四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても

SAKADO

文字の大きさ
55 / 82

五十三話 家族と彼女と

しおりを挟む
「樹、お父さんに会わせてらっしゃい」

「うん。 おいで、紗奈さなさん」

 彼女の手を引いて父さんの場所へ行く。
 そこに着いた俺は彼女と共に正座して 手を合わせた。

 今では亡くなった父さんに挨拶ができる唯一の場所。
 仏壇を前にした彼女は静かに自己紹介をしてくれた。嬉しいものだよ、こういうのは。

「……ありがとう紗奈さん」

「ううん、こっちこそありがとうだよ。お父さんに紹介してくれて嬉しい。ありがとね」

 それは当然というものだが、敢えてそれは言わずにその感謝を受け取った。
 今度 紗奈さんのご両親に合わせてもらったら俺からもしっかり感謝させてもらおう。

 仏壇のある部屋を後にてしリビングに戻り、紗奈さんにお茶を出して椅子に座ってもらった。
 しまった、せっかく紗奈さんを呼ぶのならジュースくらい買っておけばよかった!ちょっと後悔……

「ところでさ、さっきの話だけど…紗奈ちゃんが樹を捕まえてくれたんでしょ?きっかけ教えてよキッカケ!」

 興奮した様子で姉ちゃんがそう言った。まったく落ち着きなさいよもう…
 でも紗奈さんは嬉しそうだ、母さんも昼食の用意をしながらチラチラとこちらを見ているので気になるのだろう。

 紗奈さんがその話をすると、姉ちゃんが目を見開かせて俺を見た。

「いやぁ…まさかアンタ、いつの間に紗奈ちゃんに好かれてたのさ?失恋から新しい恋とかなんか素敵じゃない」

 素敵なの?イマイチ俺には分からないが、それでも好かれていたのは嬉しいことだ。
 紗奈さんが俺を好きになった理由を話す。
 最初の出会いと、再会したの時の話。

「はぇー…そりゃ凄いね。長いこと秘めていた想いがそんな形で報われるとか、それどこの恋愛漫画?ってか樹がそんなイケメンムーブかますなんて……アタシビックリだわ」

「そうなんですよ!ほんとに素敵なんです♪」

 姉ちゃんの感想に紗奈さんが嬉しそうに返した。その頬は朱に染まっている。
 目の前でこんな話をされて照れてしまうところはあるが、それでも嬉しいものだ。

「ところで二人は……もうシたの?」

「ちょっ…!」

 姉ちゃんが変な質問をしやがった。そういうデリケートな問題に触れるんじゃないよ。ニヤニヤしちゃって。

「……はい♪」

 そんな質問に頬を朱に染めた紗奈さんが伏し目がちに答えて横目でこちらを見た。
 その姿があまりにも可愛らしく思わず頭を撫でてしまった。

「へぇ…随分と進んでるのね。羨ましいわぁ……ところで紗奈ちゃん、コイツの写真とかってあるの?例えば、ちょっとだけセクシーなやつとか」

「姉さん?」

 気でも狂ったか、姉ちゃんがバカなことを言い始めた。ないとは思うけど、それでも、そんなものを期待しないでほしい。

「ありますよ、えーと……」

「紗奈さん?」

 俺の思いとは裏腹に紗奈さんはそう言ってスマホのアルバムを物色していた。
 えっ?あるの?ってかなにしてんの見せないでよね?

「あっ!そーそーこれです!ほらっ♪」

 何かいい写真を見つけたであろう彼女がそう言ってスマホの画面を姉ちゃんに見せた。
 姉ちゃんはソレを舐め回すようにじっくりと見ている。

「おぉ……こッこれは……素晴らしい」

「気持ち悪いわ刹希さつきちゃん」

 そんな姉ちゃんの様子を見た母さんが辛辣にそう言った。いいよ母さん、もって言って。

「でっでもこれは!……連絡先教えとくからあとでアタシにも頂戴」

「いいですよ」

「ちょっと、待ってよ なになに 何の写真なのさ!」

 俺がそう言うと紗奈さんがソレを見せてくれたのだが、その写真はいつしか彼女を抱いたあとの俺がズボンを履いて上半身が裸の状態だった。
 いつの間に撮ってたの気付かなかったんだけど。

「いやぁ、弟ながらいい身体してるわ。鍛えてるのは知ってたけどまさかここまでいい身体なんて……ゴクリ」

「姉さん?」

 姉ちゃんが言い終わると同時に俺の胸辺りを見て喉を鳴らした。顔を赤らめるんじゃないやめろ。

「ってかなんでわざわざ俺の写真そんなのなんて見たがるんだよ、姉だろうよ」

「いや姉だからよ、姉たるもの常に弟の成長記録はとっておかないと」

「刹希ちゃんは昔からブラコンだものねぇ」

 やめてブラコンとか言わないで聞きたくないから。ってか母さんもなに笑ってんだよ止めろ。
 しかも成長記録ってなに?母さんならまだしも姉ちゃんがやる意味がわからないしそもそも身長体重とかだけでよくない?
 それをなにあの写真で鼻息荒くしてしれっと正論っぽく言ってるの?

「だから、アタシはアンタの身体を知っておく義務があるの。決して変なことに使わないから安心して、紗奈ちゃんとの秘密」

「そうですね。さすがにあんまりエッチなのダメですけど、これからも定期的にこういうの送りますね」

「ありがとう!」

 そんな紗奈さんの提案に姉ちゃんが彼女の手を握って感謝していた。ナニコレ?

「ふふ、諦めなさい樹」

 いつの間にか母さんが後ろにやってきていて困惑している俺の両肩に手を置いてそう言った。
 なんと無情な……

「さっ、ご飯にしましょう。紗奈ちゃんの分もあるから食べてってね♪」

「ありがとうございます♪」

 変なことはあったものの、ちゃんと紗奈さんが受け入れられているようで。
 俺はそんな光景を見てさっきまでの変な気持ちは吹っ飛んで嬉しい気持ちでいっぱいになった。

「嬉しそうじゃん」

「当たり前だよ」

 そんな俺を見た姉ちゃんがニヤニヤしてそう言ったので堂々と返した。
 姉ちゃんは俺の頭をそっと撫でて返事をするのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...