16 / 82
十五話 顔しか見てないのはそっちだろ
しおりを挟む
俺の質問に対し観月はしどろもどろになりつつも答える。
俺が彼女の事を顔で好きになり、槍坂が彼女を性格で好きになったと思った理由。
「……っその、あの人は色んな女の子に告白されていますから…それでも、敢えて私を選んだのは…もしかしたらちゃんと性格を見ようとしているから、と思ったといいますか…」
それはつまりあの人がモテるから…と言っているのと同義だな。
加えて自分の性格が良いとも…それを分かっているのだろうか?
「つまり自分の性格は良いから、やっと気付いてくれる人がいたとでも言うのか?それに、その言い分だと結局あの人がモテるからって言ってるのと変わんねぇけど」
「うっ…」
喋れば喋るほどボロが出てばかりだな、話にならないので俺としてはさっさと正直に言って終わって欲しいんだが。
「結局 顔なんじゃねぇの?顔とかモテるとか、そういう印象でしか決めてない、つまり観月さんも人を見た目でしか判断してないってことにしか思えないんだけど?」
それが真理なのだろう、胸に手を当てて俯いている。否定さえしないということは……そういう事なんだろうな。
「それは…」
「間違ってないよな?」
そう言っても彼女は返事をしない。もう面倒なので話を終わらせようか。
「観月さんと俺って、まぁまぁ長い時間過ごしてたよな?」
「…はい」
「同じ本の話題で話したり笑ったりして、それが俺たち二人の内緒の時間って感じで、楽しかったんだよ…俺は」
あの時、二人で笑い合った時間というのは掛け替えのないものだ。
凄く楽しい時間で、幸せだったとも記憶している。だから俺は観月を好きになったんだ。
笑顔でいる時間が長ければ長いほど、それが尊いものだとそう感じるはずだ。
「皆が観月さんとあまり関われない中、俺だけがアンタと一緒に笑ってた。そんな特別な感じが嬉しかったんだよ、だから好きになったんだ…アンタは違ったみたいだけどな」
「っ…それは…」
でもそれは俺の独り善がりだったのかもしれない。
彼女は俺と距離を置くためにあの男を紹介してきた。
あれだけこき下ろされて嫌な気分になったし、もし他の人間が彼女の立場だとして、あの場面に直面すれば誰だってあの男を止めるはずだ。
だって自分の友人に暴言を吐くわけだからな、本来ならば不愉快なはずだ。
「結局アンタも、人を顔で見てたんだよ。だからロクに関わったこともないあの男とあっさり付き合ったんだろう?」
「ちっ違います!だって私……私は…」
目に見えて狼狽しているし何か弁明しようとしているが、みるみるうちにその顔色は悪くなる。
「間違ってないだろ?アイツとも付き合ってないとか、アイツが特別な関係で付き合ったとかならともかく、そうでもなかった。そんな人間に告白されてコロッと靡くようなら、アンタはその程度の人間ってことだ。あんな風に平気で人を貶すような人と付き合っていたんだからな」
「あぁ…ぁぁぁ…」
目に涙を浮かべ、両手を口元に添える。
何かを悲しむような、後悔するような…いずれにせよその胸中は暗いものだろう。
しかし今の今まで自分が何をしていたのか分かっていないのだから自業自得だろう。
自分が外見で見られたくないと思っているのに、当の本人が人を外見で判断していたのだから。
「そんな、つもりじゃ…っうぅ…」
「泣いても笑っても事実なんだよ、そうじゃなきゃアンタの行動に説明つかないだろ」
彼女がどういうつもりかは知らない。
だがどんなつもりでもないというのなら、俺の言っていることは間違いではないはずだ、彼女が自覚していないだけで…ね。
その証拠に酷く狼狽しているのだから。
「いい加減認めなよ、観月さんは樹くんを突き放したんだし、しかもあの先輩を連れてきて樹くんがバカにされてるのに止めたりもしなかったよね?今更別れたのも自分が体で見られてるからでしょ?別に樹くんが悪く言われたなんて、そんなの後付けだよね?」
「違います!」
狼狽している彼女を見ていられなかった紗奈さんが冷たく言い放つが、それを観月が強く否定する。
しかしその否定は、彼女自身の行動によって信用できないものとなっている。
「違かろうが正しかろうが他ならないアンタのやったことでそう思うしかないんだよ、アンタ自身の態度がなにより物語ってるんだからな」
「それはぁ…ごめんなさいぃ…」
先程よりも大粒の涙を流し涙声で謝っているが、いたたまれない気持ちになってくるので早く終わらせる。
「そういう事だよ、観月さんがなんて言おうと俺はどうしても疑っちゃうわけ。それに距離を置こうと言ったのもアンタだろ?だからもう話は終わりだよ」
彼女の返事を待たずに踵を返す。
「まっ、待って…樹く」
「じゃあな」
これ以上時間をかけると俺のメンタルに異常が出てしまう。
一度頭を冷やして自分のした事がどういうことかきちんと理解して欲しいものだ。
俺が彼女の事を顔で好きになり、槍坂が彼女を性格で好きになったと思った理由。
「……っその、あの人は色んな女の子に告白されていますから…それでも、敢えて私を選んだのは…もしかしたらちゃんと性格を見ようとしているから、と思ったといいますか…」
それはつまりあの人がモテるから…と言っているのと同義だな。
加えて自分の性格が良いとも…それを分かっているのだろうか?
