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「このような結果になって、とても残念ですが、いろいろ片が付いたら修道院へ行こうと思っております。ちょうど、祖父が隠居しております我が家の領地に、小さいのですが修道院がございます。そこへ身を寄せ、近くにある孤児院のお手伝いをしようかと。結婚をしない自分ではもう望めないの子供ですが、子供が好きなので、少しでも役にたてたらと・・・。」

「自分の子供を育てればよいだろう。君と私の子を。」

即答されるが、よく考えれば初心な私を赤面させるのには十分な内容。

「・・・!からかわないでください!」

なんだかとても恥ずかしくなり赤い顔を隠すように下を向く。
クスッ。
本当に小さく公爵から笑いが漏れた。
それに驚き、顔をあげれば、腕を組み、片方の手を口に当て目を細めている公爵が見えた。
あまり笑わない公爵の笑顔を見るのは昨夜に続き2度目。
とても優しそうな笑顔に見ほれる。
公爵は外の方へ顔を向けそっと音も無く立ち上がり、大きな窓へと近づく。

「・・・こちらへ。」

ゆっくりと手を差し出され、戸惑いながらも、私も窓辺へ立つ。
手を重ねれば、優しく握られた。
その手の暖かさに安らぎと羞恥心が混ざり合ってなんとも言えない。
並べば、頭1つ分ほど高い身長。
盗み見れば、公爵の目は庭を静かに見ていた。

「・・・確かに周りがうるさいのは、ずーと頭がいたい事案だった。だが、それとは関係ない。この歳の私が、歳若く家柄になんの問題も無い君を妻にできる。そして、君は、伯爵夫人になる予定が公爵夫人になり、相手が私に代わるだけ。」

ふと、私に視線を合わせ、ゆっくりとした動作で私に跪く。
胸がドキッとなる。
見上げられるその目に吸い寄せられるように見入る。

「お前を一生守り続ける。返事は今で無くていい。・・・だが、否は聞かないが。」

昨夜も言ってくれた”お前を守る”という言葉が冷めた心を覆う。
思わず寄りかかりたくなる言葉は魅力的だ。
でも、否は聞かないなんて、やっぱり強引過ぎて恐くなる。
言い終われば唇の端を持ち上げ、今度は悪そうな笑みを作った。
なに?
すっと立ち上がり、元のソファへと公爵が腰掛けると、すぐにドアをノックする音が聞こえた。
もしかして、私にはわからなかったけど、廊下から足音が聞こえたからソファに戻った?
ハリルがドアを細く開けると、侍女頭のマーサが見え、2人は小声で話し始める。





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