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七十九話 受け入れられない
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「こう見てると、案外お似合いなのね。あの二人」
友人たちに馴れ初めを話している龍彦くんたちを見て、麗凪が諦観を滲ませながらそう言った。
私には、お似合いだなんて思えないし、羨ましいことこの上ない。
強い嫉妬が、心を刺激する。だけど、私にはこの状況を耐えるしか、できることはない。
「麗凪は、知ってたの?」
何をとは、敢えて言わなかった。というより言えなかったんだ。龍彦くんが白雪さんと笹山の二人と付き合ってたなんて、口にするには辛すぎるから。
私の言葉に麗凪は、少し悲しそうな笑みをして頷いた。
「そうね。正しく言えば、そんな気がしたってとこかしら。明らかに雰囲気違ったもの」
「そうなんだ」
さすが麗凪ということだろう、私は全然気が付かなかった。予想さえしていなかった私は、彼女の言葉に生返事を返す。
いつの日か私が龍彦くんの隣にだなんて、無邪気にも信じていたんだ。
そんな話をした後の休み時間にトイレに向かった。その時に見たのは、少しこそこそとしていた龍彦くんと白雪さんであり、まさかと思ってその後ろに着いていくと、人気のない所で二人が隠れる。
見てはいけないと思いつつ、コソッとそちらを覗き込むと、二人は抱き合って情熱的に唇を重ねていた。
辛いはずなのに目を離せない、まるで恋愛ドラマのベッドシーンのような、それはそれは深い口付け。
その相手は、私のものだと思っていたのに。
どうしようもないほど突き付けられた現実に、涙を流しながらそれを見ていた。しかしすぐに耐えられなくなり、踵を返して教室に戻る。
私とは付き合ってくれないけど、それでも優しい笑顔を向けてくれることが、より辛さを感じさせる。嫌われていた方がよっぽど諦めがつく。
でも、嫌われる勇気だって、私にはなかった。
放課後を向かえて麗凪と帰ろうとしたところで、とある男子から声をかけられる。
「なぁ、俺たち今から遊びに行くんだけどさ、春波たちも来てくれよ」
そう声をかけてきたのは、いつだったか龍彦くんを悪く言った男子だ。彼の言い分を聞いたがために、龍彦くんとの関係は進むことがなくなってしまった。
私のせいでもあるのは分かってるけど、どうしてもコイツは同罪だと思ってしまう。
そんな人と遊びに行くなんて、真っ平御免だ。
「気分じゃないかな。さよなら」
誘いを断って、麗凪と二人で教室を後にする。例え龍彦くんとはお付き合いできなかったとしても、彼を悪く言う人と仲良くするなんてできないから。
「おっ、春波ちゃんと山襞ちゃんじゃん。今から帰りー?」
「うん」
玄関にて靴を履いている私たちに声をかけてきたのは笹山さんだった。彼女がここにいるということは、もちろんあの二人もいるわけで。
「告美、麗凪」
「あっ……龍彦くん」
笹山さんの声に気が付いた龍彦くんが、私たちを呼んだ。その隣には当然、白雪さんがいる。
相変わらず無愛想なのに、龍彦くんの隣にいるからなのか、どこか嬉しそうな雰囲気を纏っている。
「相変わらずね、二人とも」
「あはは、まぁね」
麗凪はすでに受け入れているのか、龍彦くんにからかうように言った。彼は照れたように頭に手を当てて笑う。
「そこまでラブラブだと嫉妬しちゃうわね、私も混ぜて欲しいくらい」
「ちょっ、麗凪」
とんでもないことを言う麗凪にびっくりしてしまう。そんなの、私だって同じだ。
「いやいや、麗凪とはそういうのじゃないでしょ。そのうちきっと良い相手ができるだろうし、その人としなよ」
「ふふっ、そうね」
もっともな事を返す龍彦くんに、麗凪は笑って誤魔化した。本当は分かっているクセに強がって。ほんとは悲しいのバレバレだって。
「それじゃ、先帰るね。また明日」
「うん、また明日ね」
龍彦くんの言葉に麗凪が返す。私も続いて返事をするけど、思うように言葉がでない。
満足のいかないコミュニケーションに、ただただ鬱憤がたまる。
家に帰り、思い出すのはあの光景。愛し合う二人が、自分達だけの世界でその愛を確かめあう姿に、胸が抉られるような気持ちになる。
思い出せば思い出すほど、涙が止まらない。
もしあの時、私が龍彦くんのことを信じ抜いていれば、あのまま遊びに行って、どんどん仲良くなって、私が付き合えたかも知れなかった。
過去の自分の過ちが今の結果を作っていることが分かっているから、やり場のないフラストレーションがたまる。
好きな人を信じられなかったクセに、今の結果を受け入れられないなんて、私はとんでもなくわがままなんだ。