「つまり自分の性格は良いから、やっと気付いてくれる人がいたとでも言うのか?それに、その言い分だと結局あの人がモテるからって言ってるのと変わんねぇけど」
「うっ…」
喋れば喋るほどボロが出てばかりだな、話にならないので俺としてはさっさと正直に言って終わって欲しいんだが。
「結局 顔なんじゃねぇの?顔とかモテるとか、そういう印象でしか決めてない、つまり観月さんも人を見た目でしか判断してないってことにしか思えないんだけど?」
それが真理なのだろう、胸に手を当てて俯いている。否定さえしないということは……そういう事なんだろうな。
「それは…」
「間違ってないよな?」
そう言っても彼女は返事をしない。もう面倒なので話を終わらせようか。
「観月さんと俺って、まぁまぁ長い時間過ごしてたよな?」
「…はい」
「同じ本の話題で話したり笑ったりして、それが俺たち二人の内緒の時間って感じで、楽しかったんだよ…俺は」
あの時、二人で笑い合った時間というのは掛け替えのないものだ。
凄く楽しい時間で、幸せだったとも記憶している。だから俺は観月を好きになったんだ。
笑顔でいる時間が長ければ長いほど、それが尊いものだとそう感じるはずだ。
「皆が観月さんとあまり関われない中、俺だけがアンタと一緒に笑ってた。そんな特別な感じが嬉しかったんだよ、だから好きになったんだ…アンタは違ったみたいだけどな」
「っ…それは…」
でもそれは俺の独り善がりだったのかもしれない。
彼女は俺と距離を置くためにあの男を紹介してきた。
あれだけこき下ろされて嫌な気分になったし、もし他の人間が彼女の立場だとして、あの場面に直面すれば誰だってあの男を止めるはずだ。
だって自分の友人に暴言を吐くわけだからな、本来ならば不愉快なはずだ。
「結局アンタも、人を顔で見てたんだよ。だからロクに関わったこともないあの男とあっさり付き合ったんだろう?」
「ちっ違います!だって私……私は…」
目に見えて狼狽しているし何か弁明しようとしているが、みるみるうちにその顔色は悪くなる。
「間違ってないだろ?アイツとも付き合ってないとか、アイツが特別な関係で付き合ったとかならともかく、そうでもなかった。そんな人間に告白されてコロッと靡くようなら、アンタはその程度の人間ってことだ。あんな風に平気で人を貶すような人と付き合っていたんだからな」
「あぁ…ぁぁぁ…」
目に涙を浮かべ、両手を口元に添える。
何かを悲しむような、後悔するような…いずれにせよその胸中は暗いものだろう。
しかし今の今まで自分が何をしていたのか分かっていないのだから自業自得だろう。
自分が外見で見られたくないと思っているのに、当の本人が人を外見で判断していたのだから。
「そんな、つもりじゃ…っうぅ…」
「泣いても笑っても事実なんだよ、そうじゃなきゃアンタの行動に説明つかないだろ」
彼女がどういうつもりかは知らない。
だがどんなつもりでもないというのなら、俺の言っていることは間違いではないはずだ、彼女が自覚していないだけで…ね。
その証拠に酷く狼狽しているのだから。
「いい加減認めなよ、観月さんは樹くんを突き放したんだし、しかもあの先輩を連れてきて樹くんがバカにされてるのに止めたりもしなかったよね?今更別れたのも自分が体で見られてるからでしょ?別に樹くんが悪く言われたなんて、そんなの後付けだよね?」
「違います!」
狼狽している彼女を見ていられなかった紗奈さんが冷たく言い放つが、それを観月が強く否定する。
しかしその否定は、彼女自身の行動によって信用できないものとなっている。
「違かろうが正しかろうが他ならないアンタのやったことでそう思うしかないんだよ、アンタ自身の態度がなにより物語ってるんだからな」
「それはぁ…ごめんなさいぃ…」
先程よりも大粒の涙を流し涙声で謝っているが、いたたまれない気持ちになってくるので早く終わらせる。
「そういう事だよ、観月さんがなんて言おうと俺はどうしても疑っちゃうわけ。それに距離を置こうと言ったのもアンタだろ?だからもう話は終わりだよ」
彼女の返事を待たずに踵を返す。
「まっ、待って…樹く」
「じゃあな」
これ以上時間をかけると俺のメンタルに異常が出てしまう。
一度頭を冷やして自分のした事がどういうことかきちんと理解して欲しいものだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる