。元々は会う事すらままならなかった。
初めてあいつを抱いた時には、いきなり現れた知らない男にびびって泣いて嫌がられた…
なんとなく、この子を見てそんなつまらない事を思い出してな…」
卿はそう言いながら、ご機嫌で口をもごもごさせているナハトを撫でていた。
カボチャを持ってきた判断は正解だったようだ。
先日旦那様が来た時に何やら言っていたが、人の過去などそれぞれだ。
私だって人の事をあれこれ言うほど胸を張って話せるような過去は持ち合わせていない。
「ワルターは人に恵まれているようだ。これからも息子を頼む」
卿の言葉は本心からのようで、私の仕事を認められているような気がした。
ナハトも大好物をくれた卿を気に入ったようで、期待の眼差しを向けながら懐っこく顔を摺り寄せている。
「ところで、アダム。お前さんはまだ独り身か?」
「えぇ、まぁ…」突然降って湧いた話に言葉を濁して答えた。卿は私の返事に「そうか」と頷いた。
「まあ、独り身が悪いとは言わんがな。それは相手がないからか?」
はは、と笑って「そんなところです」と答えた。
「私はオークランド人です。しかも、騎行の片棒を担いだ人間です。私と本当にご縁を持ちたいご婦人などいらっしゃいませんよ」
「そんなことは知っている。俺もその場にいたんだ。
尤も、お前の要求と助命の勧告を蹴ったのも俺だがな」
卿は暗い話題を追い払うように明るい大きな声で笑った。驚いたナハトがアイリスの後ろに隠れるほどの音量だ。
「おぉ、すまんな、チビ助。
しかし、アダムよ。お前さんはここに来てもう4,5年は経つだろう?既に十分罪を償ってきたはずだ。それに、ロンメル男爵夫人の学校を作るのにも協力した。そろそろ自分を許してもよかろう?」
「足りません…私はこの罪で多くの命を奪ったのです。しかも、騎行で失われた命のほとんどが無辜の民です…
男だけではありません。女性や老人、子供もいました…
ルフトゥ神に祈る村人も居ました…私は誰も救えませんでした…
それを考えれば、私の人生一つで償いきれるものではありません」
騎行の悪夢は私にとって忘れることのできない記憶だ…
「なるほどな…では、お前さんは人として生きることを諦めるつもりかね?」
「…それは」
「アダム。お前さんの考えは尊い。しかし、人としては未熟だな。
俺も傭兵団の団長だった男だ。もしかしたらお前さんより業が深いやもしれんし、人を殺した数なら、俺の方が多いかもしれん。
だが、俺は人として、残りの人生が幸福で満たされることを望んでいる」
老人の言葉はゆっくりと深い声で古傷だらけの心に沁みた。
「さっき、俺はワルターと親子になれたのは最近だと言ったな。
自慢じゃないが、俺の人生は胸を張って幸せだったといえるようなもんじゃなかった。半分は他人のせいだが、残りの半分は俺の責任だ。俺が素直になれば、我儘になれたら、違う人生があったはずだ。
息子たちを俺の不幸に巻き込んだのも、俺の責任だ…
だがな、過去には戻れん。過去は変わらん。なら、願う事はひとつだろうが?」
自嘲するように鼻で笑って、卿は「まだ先はあるだろう?」と私に言葉を投げかけた。
「口の悪い親友の言葉を借りるなら、『悩みなんて金にもならねぇものに使う時間があるなら、酒飲んで、女でも買いに行け!そんでもってきれいさっぱり全部忘れちまえ!』ってやつだ。
まぁ、それは極端な考えだが割と真実だな。
答えの無い問題に囚われていては、目の前の幸せにすら気付くことも楽しむことはできないだろう?
過去に囚われて足を止めるには、お前さんはまだ若すぎるだろう?」
卿の話は難しいものでは無かったが、それに頷くことも難しかった。
「卿のお考えは良いものだと思います。しかし、私はこれからも私の罪に向き合いながら生きるつもりです」
「強情な男だ…」と呟いた老人は大き目なため息を吐いて苦く笑っていた。それでも、その苦い笑みには悪い感情は感じられなかった。
「お前さんも男だろう?好いた女はないのか?」
「分かりません。そういうものに疎いもので…」
「一人もないのか?」と卿は私の返事に眉を顰めた。
「私は聖職の騎士でしたので…ご婦人とはご縁がありません」
「…ちょっと、待て…四六時中神殿にいたわけでは無かろう?一度ぐらいあるだろう?」
「ルフトゥ神は女性との交わりを望まない神です。清貧は聖騎士にとって誇るべきことであり、童貞もまた褒められることです」
私の返答に、それまでお喋りだった老人は言葉を忘れたように口を閉ざした。それと比例するように、私に向けられた目は大きく見開かれて、稀有な生き物でも見たような顔をしていた。
どうやら私は、卿の長い人生の中でも稀有な人間だったようだ。
確かに騎士団の中の全員がそうであったわけではない。中にはこっそりと女性を求める者も少なからずいた。だが、大っぴらにできるわけもなく、あくまでこっそりとだ。
それでも少なからず、神の望みに従い清貧を貫く人物はいた。
「…これは…難しいな…」と、卿が小声で呟くのが聞こえた。
もしかして、誰か薦めたい縁組でもあったのだろうか?それとも旦那様から頼まれたのだろうか?
「…いや、まぁ…それならそれで…
アダム。今一度確認するが、お前さんは好いた相手はないのだな?」
「はぁ、まぁ、そうですね」
私の気の抜けた返事に、卿は頷いて手を打った。その音でまたナハトが驚いて跳ねたが、卿はそんなことには気付いてないようだ。
「ならばよし」と、何やら納得した様子で引き上げていく卿の背中をポカンとしながら見送った。
一体なんだったのだろうか?
あの質問に対する答えを間違えたような気がして仕方なかった。
「ブルル」
小さな嘶きに呼ばれて振り返ると、ナハトが馬房から顔を出して、私の方に顔を伸ばしていた。
残っているカボチャのおねだりらしい。
残っていたカボチャの欠片を仔馬の口元に運んでやると、嬉しそうにムシャムシャと食べていた。
「アイリス。君もどうですか?」と、母親にもカボチャを差し出した。彼女は可愛い息子のために我慢していたようだ。
差し出されたカボチャを頬張って満足した彼女は、礼を言うように嘶くと顔を擦り寄せて甘えた。
長い馬の顔を撫でると、彼女は嬉しそうに目を細めて私を受け入れてくれた。
好きな女性か…
大ビッテンフェルト卿の言葉を思い出すと苦い笑みがこぼれる。
そんな相手がいたとしても、私から求めることはないだろう。
それに応じてくれる人も居るはずがない。
私は冴えない面白味もない男だ。それは誰よりも自分がよく知っている。
私には土に汚れて畑を耕したり、馬の世話をする方がお似合いだ。それに、その方が私の性にも合っている。この屋敷の住人も、責任もないこの気楽な生活を気に入っている。
ブルル、とどこからか不満そうな声が聞こえて顔を上げた。
アイリスの隣の馬房で、つるした水の桶を鼻先でつついているザラの姿があった。水が少ないから催促しているようだ。
「今すぐ用意しますよ」と答えて、桶を持って井戸に向かった。
✩.*˚
夕餉の後に話があると、テレーゼと二人で親父に呼ばれた。
俺はてっきりフィーのお転婆に対する指摘かと思っていたが、それでは無かったようだ。
「アンネ嬢の事です」と親父は単刀直入に話を切り出した。
「アンネ嬢がテレーゼ様に長くお仕えしているのは私も存じております。非常によくできた侍女と思っていますし、彼女の代わりが無い事も理解しております。
しかし、だからこそ、そろそろアンネ嬢の幸せを考えてやるべきではないでしょうか?」
急にこんな話が出て俺もテレーゼも困惑した。
アンネの事は俺たちも気にしてなかった訳じゃないが、本人にその気がないからどうしようもない。
「あの…それについては私たちも心配していますが、本人が受け入れないので、本人に任せているのです。もしアンネにそのような方がいらっしゃれば、私たちも喜んで受け入れるつもりでいます」
「アンネが一緒になりたいっていう奴がいれば、余程じゃない限り反対なんてしねぇよ」
俺たちの返事を聞いて、親父は「なるほど」と頷いた。
一体何を考えているのかと思っていると、親父からの提案に驚かされた。
「では、私が仲人として名乗り上げても問題はありませんかな?」
「は?仲人?」
何でそんな話になる?急すぎるし、意味が分からん!!
益々困惑する俺たちを他所に、親父は勝手にアンネの縁談の話を進めた。
「もちろん、アンネ嬢の希望を無視して無理やり相手を用意するような無粋な真似は致しません。
ブルームバルトやテレーゼ様から引き離すのも論外です。それは彼女のためにもロンメル家のためにもなりません。
あくまで、彼女の納得する相手で、ロンメル家の益になるようなそんな相手を選びますのでご安心ください」
親父は自信ありげだが、俺とテレーゼは言葉を交わさずに視線で意思を確認した。アンネはテレーゼの侍女だ。彼女の事を決めるのは結局は主人であるテレーゼだ。
「あの…お義父様がそのように仰っていただけるのであれば、私としては異論はございませんが…」
「何かご心配でしょうか?」
「アンネが何とお返事するか…せっかくのお義父様の申し出でも受け入れられないかもしれません」
「それでしたらご心配なく。アンネ嬢には『卿にお任せします』と了承を得ています」
「アンネが?」
今まで頑として縁談を受け入れなかった彼女が、よく親父に『任せる』って言ったもんだ。逆に親父だったからよかったのだろうか?
「えぇ。ですので、この際私にお任せいただけないかと…
まぁ、もちろんお二人のご協力も必要ですし、ロンメル家の家人の事という事もあり、お二人にお伺いを立てたというわけです」
親父の話は俺たちにとっても悪い話じゃない。アンネの満足いく形にするというし、断る理由は無い。
テレーゼも窺うように俺の顔を覗き込んで返事を待っていた。
「お前が良いなら俺はそれでいいよ」と答えると、テレーゼもこの話を受けることに決めたらしい。
「あの…お義父様。失礼ですが、アンネのお相手とはどなたなのでしょうか?」
「ご安心下さい。彼はお二人がよく知る人物です」と親父は笑顔を作って答えた。
「なかなか良い男です。アンネ嬢とは少し歳は離れているかもしれませんが、それも良いでしょう。彼女は落ち着いていますし、あまり落ち着きのない若者より合うはずです。
女性慣れはしてないですが、まぁ、それも少しずつ慣れればよいかと思います。彼自身はおおらかですし、親切で気が利く男です」
ヒントのつもりだろうか?