「それでも、大好きなんだもん……ぅぅ」
多分しばらくは、こんな感じが続くだろう。
友人たちに馴れ初めを話している龍彦くんたちを見て、麗凪が諦観を滲ませながらそう言った。
私には、お似合いだなんて思えないし、羨ましいことこの上ない。
強い嫉妬が、心を刺激する。だけど、私にはこの状況を耐えるしか、できることはない。
「麗凪は、知ってたの?」
何をとは、敢えて言わなかった。というより言えなかったんだ。龍彦くんが白雪さんと笹山の二人と付き合ってたなんて、口にするには辛すぎるから。
私の言葉に麗凪は、少し悲しそうな笑みをして頷いた。
「そうね。正しく言えば、そんな気がしたってとこかしら。明らかに雰囲気違ったもの」
「そうなんだ」
さすが麗凪ということだろう、私は全然気が付かなかった。予想さえしていなかった私は、彼女の言葉に生返事を返す。
いつの日か私が龍彦くんの隣にだなんて、無邪気にも信じていたんだ。
そんな話をした後の休み時間にトイレに向かった。その時に見たのは、少しこそこそとしていた龍彦くんと白雪さんであり、まさかと思ってその後ろに着いていくと、人気のない所で二人が隠れる。
見てはいけないと思いつつ、コソッとそちらを覗き込むと、二人は抱き合って情熱的に唇を重ねていた。
辛いはずなのに目を離せない、まるで恋愛ドラマのベッドシーンのような、それはそれは深い口付け。
その相手は、私のものだと思っていたのに。
どうしようもないほど突き付けられた現実に、涙を流しながらそれを見ていた。しかしすぐに耐えられなくなり、踵を返して教室に戻る。
私とは付き合ってくれないけど、それでも優しい笑顔を向けてくれることが、より辛さを感じさせる。嫌われていた方がよっぽど諦めがつく。
でも、嫌われる勇気だって、私にはなかった。
放課後を向かえて麗凪と帰ろうとしたところで、とある男子から声をかけられる。
「なぁ、俺たち今から遊びに行くんだけどさ、春波たちも来てくれよ」
そう声をかけてきたのは、いつだったか龍彦くんを悪く言った男子だ。彼の言い分を聞いたがために、龍彦くんとの関係は進むことがなくなってしまった。
私のせいでもあるのは分かってるけど、どうしてもコイツは同罪だと思ってしまう。
そんな人と遊びに行くなんて、真っ平御免だ。
「気分じゃないかな。さよなら」
誘いを断って、麗凪と二人で教室を後にする。例え龍彦くんとはお付き合いできなかったとしても、彼を悪く言う人と仲良くするなんてできないから。
「おっ、春波ちゃんと山襞ちゃんじゃん。今から帰りー?」
「うん」
玄関にて靴を履いている私たちに声をかけてきたのは笹山さんだった。彼女がここにいるということは、もちろんあの二人もいるわけで。
「告美、麗凪」
「あっ……龍彦くん」
笹山さんの声に気が付いた龍彦くんが、私たちを呼んだ。その隣には当然、白雪さんがいる。
相変わらず無愛想なのに、龍彦くんの隣にいるからなのか、どこか嬉しそうな雰囲気を纏っている。
「相変わらずね、二人とも」
「あはは、まぁね」
麗凪はすでに受け入れているのか、龍彦くんにからかうように言った。彼は照れたように頭に手を当てて笑う。
「そこまでラブラブだと嫉妬しちゃうわね、私も混ぜて欲しいくらい」
「ちょっ、麗凪」
とんでもないことを言う麗凪にびっくりしてしまう。そんなの、私だって同じだ。
「いやいや、麗凪とはそういうのじゃないでしょ。そのうちきっと良い相手ができるだろうし、その人としなよ」
「ふふっ、そうね」
もっともな事を返す龍彦くんに、麗凪は笑って誤魔化した。本当は分かっているクセに強がって。ほんとは悲しいのバレバレだって。
「それじゃ、先帰るね。また明日」
「うん、また明日ね」
龍彦くんの言葉に麗凪が返す。私も続いて返事をするけど、思うように言葉がでない。
満足のいかないコミュニケーションに、ただただ鬱憤がたまる。
家に帰り、思い出すのはあの光景。愛し合う二人が、自分達だけの世界でその愛を確かめあう姿に、胸が抉られるような気持ちになる。
思い出せば思い出すほど、涙が止まらない。
もしあの時、私が龍彦くんのことを信じ抜いていれば、あのまま遊びに行って、どんどん仲良くなって、私が付き合えたかも知れなかった。
過去の自分の過ちが今の結果を作っていることが分かっているから、やり場のないフラストレーションがたまる。
好きな人を信じられなかったクセに、今の結果を受け入れられないなんて、私はとんでもなくわがままなんだ。
「それでも、大好きなんだもん……ぅぅ」
多分しばらくは、こんな感じが続くだろう。
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