クールで一途な白雪さん

SAKADO

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七十八話 盛り上がり

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 繭奈との関係をオープンにして、次の日がやってきた。隠す必要もないので、通学の途中で彼女と合流し教室に入る。
 外にいる時から見られている感じはあったが、入ってからは教室内にいる全員から視線を向けられる。繭奈の友人の一人が、席に荷物を置いた俺に話しかけてきた。こちとら告美たちと挨拶しようってんのに、急ぎすぎだろ。

「ねぇ蔵真くん?」

「ん?」

 なにが ん?だよ白々しい。彼女らが話しかけてくる理由なんて、たった一つしかないだろう。
 だが、わざわざこちらから話す必要もないのだ。白々しいのはそのためである。

「蔵真くんってさ、冬夏と付き合ってたんじゃないの?」

「いや、前から繭奈と付き合ってたけど」

「えっ、じゃあ冬夏は?」

「アイツは……繭奈繋がりで仲良くなっただけだよ」

 冬夏に関してはどう答えるべきか分からなかったが、取り敢えず当たり障りのない答えにしておいた。それを聞いた彼女らは不思議そうな表情だ。

「それにしてはかなり仲良さげじゃない?あの子が男子と手を繋ぐなんて、考えられないんだけど」

「そう言われてもな」

「じっじゃあさ、どっちと先に付き合ったの?」

「いやだから、冬夏とは付き合ってないって。俺はあくまで繭奈の彼氏、冬夏は友人だよ」

「相変わらず素っ気ないなぁ。まぁそんなツレない龍彦はありよりのありだけどね」

 繭奈たちの友人と話していると、後ろから冬夏の声でそう言われて、ギュッと腕を回される。スキンシップが激しすぎるだろう。

「おっはよ。今日もイケてんね、龍彦」

「おはよう冬夏、暑苦しいぞ」

 人懐こい笑みを向けてくる冬夏に、いつも通りの返しをする。そんな俺の言葉に周囲がどよっと驚いたような反応を見せる。

「いいじゃん、汗の匂い嗅がせろ」

「いやキモ」

「ひっどい!」

 妙に好感度が高いのはいつものことなので、少し雑くらいの反応がちょうど良いかもしれない。
 どういう理屈かは知らないが、冬夏はこれでも楽しそうなのだ。

「冬夏?いつまでも龍彦くんに抱きつかないでくれるかしら?」

「あーゴメンゴメっ、って怖っ!」

 凄まじい目力の繭奈に至近距離で睨まれた冬夏が、より抱きつく腕を強めて顔を押し付ける。
 だから暑いというに、しかし彼女は離れない。一瞬でてきた謝罪はなんだったのか。
 というか、暑いという感覚はないのかコイツは。

「隙あらば密着するのはやめなさい」

「むぅー、いいじゃん別に減るもんじゃないし」

「暑いんだが?体力減るぞ」

 そもそもお前が言うなという話である。繭奈に注意されたに関わらず、冬夏は駄々をこねて離れようとしない。
 なので、離れてもらおうと出た一言なのだが、冬夏は聞くつもりがないようだ。

「大丈夫だよ、もし倒れたら一緒に保健室行ったげる。添い寝するからね」

「じゃあチェンジで」

「受け付けておりませーん」

 もし倒れたらと、悪びれることもなく言っている冬夏である。俺としては本命に添い寝をお願いしたいのだが?
 そんなやり取りの中、遂に繭奈が行動を起こす。

「龍彦くん」

「あっはい」

 突如として俺の目の前に立った繭奈が、俺を挟むようにして抱き締めてきた。繭奈と冬夏のサンドイッチに、周りからささやかな悲鳴が上がる。
 まぁ女子からのソレはどちらかというと、明るいものだったけどね。それこそ、人の色恋に盛り上がっているあの感じだ。

「冬夏は後ろをとるなら、私は前ね」

「今度変わってよ」

「嫌よ」

 なにやら俺を挟んで会話を始めるぞ繭奈たち、っていうかそんなことよりさ……

「ここ学校だぞ自重しろ」

「「たしかに」」

 少しばかり調子に乗りすぎている二人を一喝すると、素直に抱擁を解く。多分、見せつけたいんだろうな。
 昨日までのだる絡みをやめるようにと、そんな意図を周囲に向けて。

「ねねっ!繭奈と蔵真くんってさ、いつから付き合ってたの?夏休み?」

「もっと前よ」

「夏休みから付き合ったのはアタシだよー」

 付き合ってねーよ。でも、わざわざそうは言うまい。ここは敢えて付き合ってると誤解させてやろう、そうすれば男子連中が冬夏に纏わりつくこともないだろう。

「えぇー、いつの間に付き合ってたの?全然気付かなかったんだけど」

「そりゃ隠してたもの。簡単にバレちゃ困るわよ」

 なんてことの無いように返す繭奈だが、実際よくバレなかったと今更ながらに思う。それこそ夏休みの時に、誰かとばったり会ってもおかしくなかった。

 もしかしたら、繭奈はその辺のやりくりが上手なのかもしれない。友人との関わりで、誰がどこに遊びに行くという話を覚えていたとかね。

「えー、じゃあさじゃあさ、どっちが先に告ったの?やっぱり蔵真くんから?」

「もちろん私よ」

 繭奈が質問に答える度に、周囲からは驚きの声が響く。いつの間にか彼女の友人たちが集まってきており、随分と盛り上がっている。

 なんだか、思った以上に注目されてしまったな。
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