回りくどい言い方をしながら、親父はアンネに薦める相手の人となりを語った。
その後、しばらく親父の謎々を聞いて、テレーゼが「あっ!」と思いついたように声を上げた。
驚いていた彼女は表情を変えると、今度はクスクスと笑い始めた。
何か分からない俺に、彼女はこっそりと耳打ちして答えを教えた。
「はぁ?…嘘だろ?」彼女の出した名前に耳を疑ったが、冗談でもなさそうだ。
あいつ…エライことになったな…
腹の中で少しだけ厄介事に巻き込まれた男に同情した。
✩.*˚
「久しぶりだな」と、古い友人と挨拶を交わして、お互いを確認するようにハグをした。
縮んだな、などと余計な感想を持ったのは俺だけじゃなかっただろう。お互いに過ぎた時間を感じた。
ロンメルの屋敷の空き部屋にゲルトの荷物を運びこんで、親友と二人で積もる話をするために俺の泊まっている部屋に招いた。
引退を決めた親友を労って酒を飲んでいると、フィリーネ様を連れたワルターが部屋を訪ねてきた。
「お爺ちゃん、いらっしゃい」
「おう、お嬢ちゃん。今日から俺はここに住むからよろしくな」
「いいよ。お爺ちゃんも一緒に遊ぼうね」
厳めしい面構えの爺さん相手に、フィリーネ様は友達みたいな事を言ってゲルトを喜ばせていた。
「何だ?何でお前にそんなに懐いてるんだ?」
「このお転婆姫とはたまに遊んでやってるからな」と答えながら、ゲルトはフィリーネ様を抱っこして膝に乗せた。
「なかなか体力あるお転婆姫だから、爺さんには大変な仕事だぜ。
『馬に乗せろ』だの『騎士ごっこする』だのなかなかだぞ」
「それは…なんか、すまんな…」
「まぁ、俺としてはおままごとよりそっちの方が助かるがな」
そう言ってゲルトは上機嫌で笑って、ポケットから何かを取り出してフィリーネ様に渡した。
「ほら、俺から5歳のお祝いだ」
「わぁ!お馬さん!」子供の甲高い声で歓声を上げて、フィリーネ様が嬉しそうに受け取ったプレゼントを掲げて見せた。
「お父様見て!お馬さん!お馬さんの首飾り!」
「へぇ。良い物もらったな。ちゃんとゲルトにお礼言いな」とワルターはフィリーネ様に返していたが、それを見て俺は頭を抱えた。
「…ゲルト、それは男の子のお守りだぞ…」
「そうなのか?店の親父はそんなこと言ってなかったがな?」
「これ何なんだよ?」
「落馬しないようにするための乗馬のお守りだ。男の子が馬に乗り始めた時に身に着けるもんだぞ」と教えると、ワルターとゲルトは驚いた顔をしていたが、フィリーネ様は目を輝かせて喜んでいた。
「そうなの?じゃぁ、これあったらお馬さん乗れるね!」と、馬に乗れる免罪符を手に入れたフィリーネ様は大はしゃぎだ。
終いには「みんなに見せてくる!」と言い残して走り去って行った。
女の子でスカートを履いているのに、フィリーネ様は信じられないほど素早い。まるでリスか野兎のようだ。
呆気に取られて出遅れたワルターもお転婆姫の後を追いかけて部屋を出て行った。
「そういや、買う時には男とも女とも言わなかったな…
あの嬢ちゃんが『お馬さん欲しい』って言うからよ、俺も『馬が好きな子供』としか言わなかったんだ」
「せめてそこははっきりしておけ」と苦言を呈したが、ゲルトは面白がるようにニヤニヤと笑っていた。
「あのお転婆も男だったら将来有望だったろうにな」
「そのうちお転婆も落ち着くだろう?
このまま育てば将来は母親と同じく絶対美人になる。今でさえ心配になるくらい見合い話が絶えなくてな。ワルターの奴も気が気じゃないようだ」
「そりゃまた贅沢な悩みだな」
「確かにな」
「まあ、美人だからって誰もが欲しがるわけじゃない。誰とは言わねぇがな…
性格の方が大事だ。お嬢ちゃんは良い子だ」
「耳が痛いな…」
「お前の抱えた問題だが、悪いのは全部あの女だ」と自分から言い出したくせに不機嫌になったゲルトは空になったグラスに酒を注いだ。
「まったく、思い出すだけで胸糞だ。俺の《黒腕》に歯形まで付けやがって…
思い出せば腹の立つことばかりだ。あのクソ女の事なんて酒で流しちまえ」
「酒とは便利なもんだな」と笑って新しく注がれた杯を勢いよく飲み干して、あの女の事は忘れることにした。
「ついでだ。ちょっと相談していいか?」
「何だ?悪い話なら聞かねぇぞ」
酒に手を伸ばしながらゲルトが面倒くさそうに先に断りを入れた。彼の手にした酒瓶はわずかな酒を吐き出して事切れた。新しいものを用意するようにウェリンガーに指示してゲルトの機嫌を取った。
ゲルトは今まで幾度も俺の悩みを解決してきた親友だ。やり方は荒っぽいが、あいつの言う事は最短距離で的を得ている。
まぁ、端折りすぎて横着とも思えることもあるのだが、その辺は俺が上手く調整すればいい。そんな気持ちでゲルトに意見を求めた。
「結婚の世話をすることになってな」
「つまらん。俺には関係ないだろ?」
「まぁ、聞け。それが、女の方は問題ないが、相手の男が少し難しくてな…
真面目だし悪い男じゃないんだが、女に興味が無いそうだ。それどころかまぁまぁいい年齢なんだがご婦人との経験が無いらしい」
「そんなん、別のまともな男紹介しろ」とゲルトは手厳しく問題を一蹴した。彼の言う事はその通りなのだが、そういうわけにもいかない。
「いや、彼女はその男に惚れてるらしいからその男じゃなきゃダメだ」
「馬鹿か?何でそんな面倒な世話を引き受けた?お前の娘じゃあるまいに…」ぶつくさと文句を言いながら、彼はウェリンガーから受け取った新しい酒を二人分のグラスに注いだ。
「『やめとけ』って言いたいところだが、どうせお前の事だ。もう引き受けたんだろ?
全く、お前は何でそうやって問題ばっかり引き受けるんだ?まったく、学ばねぇ馬鹿野郎だな」
不機嫌そうに口悪く俺の浅はかさを指摘しているようだが、こんなのゲルトにとっては普通の反応だ。むしろ、本当に聞くつもりが無ければ反応すら返さない。
「かかわるのも面倒だけどな、お前が引き受けたってんなら仕方ねぇ…
女にはそいつが良いって言ってんなら、その男をその気にさせたらいいんだろ?」
「まぁ…そうだな」
「酒で酔わせて、その女の部屋にでも放り込んどけ。それで終いだ。ついでにドアに釘でも打ち付けとけ」
ゲルトの暴論に仰天したが、親友は割と本気で言っているらしい。
「何にもなけりゃそれでいいし、なんかあっても女が了解しているならそれでいいだろ?その男だって、まさか女の部屋で一晩同衾して責任も取らないような男じゃないんだろ?」
「いや…まぁ、そうだが…少しやりすぎじゃないか?」
「文学的だろ?」と皮肉った男はニヤニヤしながら酒を飲みほした。
確かに神話の中にそんな一節があった気もするが、文学的というには荒っぽすぎるやり方だ。
神話の話を真似て嵌められるとなれば、アダムにとって何という皮肉だろう…
「無茶苦茶だな…」
「ふん。俺よりまともな案があるなら言ってみろよ。
尤も、それがないから俺みたいな碌で無しに話を持ってきたんだろうが?
お堅い常識的な考えじゃ解決しないなら、暴論でも試してみるんだな」と偉そうにふんぞり返ってゲルトは皮肉っぽい顔で笑っていた。
いや、違うな…こいつはこういう顔だ…
「手伝う奴が必要だ」
「当てならあるだろ?金次第で何でもする奴らだ。何なら仲介料もらって俺が紹介してやろうか?」とゲルトは俺をそそのかした。
まぁ、あの男が頷かないなら多少強引だがそれもありかもしれん。
全く、悪い友人を持ったもんだ。
言いたい放題言いまくっていた男はそろそろ酔いが回ってきたようだ。
「本当に…女に関わると碌なことがねぇんだ…」と、ぼやく姿がどこか懐かしい。
そういえば、随分昔にこうやって二人で愚痴をこぼしていたのを思い出す。
女に振り回されて散々だったが、支えてくれる親友と、愛すべき子供たちがいたから踏ん張れた。
しんどいことも多かったが、今が幸せならそれで満足すべきだろう。
親友の注いだ酒を手に、乾杯の仕草をして一気に飲み干した。親友の注いだ酒は、自分の注いだ酒より美味く、心地よい酔いが身体を巡った。
元気なフィリーネ様もさすがに疲れてしまったようで、旦那様に抱っこされたままあくびを繰り返している。
「お義父様。お義父様もお疲れではございませんか?」
奥様が大ビッテンフェルト卿を気遣うと、卿もお疲れだったようで頷いて応えた。
「お恥ずかしい。歳には勝てませんな。少し休ませていただいてもよろしいですかな?」
「もちろんです。夕餉までお休みくださいませ。
アンネ、お義父様のお部屋のご用意をお願いできるかしら?」と奥様は傍に控えていた私に大ビッテンフェルト卿のお世話を任せた。
「かしこまりました」と応えて、先にお休みの用意を整えてから大ビッテンフェルト卿をお部屋にお送りした。
「ありがとう、アンネ嬢」
お部屋までお送りした私を、卿は優しく労ってくれた。
大ビッテンフェルト卿はすぐに部屋に入らずに、少し考えるような素振りを見せてから、付き人を先に部屋に入れると私にこっそりと声を掛けた。
「…余計なお世話かもしれんが…誰ぞ良い人はできたかね?」
その質問は真剣そうな響きで、お節介で詮索したがるような下世話なものでは無かった。私がまだ独り身だという事を気にしていたのかもしれない。
頭の中を過った男の顔があったが、彼の名前を出すのは気が引けた。きっと迷惑だ…そう思った。
「お気遣いありがとうございます」と答えて愛想笑いを浮かべる私に、大ビッテンフェルト卿は困ったように眉を寄せた。
「年寄りはお節介でいかんな…すまない、忘れてくれ」
卿は私の曖昧な答えを察したように詫びた。彼にも気を遣わせてしまっていることが申し訳なく感じられた。
私が以前あんなことを言ったから、彼も気に病んでいるのかもしれない。そうだとすれば、私には卿の質問に答える必要がある。
「あの…」
部屋に入ろうと背を向けた大ビッテンフェルト卿に、意を決して言葉をかけた。
「わ…私が、どなたかと一緒になれば…卿はお喜び下さいますか?」
振り返った卿は、眉を浮かせて驚いた表情を見せた。それでも、すぐに気を取り直したように笑って卿は質問に答えてくれた。
「もちろん、嬉しいですとも。しかし、誰でもとは思ってはおりません。アンネ様が幸せになれる相手が一番です。お相手はいらっしゃいますか?」
その言葉に背中を押された気がした。
遅すぎるかもしれないが、この気持ちに素直になってもいいのだろうか?
そんな気持ちが湧いて、それが目頭を熱くした。
意識しないように押し込んで、抱え込んでいた想いが溢れて止められなくなってしまった。
「ど、どうしましたか?気に障ることでも…」
廊下でいきなり泣き出した女を前に、大ビッテンフェルト卿は驚きながらも放り出したりしなかった。
廊下では人目があると不都合に感じたのだろう。付き人に席を外させて、私を部屋に入れてくれた。
自分で用意した水差しとコップをまさか自分が使うことになるとは思っていなかった…
差し出された水を飲んで、気持ちは少しだけ落ち着いた。
「好きな人が…できたんです…でも、私、彼に失礼な事を言ってしまって…」
「なるほど…」と言葉少なく頷いて、卿は先を求めるように黙った。
誰にも言えないし、ため込んでいた物を吐き出して少し楽になっていた。この話をしたとしても、卿は数日泊まってすぐに帰るから、話してしまってもいい気がした。
「とても無垢で純粋な少年のような人ですが、彼は誰に対しても優しいのです」
「ふむ...お聞きしたところ、好青年のようですな...
