四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても

SAKADO

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五十四話 姉から見たあの時

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「ごちそうさまでした♪」

「いえいえ、お粗末さま」

 昼食を食べ終わった紗奈さなさんが元気に言うと母さんは凄く嬉しそうにしていた。
 母さんは料理を美味しそうに食べる彼女を見ていたく気に入ったみたいだ。俺としても嬉しい。

「紗奈ちゃんは何時までウチに入れるのさ?」

「えっと……」

 多分夜まで居られるんだろうが、俺が必ず紗奈さんを家まで送り届けることを知っていて遅い時間までウチにいて良いか決めかねているのだろう。気を遣わなくていいのに。

「もしよかったら夜までいてよ、俺が送るからさ」

「えっ、じゃあお願いします……」

 俺がそう言うと彼女は頬を赤く染めてそう言った。せっかくだしね。
 それを聞いた姉ちゃんと母さんが嬉しそうにうんうんと頷いている。

「じゃあゆっくりしていってね。あっそうそう、それなら私は買い物行ってくるわね」

「「行ってらっしゃい」」

「あっ、と……い、いってらっしゃいです!」

 出かける母さんに ハモった俺と姉ちゃんに続いて紗奈さんも遠慮がちに言った。
 それを見て母さんが ふふっと笑った。


「さて、樹にゃ悪いけどちょーっとだけ紗奈ちゃんと二人きりで話してくるわ」

「は?え?」

 母さんが出ていってしばらくして姉ちゃんがいきなりそんな事を言い出した。変な声を出してしまったし紗奈さんも困惑している。
 そんな俺たちをよそに姉ちゃんは続けた。

「いやぁね?やっぱり女の子同士でしかできない話ってあんじゃん。せっかくだし紗奈ちゃんと色々話したいなーって」

「あー、まぁいいんじゃない?紗奈さん、嫌だったは張り倒していいからね」

 まぁ俺は別に明日でも喋れるし、むしろ姉ちゃんや母さんと話してほしいくらいなので止める必要はない。
 俺がそういうと姉ちゃんは露骨にショックを受けている。

「ちょっ、そんな事言わないでよ!アンタのお姉ちゃんだよアタシ!もっと大事にしてよ泣いちゃうよ!」

「あーはいそっすね」

 普段から割と強気な態度をとる事の多い姉ちゃんであるが、たまに突っついてやるとこうやってショックを受けるところが我が姉ながらおもしろ……可愛らしい。

「うぅ、樹のバカ!行こっ紗奈ちゃん!」

「えっあっ、はい!」

 ちょっとだけ拗ねた姉ちゃんがそのまま紗奈さんを連れて行ってしまった。困惑しながらついて行く彼女に手を振りながら見送った。

 今度姉ちゃんに埋め合わせしとくか。


────────────

 樹くんに冷たくあしらわれた刹希さつきさんが ぷりぷりとしながら私を部屋に入れてくれた。
 ちょっとSっ気のある樹くんも悪くないね。

「もう、樹ってば酷いんだから」

「えっと……」

 憤った様子を見せる刹希さんにどう答えれば良いのか分からず返答に困ってしまった。
 そんな私を見て刹希さんは優しく微笑む。その笑顔に女性の私でもドキッとしてしまう。

「大丈夫、別に本気じゃないから。あの子と私のコミュニケーションみたいなもんだよ」

「そう、なんですね」

 私は一人っ子なのでそういう家族特有の冗談や関わりというのは分からないけど、そういう家庭もあるのだろう。少なくとも二人からは強い絆を感じる……だから、少しだけ気になることもあったり。

「さてさて、紗奈ちゃんは樹について聞きたいこととか……ある?」

 そんな私の心情を知ってか知らずか、刹希さんがそんなことを聞いてきた。

 だから私は、中学の時に起きた樹くんと馬門《まかど》さんの間で起きた出来事を聞いてみた。まぁある程度細かい内容は伏せてるけど。

「あー、あれねぇ……あの時の樹はだいぶやさぐれてたね」

 その時のことを思い出しながら刹希さんは語る。やさぐれてた樹くんというのが今の彼からはイメージ出来ないので少し気になる……まぁ怖いもの見たさだけど。

「あれは酷かったねぇ。でも学校で起きた時のことはアタシじゃどうにもならないからさ……だからなんとか元気になってもらおうと関わろうとはしたんだけど、やりすぎも良くないと思って距離置いたりして……あの時は力の無さが嫌だったなぁ」

 懐かしむように、でも少し悲しそうな雰囲気で刹希さんは滔々と語る。やっぱり家族として思うところがあるんだろうね。

「しかもアタシがソレ知ったのってあの子の友達から聞いたからさ、実際のこと知ったのは割と後の事だったんだよね。家に全然帰ってこないからどうしたのかと思ったら……って、姉失格だよ」

 最後に刹希さんが告げた一言には、まるで今にも泣きそうなほどに悲しい感情を孕んでいた。
 彼女なりに樹くんのことを心配していたんだろう。

 でも彼からは、その時のお母さんとのことは聞いたけど、刹希とのことは聞いてなかったな……なんでだろう?
 でも今は、その疑問を胸にしまった。
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