しかし、さっき何やら彼に失礼をしてしまったと仰っていましたが、相手はそれを気にしているのですかな?」
「いえ…私の酷い言葉も、彼は心配してくれているようでした。
彼は私の方が恥ずかしくなるほど優しい人なんです」
本当に恥ずかしい…
あんな事を言わなければ、もしかしたら普通に彼を好きになれたかもしれない。好きになってもらえないとしても、今ほどひどい状態にはならなったろう…
今更好意を伝えたとしても、偽装結婚を求めているのだと思われるだけだ。
全部私が悪かったのだ…
そう思いながら両手で握りしめたグラスに視線を落としていた。うつむいたままの私に卿からの意外な申し出を受けた。
「一応話は分かりました。アンネ嬢、私からその男に話を聞くことは可能でしょうか?」
「え…」
「本来なら息子が世話するべきことですが、あの朴念仁では私も不安です。私が彼から話を聞きます。
まぁ、無駄に歳は取っておりませんし、間を取り持つのは初めてではありません。大丈夫。上手くやります。それはご安心ください」と、卿は頼もしく約束してくれた。
「しかし、それもアンネ嬢がどこまで求めるかによります。彼の気持ちを知るだけで良いのか?それとも、それより踏み込んだ答えが欲しいのか?
その辺りはどうでしょうか?」
「…正直分かりません」
良い返事をもらえるのであれば…彼から求めてくれるならそれに越したことは無い。
でもそれは望めないだろう…
私が彼に目をつけて、共犯にしようとした理由がそうだったのだから…
「ふむ…とりあえず、その《彼》と話をしてみる必要がありそうですな。
アンネ嬢。そのお話は私にお預けいただいてもよろしいでしょうか?」
少し迷ったが、せっかくの卿からの申し出だ。それに、この機会を逃したら、今後そんな機会は無いように思えた。
「卿にお任せいたします」
無責任だが、全てを他人である卿に委ねた。
「それで、相手とは誰なのでしょうか?」
「…アダムです、アダム・マクレイ。このお屋敷で働いている元オークランド人です」
私の返事を聞いた大ビッテンフェルト卿の驚くような息を飲む気配が伝わる。
彼はこの土地とお屋敷で匿われている人物だ。勧められないというのが本音だろう。
それでも、一度は引き受けた話だ。
卿も言いたいことはあったろうが、それ以上追求せずに、自らの言葉を曲げることもなかった。
難しい役を引き受けてくれた卿にお礼を述べて、部屋を後にした。
少し泣いて、話をしたことで、私の心は少しだけ軽くなっていた。
✩.*˚
お客様をお見送りして、厩舎に積まれた馬の寝藁の上に転がった。
とりあえず、誕生会は多少想定外の事件はあったが、大きな問題はなく終わって安心した。
藁に沈む身体は疲れていて重かった。少しだけ休憩するつもりで藁のベッドでまどろんでいると、馬の嘶く声と仕切り板を蹴るような音で目が覚めた。
アイリスに呼ばれているとすぐに気付いた。
なんだろう?
身体を預けていた藁のベッドから起き上がると、来客と鉢合わせした。
「何だ、そんなところにいたのか?」
相手は驚いた様子だったが、私も相手を見て驚いた。
「だ、大ビッテンフェルト卿…何故このようなところに…」
「うむ。昼間に見た仔馬をまた見たくなってな…あれはなかなか良い仔馬だった」
卿はナハトを見に来たらしい。
アイリスの陰に隠れていたナハトを呼ぶと、警戒心と好奇心でせめぎ合っていた仔馬は母親の陰から顔を覗かせた。
「珍しい毛色の仔馬だな。青毛はそこまで珍しくないが、この薄く斑の混じった毛並みは初めて見た」
「父親は白馬ですが、この子に似たような模様があります。おそらくそれを受け継いだのでしょう」
「ほぅ…父親は良くは知らんが、この子は父親にも似ているのだな」と感心しながら、卿は馬房の親子に向けて手を伸ばした。
アイリスは人懐っこく卿の手に鼻面をよせたが、仔馬は知らない人に触られるのを嫌がった。それを見て、卿は少し陰った笑みを仔馬に向けた。
「知らない人間は嫌か…そうだな、賢い子だ…」
その含みのある独り言は寂し気だった。その姿を見てこのままお帰り頂くのは良くないように思えた。
「少しお待ちください」と言い残して、裏の畑に走った。
小さなカボチャを一つ刈り取って厩舎に戻り、適当に砕いたカボチャの欠片を卿に渡した。
カボチャを見たナハトが尾を振りながらアイリスの陰から出てきた。
「これが好きなのか?」
「えぇ。先日初めて食べさせたら気に入ったようです。ナハトの大好物なんです」
本当は先日脱走したときに畑で味を覚えてしまっただけだが、それは言わぬが花だ。あまりに無心になって食べていたので、余程気に入ったのだろう。
大ビッテンフェルト卿の手から大好物のカボチャを貰って、ナハトはすっかり警戒を解いていた。
「素直な可愛い奴だ」と卿も満足そうに喜んでいた。
「俺と息子の話は聞いているか?」と卿が急に口を開いた。私は知らないと首を横に振った。
「俺とワルターが親子になれたのは割と最近の話でな。元々は会う事すらままならなかった。
初めてあいつを抱いた時には、いきなり現れた知らない男にびびって泣いて嫌がられた…
なんとなく、この子を見てそんなつまらない事を思い出してな…」
卿はそう言いながら、ご機嫌で口をもごもごさせているナハトを撫でていた。
カボチャを持ってきた判断は正解だったようだ。
先日旦那様が来た時に何やら言っていたが、人の過去などそれぞれだ。
私だって人の事をあれこれ言うほど胸を張って話せるような過去は持ち合わせていない。
「ワルターは人に恵まれているようだ。これからも息子を頼む」
卿の言葉は本心からのようで、私の仕事を認められているような気がした。
ナハトも大好物をくれた卿を気に入ったようで、期待の眼差しを向けながら懐っこく顔を摺り寄せている。
「ところで、アダム。お前さんはまだ独り身か?」
「えぇ、まぁ…」突然降って湧いた話に言葉を濁して答えた。卿は私の返事に「そうか」と頷いた。
「まあ、独り身が悪いとは言わんがな。それは相手がないからか?」
はは、と笑って「そんなところです」と答えた。
「私はオークランド人です。しかも、騎行の片棒を担いだ人間です。私と本当にご縁を持ちたいご婦人などいらっしゃいませんよ」
「そんなことは知っている。俺もその場にいたんだ。
尤も、お前の要求と助命の勧告を蹴ったのも俺だがな」
卿は暗い話題を追い払うように明るい大きな声で笑った。驚いたナハトがアイリスの後ろに隠れるほどの音量だ。
「おぉ、すまんな、チビ助。
しかし、アダムよ。お前さんはここに来てもう4,5年は経つだろう?既に十分罪を償ってきたはずだ。それに、ロンメル男爵夫人の学校を作るのにも協力した。そろそろ自分を許してもよかろう?」
「足りません…私はこの罪で多くの命を奪ったのです。しかも、騎行で失われた命のほとんどが無辜の民です…
男だけではありません。女性や老人、子供もいました…
ルフトゥ神に祈る村人も居ました…私は誰も救えませんでした…
それを考えれば、私の人生一つで償いきれるものではありません」
騎行の悪夢は私にとって忘れることのできない記憶だ…
「なるほどな…では、お前さんは人として生きることを諦めるつもりかね?」
「…それは」
「アダム。お前さんの考えは尊い。しかし、人としては未熟だな。
俺も傭兵団の団長だった男だ。もしかしたらお前さんより業が深いやもしれんし、人を殺した数なら、俺の方が多いかもしれん。
だが、俺は人として、残りの人生が幸福で満たされることを望んでいる」
老人の言葉はゆっくりと深い声で古傷だらけの心に沁みた。
「さっき、俺はワルターと親子になれたのは最近だと言ったな。
自慢じゃないが、俺の人生は胸を張って幸せだったといえるようなもんじゃなかった。半分は他人のせいだが、残りの半分は俺の責任だ。俺が素直になれば、我儘になれたら、違う人生があったはずだ。
息子たちを俺の不幸に巻き込んだのも、俺の責任だ…
だがな、過去には戻れん。過去は変わらん。なら、願う事はひとつだろうが?」
自嘲するように鼻で笑って、卿は「まだ先はあるだろう?」と私に言葉を投げかけた。
「口の悪い親友の言葉を借りるなら、『悩みなんて金にもならねぇものに使う時間があるなら、酒飲んで、女でも買いに行け!そんでもってきれいさっぱり全部忘れちまえ!』ってやつだ。
まぁ、それは極端な考えだが割と真実だな。
答えの無い問題に囚われていては、目の前の幸せにすら気付くことも楽しむことはできないだろう?
過去に囚われて足を止めるには、お前さんはまだ若すぎるだろう?」
卿の話は難しいものでは無かったが、それに頷くことも難しかった。
「卿のお考えは良いものだと思います。しかし、私はこれからも私の罪に向き合いながら生きるつもりです」
「強情な男だ…」と呟いた老人は大き目なため息を吐いて苦く笑っていた。それでも、その苦い笑みには悪い感情は感じられなかった。
「お前さんも男だろう?好いた女はないのか?」
「分かりません。そういうものに疎いもので…」
「一人もないのか?」と卿は私の返事に眉を顰めた。
「私は聖職の騎士でしたので…ご婦人とはご縁がありません」
「…ちょっと、待て…四六時中神殿にいたわけでは無かろう?一度ぐらいあるだろう?」
「ルフトゥ神は女性との交わりを望まない神です。清貧は聖騎士にとって誇るべきことであり、童貞もまた褒められることです」
私の返答に、それまでお喋りだった老人は言葉を忘れたように口を閉ざした。それと比例するように、私に向けられた目は大きく見開かれて、稀有な生き物でも見たような顔をしていた。
どうやら私は、卿の長い人生の中でも稀有な人間だったようだ。
確かに騎士団の中の全員がそうであったわけではない。中にはこっそりと女性を求める者も少なからずいた。だが、大っぴらにできるわけもなく、あくまでこっそりとだ。
それでも少なからず、神の望みに従い清貧を貫く人物はいた。
「…これは…難しいな…」と、卿が小声で呟くのが聞こえた。
もしかして、誰か薦めたい縁組でもあったのだろうか?それとも旦那様から頼まれたのだろうか?
「…いや、まぁ…それならそれで…
アダム。今一度確認するが、お前さんは好いた相手はないのだな?」
「はぁ、まぁ、そうですね」
私の気の抜けた返事に、卿は頷いて手を打った。その音でまたナハトが驚いて跳ねたが、卿はそんなことには気付いてないようだ。
「ならばよし」と、何やら納得した様子で引き上げていく卿の背中をポカンとしながら見送った。
一体なんだったのだろうか?
あの質問に対する答えを間違えたような気がして仕方なかった。
「ブルル」
小さな嘶きに呼ばれて振り返ると、ナハトが馬房から顔を出して、私の方に顔を伸ばしていた。
残っているカボチャのおねだりらしい。
残っていたカボチャの欠片を仔馬の口元に運んでやると、嬉しそうにムシャムシャと食べていた。
「アイリス。君もどうですか?」と、母親にもカボチャを差し出した。彼女は可愛い息子のために我慢していたようだ。
差し出されたカボチャを頬張って満足した彼女は、礼を言うように嘶くと顔を擦り寄せて甘えた。
長い馬の顔を撫でると、彼女は嬉しそうに目を細めて私を受け入れてくれた。
好きな女性か…
大ビッテンフェルト卿の言葉を思い出すと苦い笑みがこぼれる。
そんな相手がいたとしても、私から求めることはないだろう。
それに応じてくれる人も居るはずがない。
私は冴えない面白味もない男だ。それは誰よりも自分がよく知っている。
私には土に汚れて畑を耕したり、馬の世話をする方がお似合いだ。それに、その方が私の性にも合っている。この屋敷の住人も、責任もないこの気楽な生活を気に入っている。
ブルル、とどこからか不満そうな声が聞こえて顔を上げた。
アイリスの隣の馬房で、つるした水の桶を鼻先でつついているザラの姿があった。水が少ないから催促しているようだ。
「今すぐ用意しますよ」と答えて、桶を持って井戸に向かった。
✩.*˚
夕餉の後に話があると、テレーゼと二人で親父に呼ばれた。
俺はてっきりフィーのお転婆に対する指摘かと思っていたが、それでは無かったようだ。
「アンネ嬢の事です」と親父は単刀直入に話を切り出した。
「アンネ嬢がテレーゼ様に長くお仕えしているのは私も存じております。非常によくできた侍女と思っていますし、彼女の代わりが無い事も理解しております。
しかし、だからこそ、そろそろアンネ嬢の幸せを考えてやるべきではないでしょうか?」
急にこんな話が出て俺もテレーゼも困惑した。
アンネの事は俺たちも気にしてなかった訳じゃないが、本人にその気がないからどうしようもない。
「あの…それについては私たちも心配していますが、本人が受け入れないので、本人に任せているのです。もしアンネにそのような方がいらっしゃれば、私たちも喜んで受け入れるつもりでいます」
「アンネが一緒になりたいっていう奴がいれば、余程じゃない限り反対なんてしねぇよ」
俺たちの返事を聞いて、親父は「なるほど」と頷いた。
一体何を考えているのかと思っていると、親父からの提案に驚かされた。
「では、私が仲人として名乗り上げても問題はありませんかな?」
「は?仲人?」
何でそんな話になる?急すぎるし、意味が分からん!!
益々困惑する俺たちを他所に、親父は勝手にアンネの縁談の話を進めた。
「もちろん、アンネ嬢の希望を無視して無理やり相手を用意するような無粋な真似は致しません。
ブルームバルトやテレーゼ様から引き離すのも論外です。それは彼女のためにもロンメル家のためにもなりません。
あくまで、彼女の納得する相手で、ロンメル家の益になるようなそんな相手を選びますのでご安心ください」
親父は自信ありげだが、俺とテレーゼは言葉を交わさずに視線で意思を確認した。アンネはテレーゼの侍女だ。彼女の事を決めるのは結局は主人であるテレーゼだ。
「あの…お義父様がそのように仰っていただけるのであれば、私としては異論はございませんが…」
「何かご心配でしょうか?」
「アンネが何とお返事するか…せっかくのお義父様の申し出でも受け入れられないかもしれません」
「それでしたらご心配なく。アンネ嬢には『卿にお任せします』と了承を得ています」
「アンネが?」
今まで頑として縁談を受け入れなかった彼女が、よく親父に『任せる』って言ったもんだ。逆に親父だったからよかったのだろうか?
「えぇ。ですので、この際私にお任せいただけないかと…
まぁ、もちろんお二人のご協力も必要ですし、ロンメル家の家人の事という事もあり、お二人にお伺いを立てたというわけです」
親父の話は俺たちにとっても悪い話じゃない。アンネの満足いく形にするというし、断る理由は無い。
テレーゼも窺うように俺の顔を覗き込んで返事を待っていた。
「お前が良いなら俺はそれでいいよ」と答えると、テレーゼもこの話を受けることに決めたらしい。
「あの…お義父様。失礼ですが、アンネのお相手とはどなたなのでしょうか?」
「ご安心下さい。彼はお二人がよく知る人物です」と親父は笑顔を作って答えた。
「なかなか良い男です。アンネ嬢とは少し歳は離れているかもしれませんが、それも良いでしょう。彼女は落ち着いていますし、あまり落ち着きのない若者より合うはずです。
女性慣れはしてないですが、まぁ、それも少しずつ慣れればよいかと思います。彼自身はおおらかですし、親切で気が利く男です」
ヒントのつもりだろうか?
回りくどい言い方をしながら、親父はアンネに薦める相手の人となりを語った。
その後、しばらく親父の謎々を聞いて、テレーゼが「あっ!」と思いついたように声を上げた。
驚いていた彼女は表情を変えると、今度はクスクスと笑い始めた。
何か分からない俺に、彼女はこっそりと耳打ちして答えを教えた。
「はぁ?…嘘だろ?」彼女の出した名前に耳を疑ったが、冗談でもなさそうだ。
あいつ…エライことになったな…
腹の中で少しだけ厄介事に巻き込まれた男に同情した。
✩.*˚
「久しぶりだな」と、古い友人と挨拶を交わして、お互いを確認するようにハグをした。
縮んだな、などと余計な感想を持ったのは俺だけじゃなかっただろう。お互いに過ぎた時間を感じた。
ロンメルの屋敷の空き部屋にゲルトの荷物を運びこんで、親友と二人で積もる話をするために俺の泊まっている部屋に招いた。
引退を決めた親友を労って酒を飲んでいると、フィリーネ様を連れたワルターが部屋を訪ねてきた。
「お爺ちゃん、いらっしゃい」
「おう、お嬢ちゃん。今日から俺はここに住むからよろしくな」
「いいよ。お爺ちゃんも一緒に遊ぼうね」
厳めしい面構えの爺さん相手に、フィリーネ様は友達みたいな事を言ってゲルトを喜ばせていた。
「何だ?何でお前にそんなに懐いてるんだ?」
「このお転婆姫とはたまに遊んでやってるからな」と答えながら、ゲルトはフィリーネ様を抱っこして膝に乗せた。
「なかなか体力あるお転婆姫だから、爺さんには大変な仕事だぜ。
『馬に乗せろ』だの『騎士ごっこする』だのなかなかだぞ」
「それは…なんか、すまんな…」
「まぁ、俺としてはおままごとよりそっちの方が助かるがな」
そう言ってゲルトは上機嫌で笑って、ポケットから何かを取り出してフィリーネ様に渡した。
「ほら、俺から5歳のお祝いだ」
「わぁ!お馬さん!」子供の甲高い声で歓声を上げて、フィリーネ様が嬉しそうに受け取ったプレゼントを掲げて見せた。
「お父様見て!お馬さん!お馬さんの首飾り!」
「へぇ。良い物もらったな。ちゃんとゲルトにお礼言いな」とワルターはフィリーネ様に返していたが、それを見て俺は頭を抱えた。
「…ゲルト、それは男の子のお守りだぞ…」
「そうなのか?店の親父はそんなこと言ってなかったがな?」
「これ何なんだよ?」
「落馬しないようにするための乗馬のお守りだ。男の子が馬に乗り始めた時に身に着けるもんだぞ」と教えると、ワルターとゲルトは驚いた顔をしていたが、フィリーネ様は目を輝かせて喜んでいた。
「そうなの?じゃぁ、これあったらお馬さん乗れるね!」と、馬に乗れる免罪符を手に入れたフィリーネ様は大はしゃぎだ。
終いには「みんなに見せてくる!」と言い残して走り去って行った。
女の子でスカートを履いているのに、フィリーネ様は信じられないほど素早い。まるでリスか野兎のようだ。
呆気に取られて出遅れたワルターもお転婆姫の後を追いかけて部屋を出て行った。
「そういや、買う時には男とも女とも言わなかったな…
あの嬢ちゃんが『お馬さん欲しい』って言うからよ、俺も『馬が好きな子供』としか言わなかったんだ」
「せめてそこははっきりしておけ」と苦言を呈したが、ゲルトは面白がるようにニヤニヤと笑っていた。
「あのお転婆も男だったら将来有望だったろうにな」
「そのうちお転婆も落ち着くだろう?
このまま育てば将来は母親と同じく絶対美人になる。今でさえ心配になるくらい見合い話が絶えなくてな。ワルターの奴も気が気じゃないようだ」
「そりゃまた贅沢な悩みだな」
「確かにな」
「まあ、美人だからって誰もが欲しがるわけじゃない。誰とは言わねぇがな…
性格の方が大事だ。お嬢ちゃんは良い子だ」
「耳が痛いな…」
「お前の抱えた問題だが、悪いのは全部あの女だ」と自分から言い出したくせに不機嫌になったゲルトは空になったグラスに酒を注いだ。
「まったく、思い出すだけで胸糞だ。俺の《黒腕》に歯形まで付けやがって…
思い出せば腹の立つことばかりだ。あのクソ女の事なんて酒で流しちまえ」
「酒とは便利なもんだな」と笑って新しく注がれた杯を勢いよく飲み干して、あの女の事は忘れることにした。
「ついでだ。ちょっと相談していいか?」
「何だ?悪い話なら聞かねぇぞ」
酒に手を伸ばしながらゲルトが面倒くさそうに先に断りを入れた。彼の手にした酒瓶はわずかな酒を吐き出して事切れた。新しいものを用意するようにウェリンガーに指示してゲルトの機嫌を取った。
ゲルトは今まで幾度も俺の悩みを解決してきた親友だ。やり方は荒っぽいが、あいつの言う事は最短距離で的を得ている。
まぁ、端折りすぎて横着とも思えることもあるのだが、その辺は俺が上手く調整すればいい。そんな気持ちでゲルトに意見を求めた。
「結婚の世話をすることになってな」
「つまらん。俺には関係ないだろ?」
「まぁ、聞け。それが、女の方は問題ないが、相手の男が少し難しくてな…
真面目だし悪い男じゃないんだが、女に興味が無いそうだ。それどころかまぁまぁいい年齢なんだがご婦人との経験が無いらしい」
「そんなん、別のまともな男紹介しろ」とゲルトは手厳しく問題を一蹴した。彼の言う事はその通りなのだが、そういうわけにもいかない。
「いや、彼女はその男に惚れてるらしいからその男じゃなきゃダメだ」
「馬鹿か?何でそんな面倒な世話を引き受けた?お前の娘じゃあるまいに…」ぶつくさと文句を言いながら、彼はウェリンガーから受け取った新しい酒を二人分のグラスに注いだ。
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「かかわるのも面倒だけどな、お前が引き受けたってんなら仕方ねぇ…
女にはそいつが良いって言ってんなら、その男をその気にさせたらいいんだろ?」
「まぁ…そうだな」
「酒で酔わせて、その女の部屋にでも放り込んどけ。それで終いだ。ついでにドアに釘でも打ち付けとけ」
ゲルトの暴論に仰天したが、親友は割と本気で言っているらしい。
「何にもなけりゃそれでいいし、なんかあっても女が了解しているならそれでいいだろ?その男だって、まさか女の部屋で一晩同衾して責任も取らないような男じゃないんだろ?」
「いや…まぁ、そうだが…少しやりすぎじゃないか?」
「文学的だろ?」と皮肉った男はニヤニヤしながら酒を飲みほした。
確かに神話の中にそんな一節があった気もするが、文学的というには荒っぽすぎるやり方だ。
神話の話を真似て嵌められるとなれば、アダムにとって何という皮肉だろう…
「無茶苦茶だな…」
「ふん。俺よりまともな案があるなら言ってみろよ。
尤も、それがないから俺みたいな碌で無しに話を持ってきたんだろうが?
お堅い常識的な考えじゃ解決しないなら、暴論でも試してみるんだな」と偉そうにふんぞり返ってゲルトは皮肉っぽい顔で笑っていた。
いや、違うな…こいつはこういう顔だ…
「手伝う奴が必要だ」
「当てならあるだろ?金次第で何でもする奴らだ。何なら仲介料もらって俺が紹介してやろうか?」とゲルトは俺をそそのかした。
まぁ、あの男が頷かないなら多少強引だがそれもありかもしれん。
全く、悪い友人を持ったもんだ。
言いたい放題言いまくっていた男はそろそろ酔いが回ってきたようだ。
「本当に…女に関わると碌なことがねぇんだ…」と、ぼやく姿がどこか懐かしい。
そういえば、随分昔にこうやって二人で愚痴をこぼしていたのを思い出す。
女に振り回されて散々だったが、支えてくれる親友と、愛すべき子供たちがいたから踏ん張れた。
しんどいことも多かったが、今が幸せならそれで満足すべきだろう。
親友の注いだ酒を手に、乾杯の仕草をして一気に飲み干した。親友の注いだ酒は、自分の注いだ酒より美味く、心地よい酔いが身体を巡った。
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